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東京では実に30年ぶりの『クリムト展』 詳細な展示内容が明らかに!

ぴあ

18/11/10(土) 13:30

2018年のクリムト没後100年と2019年の日本・オーストリア友好150周年を記念し、2019年4月23日(火)より東京都美術館にて開催される『クリムト展 ウィーンと日本 1900』。11月9日(金)に記者発表会が行われ、詳細な展示内容などについて発表された。

19世紀末のウィーンで、ウィーンモダニズムの旗手として活躍したグスタフ・クリムト(1862~1918年)は、1897年に保守的な当時のウィーン画壇から離脱し、「ウィーン分離派」を結成。「分離派会館」を中心に多くの展覧会を開催しながら新しい表現を追求した。同展の監修を務める千足伸行氏(成城大学名誉教授/広島県立美術館館長)は当時の時代背景についてこう話す。

クリムトとその時代について解説する同展監修の千足伸行氏(成城大学名誉教授/広島県立美術館館長)

「ウィーン分離派はひとつの私的なグループですが、市が土地を提供し分離派会館という立派な建物を建てることができた。そういう意味では印象派とはだいぶ違う。非常に恵まれていますね。分離派会館の壁面には“時代にはその時代にふさわしい芸術を、芸術には自由を”という言葉が刻まれています。もちろんこの言葉はオーストリアに限らず普遍的なものですが、特に当時の(保守的な)オーストリアにとってはこういう精神が重要だった。その自由な芸術の中心にいたのがクリムトだったのです」

同展では、クリムト作品の殿堂ベルヴェデーレ宮オーストリア絵画館の全面協力のもと、クリムトの油彩画20点以上を公開。東京では実に30年ぶりとなる本格的な「クリムト展」となる。

グスタフ・クリムト《ユディトⅠ》(1901年)
グスタフ・クリムト《ヌーダ・ヴェリタス(裸の真実)》(1899年)

「黄金様式」の代表作である《ユディトⅠ》(1901年)は、それまで金色を絵の具で表現していたクリムトが、初めて本物の金箔を油彩画に使った作品。また、クリムトが分離派を結成した当時の流れのなかで描いたのが《ヌーダ・ヴェリタス(裸の真実)》(1899年)。鑑賞者をまっすぐに見つめている裸の女性が、右手にもった鏡を鑑賞者に向けているこの作品は、クリムトたちが掲げた新しい芸術運動の理想を示したものだ。

グスタフ・クリムト《オイゲニア・プリマフェージの肖像》(1913/1914年)について解説するベルヴェデーレ宮オーストリア絵画館学芸員マーカス・フェリンガー氏

《オイゲニア・プリマフェージの肖像》(1913/1914年)は、クリムトの後期の様式として象徴的な作品。金、銀、プラチナなどを使うのをやめ、カラフルな色彩と自由で力強いタッチで描かれている。

さらに見どころとなるのが1902年の第14回ウィーン分離派展のために制作された全長34メートルにおよぶ壁画《ベートベン・フリーズ》の複製展示だ。ベートーベンの交響曲第9番に着想を得たこの作品では、黄金の甲冑で武装した騎士が幸福を求めて敵に向かい、楽園にたどり着くまでの旅路が絵巻物のように展開。会場では、1984年に制作された精巧な原寸大の複製により展示が再現され、その壮麗さと迫力を体感することができる。

ほかにも同時代のウィーンで活動した画家たちの作品や、クリムトが影響を受けた日本の美術品なども併せて展示。クリムト作品については、現在交渉中の作品もあるため、展示数がさらに増える可能性もあるという。

なお、同展は東京展の後、7月23日(火)~10月14日(月・祝)まで豊田市美術館に巡回する予定だ。

【開催情報】

『クリムト展 ウィーンと日本 1900』

4月23日(火)~7月10日(水)東京都美術館にて開催

【関連リンク】

クリムト展 ウィーンと日本 1900

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