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みうらじゅんの映画チラシ放談

『ミッドウェイ』 『UFO 真相検証ファイルPart1 戦慄!宇宙人拉致事件の真実』

月2回連載

第45回

20/10/1(木)

── 今回の1本目は、公開中の『ミッドウェイ』です。

みうら  『ミッドウェイ』(1976年版)を公開当時に観た記憶があるんですけどね。山本五十六を三船敏郎が演じてたやつ。観てませんか? 開戦前にアメリカ兵の息子が、チャールトン・ヘストン演じる上官の父親に恋に落ちた日本女性の話を打ち明けるんですよ。僕、そこがやたら気になってね。『ひまわり』や『慕情』なんて映画も戦争に引き裂かれた愛がテーマじゃないですか。引き裂かれた愛ですよ。

── メロドラマの要素が強かったんですね。

みうら 昔は戦争モノに差し込まれたもんじゃないですか。帰国を命じられた日本女性と飛行場の鉄条網のフェンス越しに語るシーンがやたらと長いんです。その女性は「もうあなたのことは好きじゃない」とか嘘を言ったんだと思います。でもヘストンの息子は「それはホントじゃないだろ!」としつこく問い詰めて、最後には金網の隙間に指を入れて握り合ってましたね。

でも、どう見てもその彼女、日本の女優が演じてない。当時よくあった間違いだらけの日本人でした。それが今回の『ミッドウェイ』ではどう描かれてるのかが気になっていて、このチラシを選びました。

── そこが気になるんですね(笑)。

みうら 戦闘シーンを目当てに観に行ったんで、かったるくなって寝ちゃったシーンなんですけど、それをエメリッヒ監督がどう描くのか、それを知りたいなと思って(笑)。

以前に『ポセイドン・アドベンチャー』がリメイクされたじゃないですか。でも、逆さまになった階段を登る女の子のパンチラが見えるシーンも、太ったおばさんが「元水泳選手なのよ」って言って頑張って遠くまで泳いで見せたりするシーンもなかった。

CGを駆使してスゴい映像を見せてくれるのも良いんですけど、やっぱ思い出に残るシーンって、そんなとこでね。前の『ミッドウェイ』はそこで寝たけれども、寝たという思い出はしっかり残ってる。むしろ他のシーンよりもよく覚えているくらいです。今回は『インデペンデンス・デイ』のローランド・エメリッヒ監督じゃないですか。アメリカ大統領が宇宙人と戦うために戦闘機に乗る映画を撮った人ですからね、トンデモなシーンを期待してるわけで、こちとら(笑)。

── ただ、今回の『ミッドウェイ』は昔の『ミッドウェイ』のリメイクではないですし、アメリカ人と日本人の恋はなかったです。

みうら え? マジですか。引き裂かれたりはしない?

── しませんね。主人公の米軍将校と山本五十六が戦前の日本で交流があったみたいな話は出てきます。

みうら 引き裂かれた恋愛はいらないと? リメイクだと、今なら日本人女性を菜々緒さんあたりがキャスティングされてるものと思ってたんですが。

── ただ、今回の『ミッドウェイ』は日本人キャストを起用していて、みんながちゃんと日本語で芝居をしていることは評価されていますね。

みうら 前の『ミッドウェイ』は日本人の英語は吹き替えでしたもんね。じゃ、今回、山本五十六は誰が演じられてるんですか?

── 豊川悦司さんです。あと南雲中将は國村隼さんで、山口多聞が浅野忠信さんです。

みうら 浅野さんは昨年、絵の個展を開かれたとき、トークショーのゲストとして呼んでいただいたので、これは観に行かないないといけませんね。もう一度、聞きますけど、今回は大統領は飛ばない?

── 大統領は飛ばないです(笑)。当時のルーズベルト大統領は車椅子でしたから、戦闘機の操縦は難しいですし、さすがに怒られるんじゃないですか? 

みうら エメリッヒにしたら珍しいですね(笑)。史実の歴史ものってそこ、難しいもんですねえ。

── 続いては、『UFO 真相検証ファイルPart1 戦慄!宇宙人拉致事件の真実』です。

みうら こういうテーマ、最近ないじゃないですか。テレビとかでもUFOネタで2時間スペシャルとかやらなくなりましたよね。かつては韮澤潤一郎さんや矢追純一さんが得意としてた分野でしたでしょ。最近はとんと見かけなくなりました。こないだもアメリカの方でUFO騒ぎがあったのに、メディアはあんまり大きく取り上げてないですよね。

口角泡を飛ばして「UFOは存在するか?」みたいな論争をすることも最近はあまりないし。でも、もはやそれって伝統芸能みたいなものじゃないですか。存在するか否かも含めて、なくなっちゃうと寂しいと思うんです。

── チラシ裏の『ムー』の編集長のコメントがちょっと弱気ですよね。

みうら 「UFOに関心がある方は必見だ」ってなってますね(笑)。そこをなんとか、UFOに関心のない方も観てもらって、この伝統を引き継いでいかなくちゃって思いますね。

── この映画、ひと月を置かずしてPART2も公開するようですね。

みうら そうなんですか? どっこいやる気ですね、良かった(笑)。でも、どうなんですか? このチラシでも宇宙人はグレイなんですね。これだと、UFOにあまり興味がない方は「相変わらず今もグレイなのか」って感じてしまって観ないんじゃないかと。

僕が昔、その手の雑誌で見た宇宙人って、タコの形してたもんです。金星人はカニみたいなやつだった。だからグレイ型が出てきたとき、「やっぱり宇宙人も進化してるんだなあ!」って関心したもんですよ。でも、それに決まってからもう随分経ちましたよね。

── 確かにグレイ型宇宙人の時代はかなり長いですよね。

みうら だからそろそろモデルチェンジした方がいいんじゃないかと思うんですよ。コレ、あくまで仕掛けとしてですけどね。今、流行りのアマビエなんてどうです? え、実は宇宙人だった、みたいな(笑)。

このチラシだって“緊急事態宣言”って書いてますから、新型コロナのニュアンスも取り入れてるわけですよね。でも昔だったら絶対に、「コロナは実は宇宙人だ!」みたいな特集が組まれてたはずなんですよ。

── 確かに“コロナ=生物兵器”説ではあまり夢がないですよね。

みうら いや、この伝統にはどこかロマンがあるんですよね。ロマンポルノは廃れましたが、このロマンだけは残したいです。そのためにUFO界隈の方々には頑張ってほしい。僕も一度、ハマキ型UFOを目撃してますからね。

このチラシを見る限り、もう一度、原点に立ち返ろうという気概は伝わってきますね。円盤は昔ながらのアダムスキー型円盤ですよね。人が光に吸い込まれる絵面といい、関心がある者にしたら何度も目にしてきたものです。もう、ミレーの『晩鐘』くらい有名でしょう(笑)。この映画を大勢に観てもらった後に、次の展開が待っているんだと思いますね。

── なるほど。

みうら 今の若い人はピンクレディーの『UFO』のメロディーをUQのCMで覚えてしまっていて、元々そんな歌があることすら知らないんです。だからこそ、この連載で取り上げることによって注目してもらいたいですし、ぜひ、チラシのコメント欄には「UFOに関心がない人も見てください! みうらじゅん」って書き足してほしいですね(笑)。

取材・文:村山章
(C)2019 Midway Island Productions, LLC All Rights Reserved.
(C)2018 Occult Journeys All Rights Reserved. in association with Eden Entertainment Inc.

※次回は10月15日(木)に更新予定です!

プロフィール

みうらじゅん

1958年生まれ。1980年に漫画家としてデビュー。イラストレーター、小説家、エッセイスト、ミュージシャン、仏像愛好家など様々な顔を持ち、“マイブーム”“ゆるキャラ”の名づけ親としても知られる。『みうらじゅんのゆるゆる映画劇場』『「ない仕事」の作り方』(ともに文春文庫)など著作も多数。

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