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西野七瀬センター曲は乃木坂46の歴史を映す鏡 歴代MVからアイドルとしての歩みを辿る

リアルサウンド

18/11/4(日) 7:00

 乃木坂46の22ndシングル『帰り道は遠回りしたくなる』が、11月14日にリリースされる。表題曲のセンターを務めるのは、年内をもってグループを卒業する西野七瀬。卒業シングルとしては、深川麻衣がセンターを務めた14thシングル『ハルジオンが咲く頃』、橋本奈々未がセンターを飾った16thシングル『サヨナラの意味』に続く、3枚目に当たる。

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 また彼女は、今作でグループ最多となる7度目のセンターを飾ることとなる。初めてセンターを務めた8thシングル『気づいたら片想い』から、22ndシングル『帰り道は遠回りしたくなる』まで、白石麻衣、齋藤飛鳥とのダブルセンターを含め、彼女のセンターの軌跡は乃木坂46が歩んできた上り坂の歴史を映す鏡でもある。本記事では、西野がセンターを飾ったシングル表題曲7作から5作のMVを選出し、その歩みを辿っていく。

■8thシングル『気づいたら片想い』

 西野の初センターとなった「気づいたら片想い」は、彼女がセンターに選ばれるというストーリー仕立てのMVとなっている。泣き笑いの表情が印象的なジャケットが表すように、切ないメロディとサウンドによる楽曲だ。寿命があとわずかな西野の命を“たんぽぽの綿毛”に例え、メンバーと共にライブのステージを目指す物語は、“切ない”と“刹那”でのダブルミーニングである。監督は柳沢翔、クリエイティブディレクターは澤本嘉光。澤本は、後に「今、話したい誰かがいる」「帰り道は遠回りしたくなる」でも、再び西野と関わることとなる。

■9thシングル『夏のFree&Easy』

 西野にとって2作連続でのセンターとなった「夏のFree&Easy」は、「気づいたら片想い」とは打って変わってアップテンポな夏曲。リリースから4年が経った今でも、「ガールズルール」に並ぶライブ定番曲であり、西野の威勢の良い煽りからの「夏だからやっちゃおう!」コールは、会場のテンションを一気に最高潮へともっていく。丸山健志が監督を務めたMVは、ダンスとリップシンクで構成されており、テーマは「都会に住む、文化女子達」。メンバーが付けている色鮮やかなヘッドホンやダンスシーンの撮影に使われたガラス張りのライトグリーンが際立つ「Bershka 渋谷店」など、眩しい夏の始まりを想起させる映像である。

■11thシングル『命は美しい』

 リリース当時、“乃木坂46史上最高難易度のダンス”と謳われた「命は美しい」は、黒い涙や枯れた枝木など「生死」をイメージさせるMV。初披露は極寒の西武ドーム(現在のメットライフドーム)で開催された3周年記念ライブで、メンバーの吐く白い息がダンスの激しさを物語っていたのが強く記憶に残っている。2017年に開催された東京ドーム公演では、床全面がLEDとなっているサブステージにて、メンバーのダンスと同期した映像と共に、アーティスティックな演出が施された。乃木坂46の楽曲の中でも、芸術性の高い1曲である。

■17thシングル『インフルエンサー』

 西野が白石とともにダブルセンターを飾った「インフルエンサー」は、『第59回日本レコード大賞』を受賞し、『第68回NHK紅白歌合戦』(NHK総合)でも披露されたグループを代表する楽曲の一つ。特徴的なのは、Seishiroが振付を担当した「命は美しい」の難易度をも上回る超高速ダンス。バナナマン・日村勇紀が、ヒム子に扮して『テレ東音楽祭2017』(テレビ東京)に始まり、明治神宮野球場公演、紅白の舞台でも共演し、多くのファンに強烈なインパクトを残した(同年の『NHK紅白歌合戦』はモニター越しで共演)。エキゾチックなサウンドは、フラメンコの演奏に使用されるスパニッシュギターから構成されており、その情熱的な雰囲気とも相まって、ライブでは火柱の特効で彩られることが多い。

■22ndシングル『帰り道は遠回りしたくなる』

 「人生は様々な偶然が重なって変わっていく」をテーマにした「帰り道は遠回りしたくなる」には、そのテーマの通り西野がこれまで大きく関わってきたスタッフが集結している。監督には彼女が主演を務めたドラマ『電影少女 – VIDEO GIRL AI 2018 – 』(テレビ東京)でも指揮を執った関和亮、クリエイティブディレクターは「気づいたら片想い」「今、話したい誰かがいる」を担当した澤本嘉光が務めた。公式ホームページでの解説では、「乃木坂46の中で実際にあった過去のエピソードや、各メンバーに西野七瀬の印象深かった所を事前にリサーチし、各シーンでもそれを採用している」とあり、映像を細かく見ていくと、これまでのMVやメンバーとの出来事が多様にオマージュされていることに気づく。

 秋元真夏の「おかえり」は過去に西野がライブで言った「真夏、おかえり」へのアンサー、カラオケ画面には卒業生・生駒里奈が映り、美大に進んだ西野がかけている丸眼鏡は、「サヨナラの意味」MVと映画『あさひなぐ』での姿をイメージさせる。まだまだオマージュはあるのだが、特筆すべきはラストのライブシーンだろう。ダンスレッスンを経て、ステージを目指すストーリーは「気づいたら片想い」の西野の姿を重ねる。美大に進んだ西野とアイドルの道を志した西野、様々な分岐点を経て描かれる物語は、2人が出会い「ありがとう」と「アリガト」の言葉で繋がれる。

 同曲の背中を押すような明るい曲調と、西野の満面の笑みで終わるラストが、乃木坂46としての7年間と、これから続いていく西野七瀬としての未来を表しているように思う。(渡辺彰浩)

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