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『スカーレット』戸田恵梨香と溝端淳平の絶妙な掛け合い 朝ドラ法則的には初恋は実らず?

リアルサウンド

19/10/26(土) 12:00

 『スカーレット』(NHK総合)第4週「一人前になるまでは」では、喜美子(戸田恵梨香)が大阪に来て2年半が経ち、荒木荘の女中仕事を一人で任されるまでになる。

 第3週の終わりで、ちや子(水野美紀)の働く新聞社から今の給料の5倍での引き抜きを持ちかけられた喜美子。しかし、女中の仕事を途中で放り出してしまう、自分が一番嫌いなことを選ぶのは嫌だと、誘いを断る。喜美子は女中として一人前になり、本当にやりたい道に進むことを志していた。

 昭和30年、喜美子は18歳に。幼なじみの照子(大島優子)、信作(林遣都)は高校3年生になっていた。第4週で訪れるのは、恋の予感。照子は同じ高校の男子を待ち伏せするほどに恋に落ち、喜美子への手紙に「恋と愛の違いについてあなたは知っていますか?」と書いてしまうほど。同じ頃、信作も女子生徒からラブレターをもらうような甘い学生生活が訪れていた(とは言え、2人とも友達のいない、仲間外れなのは相変わらずだが)。

 そして、荒木荘にも恋の予感が。医学生の圭介(溝端淳平)が、最近近くに引っ越してきた泉田あき子(佐津川愛美)に一目惚れをするのだ。恍惚とした表情を浮かべる圭介を目の当たりにしていた喜美子は、やがて彼の相談役となっていく。終戦の翌年、原因不明の高熱で6つ下の妹を亡くしている圭介にとって喜美子は、可愛い妹のような存在。喜美子が大久保(三林京子)の下で健気に働き始めた頃から、圭介は彼女を「可愛いな」と優しく接していた。

 圭介は勉強一筋で恋愛には疎い。中学生の頃に恋の経験があると言い出す喜美子に、圭介は目を丸くして驚く。しかし、それは照子から“いけないこと”として迫られた木の下でのキス。恋愛を分かったフリをした喜美子が、妹として圭介の恋を応援する“脇役”を張り切る、といったチグハグな関係が見ていて何とも面白い。演じる戸田恵梨香と溝端淳平は、31歳と30歳で同世代。2人とも関西出身ということもあり、息もぴったりだ。

 気になるポイントは、喜美子に圭介への思いがあるのかどうかだ。第5週「ときめきは甘く苦く」の予告では、ちや子から圭介への恋心を指摘され、「恋?」と呆気に取られた顔をする喜美子が。「喜美子の初恋は思いがけない方向に」という記述もある。また、『あさイチ』(NHK総合)のプレミアムトークに出演した溝端は、喜美子との今後について「おはぎがキーポイントになる」とも。第23回で、圭介は喜美子が作ったおはぎが好きと話しており、これが伏線として機能していきそうだ。

 しかし、朝ドラでは代々、『なつぞら』(2019)のなつ(広瀬すず)と天陽(吉沢亮)、『ひよっこ』(2017)のみね子(有村架純)と島谷(竹内涼真)のように、最初に描かれる恋物語は綺麗な形で実らないことも多くある。喜美子と圭介の関係性がどのように発展していくのか。純朴な圭介が恋に溺れ、変化していく様も合わせて注目だ。

■渡辺彰浩
1988年生まれ。ライター/編集。2017年1月より、リアルサウンド編集部を経て独立。パンが好き。Twitter

■放送情報
NHK連続テレビ小説『スカーレット』
NHK総合にて、2019年9月30日(月)〜2020年3月放送予定
出演:戸田恵梨香、北村一輝、富田靖子、桜庭ななみ、福田麻由子、佐藤隆太、大島優子、林遣都、財前直見、マギー
水野美紀、溝端淳平、木本武宏、羽野晶紀、三林京子、西川貴教、松下洸平、イッセー尾形 ほか
脚本:水橋文美江
制作統括:内田ゆき
プロデューサー:長谷知記、葛西勇也
演出:中島由貴、佐藤譲、鈴木航ほか
写真提供=NHK
公式サイト:https://www.nhk.or.jp/scarlet/

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