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LDHのシステムは世界でも求められているーーLDH USA徹底レポ第2回「EXPG STUDIO」LA校 篇

リアルサウンド

19/1/31(木) 12:00

 LDH USAの徹底レポート第2回では、同社のこれまでの歩みを振り返るとともに、新たな拠点となる「EXPG STUDIO」LA校の理念や役割を紹介していきたい。

■LDH USAのこれまでの歩み

 LDHのアメリカでの展開は、第1回でも述べたように2017年以前から行われている。2014年9月には、LDHが運営する総合エンタテインメントスクール「EXPG STUDIO」のNY校が開校。ストリートダンスを専門とするスクールはアメリカでも珍しく、現地の一流ダンサーたちが指導する場として人気が高まり、同校が主催するエンタテインメントショー『HOUSE OF EXILE』には毎回、豪華な顔ぶれが出演するように。昨年5月に開催された、通算5回目となる『HOUSE OF EXILE 2018』には、LudacrisやLil’Fate、T-Painなど、世界的に有名なラッパーも登場し、会場を熱気に包み込んだ。

 ライブイベントとしては、1日10万人以上の来場者が訪れる全米最大の日本のポップカルチャーの祭典『Anime Expo』の目玉となった「OTAQUEST」にも注目したい。「OTAQUEST」は、m-floのVERBALと☆Taku Takahashiが中心となるプロジェクトで、日米のポップカルチャーの架け橋となる活動を様々なアプローチで行っている。昨年7月5日に行われた『Anime Expo』内のライブは、m-floにとって初のアメリカ公演ということもあり、LA有数のコンサートホールであるマイクロソフト・シアターは満員状態に。m-floのアメリカでの人気を証明するライブとなった。

 映画界においても、少しずつ足場を固めている。2017年5月には、ハリウッドのなかでも最も古い歴史を持つ老舗劇場エジプシャンシアターにて、LDH pictures製作の映画『たたら侍』のハリウッドプレミアムを開催。日本文化を世界に伝えるという作品のコンセプトから、在ロサンゼルス日本国総領事館と協力して行われた同プレミアムには、特に日本への興味が強い映画ファンが集結。筆者も現地で鑑賞したが、英訳しても伝わりやすい明瞭なメッセージは、現地の人々にも好感を持って受け入れられていた印象だ。

 LA視察の2日目、1月17日には、ロサンゼルスのTCLチャイニーズシアターにて、『ショートショート フィルムフェスティバル in ハリウッド』が開催され、同イベントに招待されたEXILE HIROらは、ショートショート フィルムフェスティバル&アジアとLDH JAPANのコラボレーションプロジェクト『CINEMA FIGHTERS』の第3弾製作を発表した。同イベントは、日本の様々な魅力を海外に発信するジャパン・ハウス(外務省)とともに行われたもので、官民一体となって日本のカルチャーの魅力をアピールする姿勢を、現地の映画ファンに示した。

 他にも、EXILE AKIRAがマーティン・スコセッシ監督の映画『沈黙‐サイレンス‐』(2016年)に、小林直己がリドリー・スコット製作総指揮のNetflix映画『アースクエイク・バード』(2019年公開予定)に出演するなど、LDH所属アーティストの活躍の場は、多方面の協力を得ながら確実に広がっている。三代目 J SOUL BROTHERS・今市隆二の俳優デビュー作となる『CINEMA FIGHTERS』も待ち遠しいところだ。

■「EXPG STUDIO」LA校が新たな拠点に

 1月18日、総合エンタテインメントスクール「EXPG STUDIO」のLA校がオープンしたのは、LDH USAの歩みの中でも特に記念すべきトピックスだろう。(参考:EXILE HIRO「ボーダーを越えたコラボレーションの場に」 「EXPG STUDIO」LA校がオープン

 着工から1年9カ月を費やし、満を持して開校を迎えた「EXPG STUDIO」にはこの日、数多くの現地インストラクターや関係スタッフが訪れた。その顔ぶれの中には、ブルーノ・マーズやビヨンセなどのプロデュースを手掛け、グラミー賞を数多く受賞しているサウンドプロデュースチーム・1500 or Nothin’のローレンス・ポップス・ドブソンや、ジャスティン・ビーバーら世界的なアーティストの振付やバックダンサーを務めてきたコレオグラファーのショーン・エバリストも。同校では、彼らのレッスンも受けられるとのことだ。

 日本の「EXPG STUDIO」はこれまで、数多くの次世代アーティストを輩出している。GENERATIONSやTHE RAMPAGE、FANTASTICSなど、Jr.EXILE世代と称される若手グループは、ほとんどが同校の出身者である。「EXPG STUDIO」を通じて新たな才能を育成し、EXILEが築き上げたスタイルを継承していくのは、LDHの根幹をなすシステムの一つだ。この「次世代の育成システム」と、アーティスト一人ひとりを事業者のように捉えて、各々の発信力を活かして多方面にビジネスを展開する「360度ビジネス」の両輪によって、LDHはアーティストのマネジメント事務所の枠を越えた「エンタテインメント企業」として成長してきた。そのビジネスモデルを米国で展開する上でも、拠点となる「EXPG STUDIO」を開校するのは重要である。LA校では、現地での新人発掘にも力を注ぐとのこと。将来的には、LAのカルチャーの中で育ったUS版のEXILE TRIBEのようなグループが結成される可能性もあるだろう。

 今回、ショーン・エバリストら現地のアーティストに話を聞いてもっとも印象的だったのは、彼らがLDHの理念やシステムに対し、大きな期待を寄せていたことである。ショーンは、LDHが掲げる「Love, Dream, Happiness」というスローガンに共感を示しつつ、「いずれはEXILEのように、ダンサーがただのバックダンサーではなく、一人のアーティストとして認められるような環境を、アメリカにも作り上げたい」と語っていた。EXILE HIROによると、LDH EUROPEのCEOを務める世界的DJのアフロジャックも「LDHのシステムは、欧米の音楽シーンにも必要だ」と述べているという。

 海外のアーティストマネジメントの仕組みは、日本のそれとは大きく異なり、アーティスト個人がエージェントと直接契約するシステムがほとんどだ。将来の見通しが立てにくい職業柄、人気アーティストはその華やかなイメージとは裏腹に、過酷なスケジュールで世界各国のフェスティバルに出演し、精神的にも肉体的にも磨耗してしまうケースが少なくない。「もしもLDHのようなシステムがあったのなら、アヴィーチーも命を落とすことはなかっただろう」と、アフロジャックは述懐しているそうだ。

 アーティストの継続的な活動を守る意味でも、LDHのシステムは求められているのである。(松田広宣)

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