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SKY-HI×SALU、OAU、the pillows……それぞれのルーツが見えるアーティストの新作

リアルサウンド

19/9/3(火) 7:00

 SKY-HI×SALUによる“東京発”ヒップホップを標榜した新作、話題のタイアップ曲とケルト音楽、フォークなどを内包したサウンドを共存させたOAUのアルバムなどをピックアップ。ルーツミュージックを血肉化し、独自の音楽へと昇華し続けるアーティストの新たな表現を体感してほしい。

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 APRO、Chaki Zulu、GroovyRoom、SOURCEKEY、SUNNY BOYをはじめとする、日本、韓国を中心としたトラックメイカー/クリエイターとともに制作された“SKY-HI×SARU”による2ndアルバム『Say Hello to My Minions 2』。9トラックが収録されたアルバムのトータルタイムは約20分。タイトに集約された本作には、トラップ以降のビートの方向性を示したトラック、先鋭的なビートを的確に捉え、独特の“揺れ”を生み出すラップがたっぷりと凝縮されている。経済、政治を含め、あらゆるシステムが立ち行かなくなっている現在の日本の姿を映し出し、幅広いリスナーが楽しめるエンターテインメントに昇華したリリックも素晴らしい。ジャケットデザインは、東京を拠点とするインターナショナルアート・ ミュージックコレクティヴグループtokyovitaminのメンバー・VICK OKADAが担当。USヒップホップからの影響を“東京発のヒップホップ”として打ち出した意欲作だ。

 ドラマ『きのう何食べた?』オープニングテーマ曲「帰り道」、映画『新聞記者』主題歌「Where have you gone」、10年目を迎えたキャンプイベント『New Acousitc Camp』公式テーマ曲「MIDNIGHT SUN」などの話題曲を含む、“OAU”に改名後、初のフルアルバム『OAU』。ケルト音楽、カントリー、フォーク、ブルースといったルーツミュージックを深く血肉化、美しく、有機的なサウンドへと導いた本作は、このバンドの最初の頂点と言っていい。幼少の頃から地元フロリダのフォークフェスなどに出演していたマーティン・ジョンソン(TOSHI-LOWと並ぶ、もうひとりのフロントマン)の歌が、さらに強く打ち出されているのもこのアルバムの魅力。“より良い人生、豊かな生活とは何だろう?”と問いかける「A Better Life」をはじめ、本質的なメッセージを含んだ歌詞にもじっくり耳を傾けてほしい。

 山中さわお(Vo&Gt)が原案・音楽を担当し、若手注目俳優の岡山天音が主演をつとめるthe pillows結成30周年記念映画『王様になれ』(監督・脚本/オクイシュージ)。山中さわお、真鍋吉明(Gt)、佐藤シンイチロウ(Dr)に加え、TERU(GLAY)、JIRO(GLAY/THE PREDATORS)、SHISHAMOなどが本人役で出演していることでも話題になっているこの映画のサウンドトラックが到着した。新録の「ハイブリッド レインボウ(30th version)」、GLAYのTERU、JIROのアコースティックセッションによる「スケアクロウ」、ストレイテナーのホリエアツシの「ストレンジ カメレオン」のカバーなどが収められた本作は、カメラマン志望の若者を主人公にした映画のストーリーを彩ると同時に、90年代のオルタナティブミュージックを色濃く反映し、独創的なロックサウンドを体現し続けているthe pillowsの軌跡とも重なる。

 昨年12月に初の日本武道館公演を成功させ、「ON THE ROAD」(ドラマ『Iターン』エンディングテーマ)、「おーい!おーい!!」(映画『泣くな赤鬼』主題歌)などの話題を次々と発表。いまや日本の音楽シーンに大きな存在感を残している竹原ピストルだが、自分自身の生活、人生にしっかりと根差し、フォーク、カントリー、ブルースなどを自然に反映させた“アコギと歌”で描き出すスタイルは微塵もブレていない。そのことを象徴しているのが、ニューアルバムのタイトル曲「It’s my life」だ。まわりの状況がどうであれ、他人が何を言おうとも、〈俺の身の丈 今更 伸びも縮みもしねーさ〉という気持ちを抱えながら生きていく。こういう歌を真っ直ぐに歌えるからこそ、竹原は多くのリスナーに支持され、信頼を得ているのだ。

 メインソングライターの福島由也(Dr/Cho)ではなく、ボーカリストの寺口宣明が作詞・作曲を手がけた最新曲「模様」(TVアニメ『トライナイツ』エンディングテーマ)はIvy to Fraudulent Gameにとって大きな転機となった。フォーキーな手触りとJ-POP的なポップネス、叙情豊かな歌詞がひとつになったこの曲は、バンドを次のフェーズに進めると同時に、シンガーとしての寺口の魅力を大きく前景化させたのだ。その効果は2ndアルバム『完全が無い』にも明確に表れている。オルタナティブ、マスロックからの影響を感じさせる緻密にして緊張感に溢れたアンサンブル、そして、感情豊かな歌心を備えたボーカル。この二つの要素のコントラストこそが、Ivyの軸であること改めて実感できる作品である。(森朋之)

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