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宮野真守は、ヒロイン役の花澤香菜を「不幸にしがち」? 『HUMAN LOST 人間失格』での関係性を明かす

リアルサウンド

19/11/30(土) 5:00

 劇場アニメーション『HUMAN LOST 人間失格』の公開記念初日舞台挨拶が29日、TOHOシネマズ 新宿で行われ、声優の宮野真守、監督の木崎文智、ストーリー原案・脚本の冲方丁が登壇した。

【写真】舞台挨拶に登壇した宮野真守

 本作は、日本文学の金字塔・太宰治の「人間失格」を、狂気なSF・ダークヒーローアクションに再構築したオリジナルアニメーション。医療革命により死を克服した昭和111年の東京を舞台に、体内のナノマシンをネットワーク管理する究極の社会システム“S.H.E.L.L.”(シェル)体制によって生かされる人々を描く。

 宮野が演じる主人公・大庭葉蔵は、原案にも登場するキャラクター。木崎は「基本的には、原案から外れないようにキャラクターを作った」と話し、冲方は「原案のイメージがある人は、途方もなく違うと思うはず。でも、人間関係の構図は壊さないことを念頭に置いた」と、それぞれ振り返った。

 ここから、「シナリオ開発には2年を費やした」といった制作秘話が語られると、宮野は「最初は、どんな足がかりが?」と興味津々。冲方が「SFにするにはどうするかを話して、人間全部失格にしようと……」と明かすと、宮野は「大胆ですね。でも、ありえない設定を最初にドンッと持ってくるのは、SFとしてインパクトがありますもんね」と頷いた。

 その後も「アクションは100分中25分しかやれないと言われたのに、結局80分くらいになった」「(制作費がかかるため)葉蔵の服を脱がすなと言われたのに、変身する度に全裸になる」といった裏話が次々に飛び出し、「(ダメと言われたことを守らず)どんどん失格していった。でも、それは僕だけじゃないと思う」と木崎。それを聞いた宮野は、「スタッフがロスト化したからこそできた『人間失格』。素晴らしいなぁ」と、制作陣の熱量に感心しきりだった。

 今作は、声優の台詞を先に収録する“プレスコ”が用いられ、収録現場にアニメーション監督が参加。表情も含め、実際の声優陣の芝居をそのままアニメにするようなイメージで制作された。宮野は「ちょっとした心の機微がちゃんと表現できるように、どんな些細な感情でも声にのるように」との思いで収録に臨んだといい、「そこを汲み取ってもらえるのは嬉しい」と興奮気味。また「原案の葉蔵の、鬱屈とした悩みは大事にして演じようと思った。偉大な原案があるからこそ構築しやすかった」と回顧した。

 さらに宮野は「他の声優陣のお芝居も本当に素晴らしかった」と語り、「冒頭の福山(潤)さんの暴走といったらない。イケイケやらせたら右に出る者はない」。続けて「こんな言い方したら悪いけど……“絶対に悪いじゃん、櫻井(孝宏)さん!”、“櫻井さんのメガネ、絶対悪いヤツじゃん!”みたいな」と、両声優をハマリ役と称賛。一方、ヒロイン役の花澤(香菜)について「僕と香菜ちゃんが主人公とヒロインという立ち位置になると、彼女(の役が)絶対不幸になるんですよ」と明かすと、会場は大爆笑。宮野は「不幸にしがちなところがあるので、今回どうなるのか観てほしい」と笑顔で呼びかけた。

 なお昭和111年を舞台とする本作では、120歳になって人間を“合格”すると、年金1億円が支給されるという設定。もし現代にその制度があったら、というテーマに話が及ぶと、宮野は「年金1億円欲しーいっ! 合格したいと思います」と“人間合格”宣言。映画では“19時間労働政策”が描かれていることから、「一日19時間アフレコは嫌だなぁ」と言いつつも、「喉がバンッて(悪く)なっても、(医療によって)すぐに治るんでしょ? そうなったら僕、やりそうで怖いですけど」と苦笑いしていた。

 最後に宮野は「海外の人に観てもらったとき、日本の文化としてアニメーションがこんなに尊重されていて、求められていて、認められているんだと感じました。そこに日本の文学や、わびさびを注ぎ込むことで、文化として伝えられることがたくさんあると思う。僕もお芝居で感じとってもらえるように、魂を注ぎ込んだ」とアピール。木崎は「誰も想像していない方向に物語が展開していく。エンターテインメント作品として、喜んでもらえるところを目指した」と自信を見せ、舞台挨拶を締めくくった。

※大庭葉蔵の「蔵」は旧字体が正式表記。
※木崎文智の「崎」は「たつさき」が正式表記。

(取材・文=nakamura omame)

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