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三石琴乃が女の子たちに与えた夢と強さ「辛いときはうさぎちゃんが背中を押してくれるはず」

ぴあ

21/1/6(水) 12:00

三石琴乃 撮影:杉映貴子

90年代を代表する、世界中の女の子たちを夢中にさせた少女漫画いえば、「美少女戦士セーラームーン」。そして2021年、なんと25年ぶりの新作映画として劇場版『美少女戦士セーラームーンEternal』が前後編で公開されることが決定! 原作4期「デッド・ムーン」編をベースに、悩みや迷いを通して成長するセーラー戦士たちの姿と、ちびうさの初恋が描かれるストーリーに、現役の少女たちもあの頃の少女たちも、夢中になること間違いなしだ。

そして今日は「美少女戦士セーラームーン」と言えばこの人、主人公・スーパーセーラームーン/月野うさぎのキャラクターボイスを演じる三石琴乃さんに、作品の裏話、「美少女戦士セーラームーン」の色あせない魅力について語ってもらった。

自分の劣等感と向き合ってセーラー戦士たちは強くなるんです

ーー「美少女戦士セーラームーン」の劇場版が映画館で上映されるのは、95年の「美少女戦士セーラームーンSuperS セーラー9戦士終結! ブラック・ドリームホールの奇跡」以来です。25年の歳月を経て、スクリーンにうさぎちゃんたちが登場することへの感想を教えてください。

今の素晴らしい音響設備と大画面で、うさぎちゃんたちが活躍するっていうのは、今から楽しみでなりませんね。

ーー脚本を読まれてまず感じたことや、印象的だったシーンを教えてください。

“夢”というのが大きなひとつのテーマになっているのですが、ムーン以外4人のセーラー戦士たちが、心の奥にある不安や「このままでいいのかな」という悩みに葛藤しながらも、自分の夢が何かをしっかり考えています。そのうえで、劣等感などマイナス感情に向き合って、それぞれ一歩踏み出していくシーンがあるのですが、とても素敵に、魅力的に描かれているなと思いました。

ーーキャラクター描写がそれぞれ丁寧な分、うさぎちゃんの活躍、つまりは三石さんの登場シーンが少なめな気がしました。

正直、前編に関しては「あれ、ちょっと出番が少なめだな」と私も感じました(笑) でもぜひ後編もつなげて見ていただきたいです。大活躍するシーンがありますので!

ーーキャラクターデザインが、90年代版アニメ「美少女戦士セーラームーン」と90年代版アニメ「美少女戦士セーラームーン」と、2014年から配信・放送がスタートした「美少女戦士セーラームーンCryatal」とで違いますが、今回は90年代版アニメで担当した只野和子さんが、再びお仕事をされています。絵柄について、どう思いましたか?

最初に決定稿を見せていただいたときは、懐かしさがありつつも、絵から発する気がすごいと思いました。私は、演じる上でキャラクターの持っている“気”というものを手掛かりにしているのですが、その意味でもすごくパワーが発揮されていたので、とても嬉しいと同時にありがたかったです。

ーー音楽についてもお聞かせください。「私たちになりたくて」が劇中で流れたときは、往年のファンとしてはとても嬉しかったのですが、ももいろクローバーZとセーラー5戦士が歌う「月色Chainon」もとても良かったです。

今回の映画の主題歌「月色chainon」は、ももクロちゃんたちとセーラー5戦士で歌っています。とてもパワフルなのに、女性らしい可憐さや美しさもありますよね。小坂明子さんの作曲なのですが、彼女は「美少女戦士セーラームーン」ととてもゆかりの深い方で、ミュージカルでもアニメでも作曲をしてくださっています。セーラー戦士の強くも切ない気持ちが曲の中にしっかり落とし込まれていて、素敵な曲になっています。

ーーぜひ覚えて歌いたくなりました。

サビの部分が頭に残るし、何度でも聴きたくなる曲ですよね! あと先ほどおっしゃってくださった石田燿子ちゃんが歌う「私たちになりたくて」も、ちびうさの初恋のトキメキとが胸の鼓動が伝わってくるような可愛らしい曲です。憎い演出だなって思いました。

ーー今回の映画の原作である「デッド・ムーン」編は、敵キャラたちがとても魅力的で、ファンからもとても愛されていますが、三石さんからみて敵キャラたちはどんなイメージですか?

まずアマゾネス・カルテットの4人が出てきますが、これは本当に重要な存在です。そしてアマゾン・トリオは役者さんたちがツボを心得て楽しそうに演じているので、見ていてこちらもニヤリとするほどでした。それぞれセーラー戦士を苦しめるという立場なので、いい所でいい活躍をされています。特にホークス・アイというキャラクターがスーパーセーラージュピターを苦しめるのですが、ジュピターに対して言う最後のセリフ、心に刺さりますよ!

ーー大ボスである、ネヘレニアについてはどう思いますか?

ネへレニア様は、セーラームーンの敵役の定番といえばそうなんですが、美しい怖さ、不気味さみたいなものを、存分に発揮しているキャラクターだと思います。前編ではまだ全貌が見えないんですが、後編で解明します!

揺れる心と夢を持つ強さが少女たちの魅力

ーー今回の映画は、繊細な心理描写が重なってできたようなストーリーですが、演じるうえで難しさや迷いは感じましたか?

今回の映画は原作のエッセンスが色濃く出ているのですが、少女漫画ってモノローグ描写が多いんですね。なので映画の中でもモノローグのセリフが多くあり、心情的なものはすべてモノローグで話せ、逆に表面で会話しているところは、楽しいシーンが多かったので、迷うことはありませんでした。

因みに監督からのダメ出しは、特に後編で「ここのシーンは、もっと強めでお願いします」というのが多かったですね。私が思っているよりも、うさぎちゃんは強く、凛々しかったようです。

ーー三石さんご自身、共感する部分はありましたか?

私はセーラー戦士たちのように「こういう夢があるのよ」って言う程、強くはなかったかなあ……。ただ女の子同士は、例え親友と言われる仲であっても、自分の奥底の悩みや幼少期に傷ついた出来事っていうのは、なかなか言えないんだなっていうのは共感しました。自分で乗り越えていくなんてセーラー戦士はさすがですよね。

ーー「美少女戦士セーラームーンCrystal」も、今回の映画も、原作に忠実に制作されているので、90年代版アニメのうさぎちゃんよりも大人っぽさを感じるのですが、三石さんは演じるうえで意識をされていたのでしょうか。

90年代版アニメの方はまさに女の子向け。老舗の東映アニメーション(当時の東映動画)がその力を駆使して、わかりやすさと楽しさを損なわずに、人間愛を描いた女子向け王道アニメーションです。変身シーンや技を繰り出すシーンはアニメの醍醐味ですが、それを存分に表現してくれた作品だと思います。一方の「Crystal」は、原作を受けて少女漫画的な雰囲気ーー揺れる乙女心や恋のときめきで動揺する気持ちとか、そんなテイストがふんだんに盛り込まれた作品だと思います。

そんなことから、「Crystal」については、90年代版アニメでやっていたセーラームーン/月野うさぎちゃんは一度白紙に戻して、新しいセーラー戦士の役者さん、スタッフさんと共にゼロから作り上げました。「Crystal」で1話ずつ積み重なっていったのが、今のうさぎちゃんです。大人っぽい印象というのは、先ほども言ったように少女漫画から来るモノローグ描写が多いから、そう見えるのかもしれませんね。

ーー確かに能天気なうさぎちゃんよりも、考えるうさぎちゃんは大人っぽいです。

モノローグってやっぱり心の中なので、悩みや苦しみとかが表現されるから、大人っぽさが出るんじゃないでしょうか。でもうさぎちゃんの根本は、ドジで泣き虫でお勉強もできなくてという所にあると思うので、そこはブレないように気を付けています。

ーーただちびうさから見たら、うさぎちゃんは大人の女性に見えて、憧れになるんでしょうね。女の子のうさぎちゃんと、大人のうさぎちゃんをバランスよく同じ作品内で表現できるのは、三石さんの声だからだと思います。

おー、それは嬉しい(笑) ありがとうございます~。

演じている側が実は一番のファンなのかも⁉

ーーアフレコ中、皆さんそろって収録されたときに、セーラームーングッズで盛り上がったというお話を伺ったのですが、具体的にどんなお話をなさったんですか?

アフレコ作業も含めて、「美少女戦士セーラームーン」関連で集まるときは、各々が持っているグッズや洋服を身に着けてます。そしてお互いのアイテムを可愛いって褒め合ったり、情報交換をします。「今、WEBでこんなコラボ商品が売ってるよ」「もちろんポチりましたよ!」なんて会話、日常茶飯事です。

グッズやコラボ商品に関しては、セーラー戦士を演じている私が、買わないワケにはいかないよねって、使命感が出てしまうんですよね。アホですねえ(笑)

ーーちなみに三石さんのお気に入りグッズと言えば?

今、つけているイヤリングも「美少女戦士セーラームーン」とアナスイのコラボで、月のマークがついていて可愛いんです。こんな風に日常的に使えるアクセは楽しく身に着けられますね。あ、このカメオもうさぎちゃんなんですけど、ガチャガチャなんですよコレ! 見えないでしょう? 出来がとても素晴らしくてお気に入りです。

うさぎちゃんはすべての女の子の親友です

ーーうさぎちゃんをずっと演じてこられて、うさぎちゃんのキャラクターの一番の魅力は何だと思われますか?

うさぎちゃんの魅力は、これは90年代版アニメも「Crystal」も共通しているんですけど、ドジで泣き虫で、怖いことや痛いことは嫌だって逃げちゃうのに、友達や家族がが苦しんだり悲しんだりすると、助けるためにものすごいパワーを発揮するところ。しかも例え敵であっても、共感して助けたくなっちゃうところ。それは彼女の中の正義であって、世間一般の正義とはズレているとしても、自分の思った通りに進んでいけるっていうのはやっぱり強いです。

うさぎちゃんは誰に対しても人として平等に扱うから、絶対的味方としてみんなに愛されているんでしょうね。

ーーうさぎとまもちゃんの関係性については、どう見られていますか? 前世から結ばれている2人ですが。

前世はプリンスとプリンセスで、結ばれない恋だったけど、現世では見事結ばれて。ロマンチックですよね。ただお付き合いをして、愛を育んでいるけれど、それでもすれ違ってしまうことがある。それぞれ思い合ってのこと、相手を心配しているがゆえのことなんですけど、もどかしさを感じます。

でもうさぎちゃんは自分の気持ちを「あなたが大切だ、ずっと一緒にいたい」と、言葉で伝えるから勇気がありますよね。言葉に出すのが大事って、いろんな歌なんかでもよく聞きますが、なかなか出来ることではありません。プライドとか邪魔しますものね。でも言ったおかげで、よりいっそう2人の絆が深くなるのが素敵です。

大切なもののためには、女の子だって強くなれる

ーー武内直子先生が、なかよしKC第1巻の後書きで「男の子は弱い生き物だから、私たち女の子は守ってあげなきゃね」と書いていらしたのが今も記憶に残っていて。当時子どもだった私は「美少女戦士セーラームーン」のテーマはこれなんだ、なんて新しいんだと衝撃を受けたのですが、三石さんは「女の子が強く美しくあり、愛する者を守るために戦う」ということに対して、演じられた当初はどうお考えでしたか?

うさぎちゃんを演じ始めた頃は、余裕がなかったこともあって、正直、俯瞰から見ることができませんでした。毎週、台本をもらって役をこなしていくのが精いっぱいで、周囲のベテランの方々に助けてもらいながら、ただがむしゃらにアフレコをしていました。「先輩たちにはかなわないから、誰よりも大きな声で芝居をしよう」としか頭になくて、結果、その見当違いの力の使い方が、月野うさぎちゃんとピッタリハマったのかなと思うんですけど……だから当時は、ヒーローの自覚はなかったですね。

ーーその当時と比較して、今回うさぎちゃんを演じるうえで、変わった部分はありましたか?

今回はしっかり守ろうという意識の元、アフレコに望みました。

ーー周りを引っ張っていくリーダー的な……。

皆さん、オーディションで選ばれた精鋭たちだったので、一緒にやってくれてありがとうという気持ちでいっぱいです。私はただ自分の仕事をしっかり勤めようと努力しました。

ーーうさぎちゃんというキャラクターに、ずっと命を吹き込んできた三石さんにぜひお聞きしたいのですが、美少女戦士セーラームーンという作品が時代に与えた影響はすごく大きいと思います。そのことについてはどう思われていますか?

先ほど申し上げた通り、当時は俯瞰で見えていなかったけど、結果的に強い女の子が社会で活躍する今の時代にマッチしたと思います。ただ、まだ男女対等まではいっていませんが……。

ーー社会で働いても、ママになっても、強くならなきゃいけないっていう思想は、「美少女戦士セーラームーン」から生まれているのかもしれません。

「大切なものためには女の子だって強くなれる」と、さりげなく女性の背中を押してくれるような作品だったのかもしれないですね。また、「美少女戦士セーラームーン」は90年代で既にジェンダーフリーを扱っています。女性のパートナーがいる天王はるかさんや女性口調のアマゾン・トリオなどが非難されることなく普通に受け入れられていて、1人の人間としてうさぎちゃんたちは対応していました。そういうものを見て育った子供たち、女の子たちは、実際の世界でもそういったことに対して、偏見なくありのままを受け入れてくれているんじゃないかなあ。

ーーでは最後に、コロナもあって混沌としている今を生きているすべての女の子たちに、ぜひメッセージをお願いします。

辛いことも、いろいろ壁にぶち当たって落ち込んだりすることも、必ずあります。でもその時に「月野うさぎちゃんだったらどうしているかな、こういうときはなんて言うかな」って考えてもらったら、きっと彼女はちゃんと答えてくれて、背中を押してくれるはずです。彼女はすべての女の子にパワーを与えてくれる、友達のような近しい存在なので。

辛かったら逃げていいし、誰かに助けを求めるべきです。そのことを前提に、うさぎちゃんからもらったパワーで、自分の信念を貫いてくださいね。

ーーいつも心にうさぎちゃんを、ですね。今日はありがとうございました!

撮影/杉映貴子、取材/藤坂美樹、構成・文/中尾巴



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