日本でもよく知られる『剣の舞』の作曲者ハチャトゥリアンの第2次大戦下の数日間。浅田真央選手がオリンピックの銀メダル受賞の時に滑った『仮面舞踏会』も彼の曲だ。1942年11月、戦火を避けてソ連の地方都市にやって来たレニングラード国立オペラ・バレエ団に同行、初演を迎えるバレエ『ガイーヌ』の音楽担当がハチャトゥリアン。初日は目前、そこへハチャトゥリアンを嫌う文化省の役人が来て『ガイーヌ』に士気高揚のための踊りを追加、音楽も、と口をだす。そこで、一晩で書いたのが『剣の舞』だった。物語は単純、かつてのソ連映画でよく見てきたパワハラ、セクハラ役人の登場に腹を立てつつ、アルメニア男ハチャトゥリアン役アンバルツム・カバニヤンの濃い顔に見入る。