Download on the App Store ANDROID APP ON Google Play
Download on the App Store ANDROID APP ON Google Play

山下智久、ドラマ『THE HEAD』EDテーマがチャート首位 内面性が露わになった知的でクールな1曲に

リアルサウンド

20/7/25(土) 10:00

参考:2020年7月27日付週間シングルランキング(2020年7月13日~2020年7月19日)(https://www.oricon.co.jp/rank/js/w/2020-07-27/)

 最新のオリコンチャートによれば、山下智久の『Nights Cold』が73,458枚で1位、続いてTWICEの『Fanfare』が19,946枚で2位、氷川きよしの『母』が16,351枚で3位を記録。2位と3位が当週以外のリリース作品なのに対して、当週発売の最新作が順当に首位に立った結果となった。

(関連:山下智久、内面性が表れたクールな「Nights Cold」

 『Nights Cold』は山下智久の通算11枚目のシングルで、2018年にSME Recordsに移籍してからは3枚目となる。表題曲は、彼自身も出演するHuluオリジナルドラマ『THE HEAD』のエンディングテーマで、CD発売と同時に世界各国でも配信された。ドラマは極寒の大地が舞台で、人間の極限心理を描いたサバイバルスリラーとなっている。そのため本曲も、比較的静かな音作りの中でピアノの音色が響き渡るような、張り詰めた空気感が広がったものに仕上がっている。作曲はShogoとTomoyuki Hirakawaが共作し、作詞は山下自身とWAKEの2人で手掛けている。

 歌詞の多くを占めているのが英語。山下本人のコメントによれば「ドラマの世界観を大切にしながら、今回はそれを恋愛に例えてミステリーを紐解いていく様なイメージで作詞」したという(参照:https://www.hulu.jp/static/thehead/)。英詞が全編に渡った中でも、〈浮かんでは消えていくまるで月のよう〉というラストのフレーズが印象的だ。ピアノを中心とした洗練されたサウンドも相まって、人間の深い心象風景を具現化したような、それでいて広大な情景も喚起されるような作品となっている。

 山下智久と言えば、やはり真っ先に思い出すのが「抱いてセニョリータ」(2006年)や、修二と彰名義での「青春アミーゴ」(2005年/テレビドラマ『野ブタ。をプロデュース』主題歌)といったスペイン~ラテン歌謡路線の楽曲である。2000年代中盤のこうした作品の大ヒットにより彼に付加された情熱的、かつ、コミカルなイメージ。さらにそれに拍車を掛けたのが、ワーナー移籍後のアルバム『エロ』(2012年)、そして『A NUDE』(2013年)といったセクシャルなタイトルを冠した作品群だ。真心ブラザーズの名曲カバー『SUMMER NUDE ’13』(2013年)のシングルジャケットも肌の露出が多くて印象的だった。こうした作品のリリースを重ねてきたことで、彼のタレントイメージというのはある種”肉体的”で”官能的”な方向へと極まっていったように思う。

 しかし、その路線から大きく舵を切ったのが前述したSME Recordsへの移籍である。その頃からサウンドも世界を意識したものへと変化し、英詞が増え、それまでのイメージから“知的”で”クール”なアーティスト像へと一変。今回の新曲も、肉体に訴えかけるようなフィジカルなものではなく、どこか精神世界を彷徨っているような独特の抽象表現に寄っている。

 考えてみれば、彼の人柄は(実際のところを知っているわけではないが)物静かで冷静で、英語も堪能だと言うし、むしろここ最近の楽曲の方が彼本来の姿に近いのではないか。以前出演していた『another sky-アナザースカイ-』(日本テレビ系)での姿は非常に自由闊達で、表情も生き生きとしてる印象を受けた。

 世間の求めるアイドル像と、本来の自分の姿……その間のギャップで揺らぐ彼の活動に魅力を感じたとき、この曲で歌われる〈真実の愛か、こんな世界か〉の一節が、妙に深みを帯びてくるのだ。(荻原梓)

新着エッセイ

新着クリエイター人生

水先案内

アプリで読む