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押井守の あの映画のアレ、なんだっけ?

ホラー映画はお好きなんですか?

月2回連載

第12回

Q.
ホラー映画が似合うハロウィンが近づいてきました。押井さん、ホラー映画はお好きなんですか?

── 今回はホラー映画についてです。このジャンルの話はあまりしたことがないですね。

押井 怖いのは嫌いなので、基本、ホラー映画は観ません。だから、お話もしたことがない。

── もしかしてホラー映画にトラウマがあるとか?

押井 正解です。化け猫映画って知ってる? あれを子供のときに観て、怖くて怖くて震え上がった。大声で泣き喚き、ついにはひきつけを起しそうになって、劇場からつまみ出されたくらい。

── そ、それは尋常じゃない。化け猫映画はシリーズになっていて、1953年の『怪猫有馬御殿』など5本作られてますね。主演はすべて入江たか子です。私も随分昔に1本くらい観た記憶がありますが、そんなに怖いですか? 

押井 私は、怖かったんです! 壁をぶち破って化け猫が出てくるシーン。凄い形相でカメラに迫って来て、子供の私はもうブルブルですよ。以来、この歳になるまで、夜寝るときは明かりをつけたまま。おそらくそれがトラウマで、いまだにホラー映画はダメなんだと思う。

── 化け猫シリーズ以来、ホラーは観てないんですか?

押井 いや、それが間違って、もっともヤバいホラーを観ちゃったんだよ……『リング』……。

── 中田秀夫監督の『リング』(98)ですか? あれはまた超ド級に怖いですよ。なんでよりによってその作品を?

押井 『リング』の音楽って川井(憲次)くんなんだよ。彼が「押井さん、こんなのやったんで観てくださいよ」と言ってビデオテープを渡してくれたので、その夜、夜中に観始めた……それもひとりで。

── あの映画をビデオテープで観ちゃったんですか!? それは最も効果的というか、怖さ倍増の観方じゃないですか!

押井 そう、あまりの恐ろしさに目をつぶることすらできず、朝までまんじりともしなかった。途中で止めるという選択肢もあったんだけど、この映画、とてもよくできていて、つい最後まで観ちゃったんだよね。これは観ないと損だという私の“監督”の本能と、いやあ、またトラウマになるから止めたほうがいいという“押井守個人”の本能がせめぎあい、結局監督の本能が勝ってしまった。

だから、これまでの人生で最も怖かった映画を挙げよというのなら、この『リング』。映像が持っている嫌らしい恐怖感を見事に駆使した映画。お話で怖がらせるんじゃなく、演出で怖がらせるのがいい。

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