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南條愛乃、TVアニメ『同居人はひざ、時々、頭のうえ。』EDテーマが映す人とネコの“理想的な関係”

リアルサウンド

19/2/7(木) 8:00

 南條愛乃が、2月6日に発売する新シングル『君のとなり わたしの場所』。同作の表題曲は、現在放送中のTVアニメ『同居人はひざ、時々、頭のうえ。』(TOKYO MXほか)エンディングテーマに起用されている。

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 『同居人はひざ、時々、頭のうえ。』は、原作・みなつき(皆月つなみ)、イラスト・二ツ家あすによる同名人気漫画のアニメ化作品。人付き合いが苦手なミステリー作家の朏素晴(CV:小野賢章)が、お姉さん気質な野良ネコのハル(CV:山崎はるか)を偶然に拾い、一緒に生活するハートフルストーリーだ。原作漫画の大きな特徴は、ひとつの出来事を素晴とハルによる双方の視点からザッピング形式で描くこと。この演出は、TVアニメ化に際しても引き継がれており、両者の平等な関係性を反映したものといえる。

 そんな同アニメに寄り添うのが、南條の歌う「君のとなり わたしの場所」である。同楽曲は、南條が作詞、彼女と親交のある奥華子が作編曲を担当。大切な存在とのひと時にそっと寄り添うような、温かみに満ちたサウンドに仕上がっている。また、南條による歌詞はハルの視点から綴ったものに。自身のラジオ番組『真・ジョルメディア 南條さん、ラジオする!』(超!アニメディア)で同楽曲を紹介した際には、その印象についてコメント。ハルのお姉さんらしい、「~してあげる」という口調の歌詞もまた、奥華子のアレンジによって不思議と上から目線には感じられないとのことだ。

 これまでにも飼いネコを引き連れてメディアに登場するなど、大の愛猫家として知られる南條。そんな彼女がパートナーとの暮らしを歌った楽曲に、「NECOME」がある。「NECOME」は、2016年7月リリースの2ndアルバム『Nのハコ』収録曲。当時のアルバムコンセプトの関係から、南條は作詞に携わっておらず、彼女と付き合いの長いアーティストのrinoが、飼い猫の視点から“オフモード”の南條を描いた歌詞となっている。

 実際に〈おしゃれ好きなのに その格好はなに?〉や〈名前を呼ぶ声 カラフルな指先〉といったフレーズを聴いていくと、リラックスした姿の南條が自然と頭に思い浮かぶことだろう。全体的にチルな雰囲気が漂う、ボサノバテイストのサウンドとも親和性が高い。なかでも、〈毛羽立ったブランケット いつもの指定席〉は、彼女と愛猫の距離感がわかりやすく歌われた一節に。歌詞の一部を引用すれば、彼らはまさしく〈絶妙な距離で 通じ合える関係〉にあるのだと思われる。

 あわせて、2016年5月リリースの5thシングル表題曲「ゼロイチキセキ」にも触れておきたい。同楽曲は、TVアニメ『ネトゲの嫁は女の子じゃないと思った?』エンディングテーマ。ここでも南條は作詞を務めており、ネットゲームの世界を題材に、彼女自身の経験をアニメヒロインの玉置亜子(CV:日高里菜)の目線で、恋愛的な歌詞に置き換えたとのことだ(参考:別冊CD&DLでーた My Girl vol.10”VOICE ACTRESS EDITION”)。

 また、南條は『ファイナルファンタジーXIV』などをこよなく愛する、大のゲーム好きでもある。前述の雑誌インタビューでは、自身のネットゲーム観を「いろんな職業の方がプレイしてる。リアルにどんな立場や環境であれ、みんな平等の立場で遊べるからこそ、童心に返れるというか」と語っている。人々が相対するような、リアルな空間での出来事ではないからこそ、そこで生まれる想いはより“リアル”に訴えかけてくる。それこそ、彼女が「ゼロイチキセキ」に込めたメッセージなのだろう。

 「NECOME」と「ゼロイチキセキ」は、どちらも南條のプライベートや趣味趣向があったからこそ生まれた楽曲だ。「君のとなり わたしの場所」にもまた、南條の経験を基にした描写が含まれているのかもしれない。

 アニメ『同居人はひざ、時々、頭のうえ。』内では、自身の名前を“ご飯の合図”と勘違いするネコのハル。当然ながら、人間の言葉や文化を正確に理解するのは難しいだろう。それと同じく、ハルの不可解にも思える行動を見て、時には頭を悩ませる素晴。たしかに、両者の認知には少しずつズレが生じていることもある。しかし、最後には彼らが互いを想い合う関係性にあることは間違いない。実際に、素晴が寝食を忘れて仕事に打ち込む、亡き両親を思って涙した際などに、ハルはいつでも彼のことを優しく気にかけてきた。言葉なくとも、思いやりで繋がれる間柄は、人とネコの理想的な関係ではないだろうか。

 南條が歌う「君のとなり わたしの場所」の中で、そんな素晴とハルの結びつきを端的に表したのが、冒頭の〈たよりない君だけど そばにいてあげる〉というワンフレーズだろう。この表現に類似したセリフは、これまでにアニメ内でも発されている。また、〈そっとおいた手に 伝わるなにか/ほっとするにおい うとうとする 不思議な気分よ〉なども、アニメの世界観に対して最大限に寄り添った内容だ。

 南條の愛猫家としての一面が見られるのはもちろん、過去のリリース楽曲とも地続きにある「君のとなり わたしの場所」。アニメにおける次の展開も気になるが、まずはリリースされたばかりの同楽曲をじっくりと聴き込みたい。(青木皓太)

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