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Crystal Kay、ヒゲダン「I LOVE…」など楽曲カバーで得た新たな発見 20周年迎えた今後のビジョンも語る

リアルサウンド

20/12/13(日) 12:00

 今年3月にレミオロメン「3月9日」、8月に斉藤和義「歌うたいのバラッド」のカバーを発表したCrystal Kayが、キャリア初となるカバーアルバムから第三弾先行配信シングルとしてOfficial髭男dismのヒット曲をカバーした「I Love…」をリリースした。彼女は今回、高揚感あふれるヒゲダンの楽曲をスローテンポでしっとりとアレンジ。クリスマスを思わせるベルの音色と高雅なストリングス、そして彼女の力強く美しいソウルボイスが織りなすウィンターソング風味の逸品に仕上がった。デビューから20年。彼女は何故このタイミングでカバーアルバムを作ることにしたのか。男性ボーカルの楽曲をカバーして気づいたことや、美声をキープしている秘訣、さらに20周年を経て見据える今後のビジョンを語ってもらった。(猪又孝)

Crystal Kay「I LOVE…」(Official髭男dismカバー) 12/11(金)Digital Release

デビュー20周年の“特別な機会”だからこそ実現したカバー企画

ーー今年3月に「3月9日」を発表した際、同時にカバーアルバムのリリースもアナウンスされていました。そもそもカバーアルバムはどのような経緯から作ることになったんですか?

Crystal Kay:私はカバーに対して、よほど特別な機会じゃない限り、やりたくないと思っていたんです。テレビの音楽番組とかは別として、音源作品としては意味があるタイミングじゃないと作らないとずっとスタッフにも言っていて。過去にマイケル・ジャクソンの「Happy」だけ、2010年6月に出したアルバム『FLASH』で追悼の思いを込めてカバーしたんです。マイケルは私がシンガーを目指した大きな理由のひとつだし、永遠の憧れだから。

ーーそのスタンスが変わるきっかけがあったんですか?

Crystal Kay:アコースティック編成ライブのクリカフェ(『Crystal café』)で、アニソンメドレーとか邦楽カバーメドレーをやるのが恒例になってきて。ライブに来てくれる方の世代を考えつつ、自分が子どもの頃に聞いていた曲も織り交ぜながら、どんな曲を歌うのかサプライズしたい気持ちでやっていたんです。それをやると、みんな知ってる、みんな歌える、みんなサプライズに応えてくれるっていうことで盛り上がるんですよ。それにいつも「もっとクリにカバーを歌って欲しい」みたいな反響があって。この感じを作品にしたら面白いんだろうなぁと思うようになっていったんです。

ーーそこにデビュー20周年という“特別な機会”がやってきた。

Crystal Kay:まさにそう。20周年だし、ここでカバー作品をやってみてもいいんじゃないかって。

ーーということは、20周年を迎えた去年7月の時点で、今回のアルバムのプランはあったんですか?

Crystal Kay:ありました。そこからゆっくり作り始めたんだけど、コロナ禍で制作がさらに遅れて。でも、時間があったぶん、逆にめちゃくちゃじっくり作れて、すごく良かったと思っています。

ーーまずは曲選びから取りかかったんでしょうか。

Crystal Kay:そうです。「カバーアルバムと言ってもどこから始めようか?」っていうくらいざっくりとしていたから、まずは何を歌おう? っていうことになって。

ーー世の中に曲は無限にあるし。

Crystal Kay:本当にいっぱいあるから、洋楽なのか、邦楽なのかっていうところもあるし。で、一旦スタッフと話して、洋楽じゃないねっていうことになり。でも、聞いてもらうのはファンの方だから、SNSで問いかけちゃえと思って、「私がカバーアルバムを出すとしたら、何を歌って欲しい?」って聞いてみたんです。そしたらブワーッと送られて来て(笑)。

ーーそれはそれで選ぶのが大変っていう(笑)。

Crystal Kay:そう(笑)。全然、曲がバラバラで。ただ、カバーアルバムを作るんだったら、どういう人たちに聞いてもらいたいかっていうこともしっかり考えたかった。自分のファン層を考えると30代~40代っていうのがベースにあるけど、その世代に向けた曲だけを選んでいくと、今の10代、20代は知らない曲がほとんどになる。

ーー自分が子どもの頃に聞いていた曲も90年代とか80年代になりますしね。

Crystal Kay:そうなんです。それだけだとすごく狭まっちゃう。でも、なるべく多くの人に楽しんでもらえるカバーアルバムにしたいから、今度は事務所やレコード会社の社員さんたちに「どの曲がいい?」って、またアンケートを採って(笑)。そこで挙がってきた曲も入れてリストアップしていったんです。でも、今度は「良い曲はいっぱいあるけど、私の声を乗せてみないとわからなくない?」となって。じゃあ、スタジオに入って1ヴァースずつ全部歌ってみようと。

ーーその時点で何曲くらい候補があったんですか?

Crystal Kay:たぶん100曲はあったと思う(笑)。

ーー試していくだけでも大変だ(笑)。

Crystal Kay:でも、試していくと、面白いことに良い曲でも私に全然合わない曲もあるし、逆に「コレ、意外とめっちゃいいじゃん」みたいな発見もいっぱいあって。そこから今回の曲を選んでいったんです。

オリジナルをリスペクトしつつ、歌を聞かせるアレンジに

ーー最新シングル「I Love…」は、Official髭男dismが今年2月に発売した楽曲です。カバーのタイミングがすごく早いですね。

Crystal Kay:最近の曲も入れたかったんです。やっぱりフレッシュさが欲しいから。さっき言ったように、今の10代や20代が知ってる曲を入れたかったし、私も今の曲を歌いたかったし。そう考えたときにヒゲダンの「I Love…」はめちゃくちゃ良い曲だし、ヒゲダン自体すごくいいバンドだし、カバーしたいなって。

ーー彼らの音楽性にどのような魅力を感じていますか?

Crystal Kay:まずヒゲダン(ボーカル藤原聡)は歌がめっちゃ上手い。あと、J-POPなんだけどR&B色が強いですよね。他の曲を聞いてもそうなんだけど、ブラックミュージックが好きなんだろうなって。あと、歌詞もすごく耳に入ってくるし、曲自体すごく上手く作られてる。でもただ上手く作られてるだけじゃなくて、めちゃくちゃキャッチーな曲を作るバンドだなっていう印象でした。

ーー「I Love…」のアレンジはどのような方向で考えていったんですか?

Crystal Kay:オリジナルがめちゃくちゃいい曲だし、イントロからインパクトがあるから、もうガラッと変えて勝負しようと思ったんです。リリースする季節も考えて、今の世の中の状況やこの曲が持っている温かさも考えたときに、スローにしたら良くない? って。それでテンポとキーをいろいろ試しながらピアノと私だけでデモを何パターンか作ってみたんです。そしたら今回のバージョンがすごく良くて。ちゃんと「I Love…」なんだけど、私のフレイバーや良いところがちゃんと出せていて、また違う曲にも聞こえるなって。

ーーベルの音が印象的なホリデーシーズンにぴったりのサウンドになっていますね。

Crystal Kay:「ホリデーI Love…」ですね(笑)。アレンジは川口大輔さん。本当にいいアレンジにしてくださって嬉しかったです。

ーー原曲はソウル/ポップス/ファンク/ゴスペル/EDMなど、様々なエッセンスが盛り込まれた賑やかな曲ですが、今回は音数をグッと減らしています。

Crystal Kay:オリジナルは音数が多いから、逆に少なくしようと。今回のアルバムで大切にしたのはオリジナルをリスペクトすること。プラス、私の曲にすること。そのために歌詞とメロディと私の声をちゃんと聞かせたかったから、今回のアルバムは全体的に音数を少なめにしてるんです。もしくは生音にするか。それがリリースを控えているカバーアルバムのポイントになっていますね。

ーー確かに「3月9日」にしても「歌うたいのバラッド」にしても音数は非常に少ないですね。歌で聴かせるアレンジという印象を受けました。

Crystal Kay:ありがとうございます。やっぱり私の歌を聞いて欲しいから。そもそも普段から音数はそんなに要らないと思ってるんです。良い曲はロックバージョンにもできるし、アコースティックバージョンにもできる。ピアノとギターと歌で成立しちゃうんですよね。

ーー今回、3曲をカバーしてみて気づいたことは?

Crystal Kay:男性目線の曲が合うなと思いました。歌詞が男臭い感じというのかな。私は声が切ないから、そこで何か良い化学反応が起きるんだと思う。ヒゲダンはピュアな男の子目線だけど、「歌うたいのバラッド」とか「3月9日」とか、ロックの男臭い感じが合うのかもって。

ーーチルな方向のアレンジによるところもあると思いますが、「3月9日」と「歌うたいのバラッド」は原曲にあるノスタルジーやセンチメンタルな感じが温かさやハッピーな感じに変わり、逆に「I Love…」は原曲にあるハッピーさを残しながら、センチメンタルな感じが浮かび上がってくる印象を受けました。Kayさんが歌うと原曲と逆のテイストが引き出されるんだなって。

Crystal Kay:わかります。それはあるかも。「I Love…」は、“あなたは私の目を開かせてくれた存在”といった恋の始まりのワクワク感、ドキドキ感を意識して歌いました。“なんだろ、この気持ち?”ってアンバランスな自分に気づきながらもハッピーっていう。そういう感情を歌で表現しようと思いました。

Crystal Kay「3月9日」
Crystal Kay「歌うたいのバラッド」

様々な経験を経て磨かれる歌の表現

ーー歌といえば、去年は舞台『ピピン』でミュージカルに初挑戦しました。ミュージカルでの歌はやはり別物ですか?

Crystal Kay:全然別物ですね。ポップスやR&Bとは違う。『ピピン』は一部でモータウンの曲を使っていて、ソウルフルというかファンキーなカラーがあったから、自分っぽさを入れられたけど、オーソドックスなミュージカルになるとクラシカルな歌い方やストレートな発声をするから全然歌い方が違う。そういう新しい挑戦はありました。

ーーその経験が自身の歌にもたらした変化はありますか?

Crystal Kay:自分ではあまり気付かないけど、変わったと言われることはあります。舞台を経験して自分に自信を持てたから、歌うスタンスに変化があるのかも。基本お芝居だから、どれだけ目の前の人に届けられるかっていうのが大事で。それを経験したからか、舞台後に初めてCrystal Kayとしてライブをやったときは声にパワーがついていたし、ミュージカルの歌は強弱が激しいから、自分の歌でもメリハリを出すようになったかも。あとは歌詞にもっとフォーカスする、言葉をもっと意識するようになったような気がします。

ーーKayさんには、いろいろなタイプの楽曲を歌えるシンガーという印象があるんです。R&Bをルーツに持ち、ポップスやロック調の楽曲も歌い、ミュージカルの舞台にも立ち、さらに今回はカバーですから。そのことについてはご自身でどのように捉えていますか?

Crystal Kay: “いろんなことをやれる”じゃなくて、それをひとつに固めた“Crystal Kayサウンド”を確立したくて。そこは次のオリジナルアルバムでやりたいと考えていて。

ーーいろんなフィールドに立ってきた経験をギュッとひとつにしようと。

Crystal Kay:その“なんでも歌える”っていうのは良いところでも悪いところでもあるのかなと。デビュー当時は「これってCrystal Kayのサウンドだよね」っていうのがあったと思うんですよね。でも「恋におちたら」から、キラキラした王道のJ-POP路線を求めていって。その過程で私の芯がどんどん薄くなっていっちゃったのかなとも思っているんです。だから、今、34歳の大人のCrystal Kayとして「これがCrystal Kayだよね」っていうものをもう1回作りたくて。

ーー今回のカバーアルバムが、そこに向けたひとつのステップになるといいですね。

Crystal Kay:そうですね。今回のカバーアルバムは、サウンドとかフィーリングは私っぽさを入れるようにしてるから、そういう意味では次に行くステップになっていると思います。

ーーデビューから20年歌ってきて、たとえば喉のケアなど、歌うことに対して普段から気をつけていることはありますか?

Crystal Kay:特別なことはしてないですね。ヤバそうだなと思ったら乾燥に気をつけるくらい。鼻うがいだけは日課にしてます。

ーー10代の頃はケアしてましたか?

Crystal Kay:してない、してない(笑)。20代もしてない(笑)。でも30代になってケアというより、喉も筋肉だから準備は必要になりました。歌う前は必ず40分のブレスエクササイズと、40分のボーカルエクササイズ。あとストレッチとちょっと筋トレしてから歌うんです。レコーディングのときもライブのときも。

ーーそれはいつ頃から始めたんですか?

Crystal Kay:6年くらい前から。ニューヨークに音楽留学したときに教わりました。運動前の準備運動と同じで、やっぱり喉も温めておかないといけないから。日々の筋トレみたいなものです。

ーー歌うアスリートですね。

Crystal Kay:そうですね(笑)。やっぱり声を出しておくのと出しておかないのとでは全然違うから。こうしたらこうなっちゃうとか、こうすればこうなるんだみたいな、自分の喉の調子が自分でわかるようになってきました。声出しをしてないと高い音程は出にくくなっているし、やっぱり準備はしないといけないんだなって。

アーティストとしてのスタイルを確立していきたい

ーーひとりのアーティストとして、今後、どのように活動していきたいと考えていますか?

Crystal Kay:さっきの芯の話に戻りますけど、それを見つけたいですね。いまだに1stアルバム『C.L.L ~CRYSTAL LOVER LIGHT~』が大好きなんです。サウンドとかプロダクションが最高だと思っていて。あのサウンドを今、私がやったらめっちゃいいんじゃない? と思うから。あのアルバムの曲たちは今聞いても全然古くないんですよ。

ーー20年前のアルバムだけど、色褪せていないと。

Crystal Kay:たぶんタイムレスなんですよ。プロダクションも、エンジニアさんとかバンドメンバーとか腕の立つ人ばかりだったし、良い意味でこだわりが強い人が揃ってるチームだったから、めちゃくちゃリッチなものが作られていたんだと思う。サウンドは洋楽っぽいんだけど、メロディは日本らしさというか、ちょっとノスタルジックで、歌詞も良くて。

ーーティーンネイジャー感が普遍性に繋がっているところもあるでしょうし。

Crystal Kay:そう。それを13歳とか14歳の私が歌ってるから、すごく面白いバランスで成立していて。最近、自分の中でも納得したんです。これが私にしかできないサウンドなんだ、私にしかできないJ-POPなんだって。日本語の歌詞、メッセージ、メロディなんだけどトラックや歌い方がR&Bっていう。そのミックスが私にしかできないものなんだって。

ーーそこにもう一回立ち返ろうと。

Crystal Kay:それをさらに強くしていこうと。いろんなタイプの曲を歌えるのは日本だと良いところでもあるんだけど、ニューヨークに行ったときに、現地で作ったデモ音源を向こうのプロデューサーに聞かせると「君は何がしたいの?」って言われるんです。

ーースタイルが見えないと。

Crystal Kay:そう。「What’s your story?」「え!?」みたいな。「私、振り幅あるんですけど」って言うのが通用しない。だから、海外でやりたいとかそういう意味じゃなくて、ひとりのアーティストとして今後しっかりスタイルを固めていきたいなっていう思いが今は強くありますね。

ーークリ“スタイル”・ケイを確立させていきたいということですね。

Crystal Kay:そう。“クリスタイル”をね(笑)。

■リリース情報
先行配信第3弾「I LOVE…」
2020年12月11日(金)配信
配信はこちら

先行配信第2弾「歌うたいのバラッド」
2020年8月28日(金)配信
配信はこちら

先行配信第1弾「3月9日」
2020年3月18日(水)配信
配信はこちら

■リリース情報
先行配信第三弾「I LOVE…」
配信日:2020年12月11日(金)
詳細はこちら

先行配信第二弾「歌うたいのバラッド」
配信日:2020年8月28日(金)
詳細はこちら

先行配信第一弾「3月9日」
配信日:2020年3月18日(水)
詳細はこちら

Crystal Kay インフォメーション

■ライブ情報
『Crystal Kay Crystal Xmas 2020』

<ビルボードライブ大阪>(1日2回公演・2DAYS)
12月9日(水)1stステージ 開場17:30 開演18:30/2ndステージ 開場20:30 開演21:30
12月10日(木)1stステージ 開場17:30 開演18:30/2ndステージ 開場20:30 開演21:30

サービスエリア¥8,800
カジュアルエリア¥8,300(1ドリンク付き)
※飲食代は別途精算

<ビルボードライブ東京>(1日2回公演・2DAYS)
12月19日(土)1stステージ 開場15:30 開演16:30/2ndステージ 開場18:30 開演19:30
12月20日(日)1stステージ 開場15:30 開演16:30/2ndステージ 開場18:30 開演19:30

サービスエリア¥8,800
カジュアルエリア¥8,300(1ドリンク付き)
※飲食代は別途精算

<ビルボードライブ横浜>(1日2回公演・2DAYS)
12月24日(木)1stステージ 開場17:30 開演18:30/2ndステージ 開場20:30 開演21:30
12月25日(金)1stステージ 開場17:30 開演18:30/2ndステージ 開場20:30 開演21:30

サービスエリア ¥14,300(クリスマスプレート、グラスシャンパン付)
カジュアルエリア ¥8,800(グラスシャンパン付)
※飲食代は別途精算
 *本公演の横浜公演の予約はビルボードライブWEBサイトおよびプレイガイドにて。ビルボードライブ予約センターでの電話受付なし。

【発売日】
Club BBL会員先行=11月10日(火)正午より
一般予約受付開始=11月17日(火)正午より

※本公演は、政府および各自治体から発表された新型コロナウイルス感染拡大予防ガイドラインを踏まえ、各会場の最大収容人数を通常時以下になるよう調整した新型コロナウイルス感染症対策用の座席レイアウトを使用し公演を開催。
公演詳細はこちら

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