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稲葉友の「話はかわるけど」

プロ×本人解説×濃度【前編】

毎週連載

第102回

20/12/16(水)

映画や演劇、音楽を楽しんだ後に「他の人はどう思っているのかな」と、WEBの海で感想や考察を探したことはありませんか? 稲葉さんの思う、ベストな解説について語ります。

今の世の中、芸術・エンタメ・政治・教育・時事問題、とにかくあらゆるジャンルにおいて、それに対する考察が溢れている。最近だとNiziUがデビュー曲のMVを出した後、それを見た人の多くが「この場面にはこの意味があって」というのを多く目にした。ネット上でも「考察班」と呼ばれるすぐに何かを探し当てる人がいるし、深読みというか「これは実はこうなんだ」と発信して共有したい人が増えてきている。

エンタメでも考察しがいのある作品が多く発表される中、その道のプロによる解説や考察が見ていて楽しい。例えば僕はお笑い芸人さんによる「あの年のM1グランプリの話」なんかはじっくり見てしまう。ネタの構成の妙とか大枠から細部までさすがと思う意見や視点がとにかく多い。ラッパーが他のラッパーの楽曲のリリックを解説するのも見ていてとても面白いし説得力が違う。ただそうなってくるとやっぱり、作ったご本人による解説がダントツで面白いし美しいと思える。

この前KREVAさんがZORNさんというラッパーと曲を出した際に、YouTubeの無料生配信ライブでひたすらその1曲について話していたのがファンとしてはたまらなく面白かった。アーティストとしての成り立ちからくるフレーズや踏んだ韻の意味、どこから着想を得たとか、この歴史があってのこのフレーズなどなど。ファンなら聴いていて分かっていた部分もあるんだけど「そこまでは読めてなかった!」みたいなのも当然あってワクワクしながら1時間40分釘付けだった。特にKREVAさんが曲の中でも言っていた「伝えなくちゃ伝わらない」というのが、灯台下暗し的な盲点というか「そりゃそうだ」と腑に落ちた。伝えることによって伝わるという当たり前のことを明確にやっていることが、僕にはとても格好良く見えたのだ。

僕の場合は芝居だけど、演技や作品だけで伝えよう届けようということはある種正義だと今でも思う。そして観客によっては作品外のアフタートークとか、聞きたくない人がいるのも知っている。余韻をもって帰りたいとか、自己解釈で噛み砕きたいとか、色々理由はあるはず。でも未来に続く作り手を育てる意味でも、観てくださる人が楽しむ幅を広げるという意味でも、作家さんや演出家さんや出ている役者が作品を語るのはすごく大切なことなんだなと改めて感じた。懇切丁寧にすべてを解説する必要はないにしろね。その世界のトップランカーたちが、お笑いにしろ音楽にしろ語ってくれるのは観てて聴いてて興味深いしいいなと思う。

僕は映画の公開前なんかにインタビューを受けることがある。逆にラジオ番組のホストとして、ゲストにインタビューをするときもある。インタビューを受けるときは、インタビュアーさんがこちらが気づいていなかった考えを、質問や会話で引き出してくれたときが嬉しい。インタビュアーさんによって個性が違うのはわかるし「この作品に興味をもってくださったんだな」と伝わってくる。

お約束な質問というのもある。こちらとしては映画公開前に「見どころはどこですか?」という質問をされたら「全部です!」と言いたいのが正直なところ。もちろんそういうことを聞きたい訳でないのは分かっているので「あのシーンは物理的にすごい大変で、感情的にもしんどい山場でした」とか「ここのシーンは仕上がりを観て感動しました」とかお答えしたりするが、全部観てあなたの見どころを決めてくださいが本音だったりする。

ではなぜお約束な質問をするのか、当然意味はある。公開された記事がその作品を知る入り口になるわけで、作品を広めるためには興味をそそるフックが必要。これから観る方にお約束な質問の答えは観たいと思ってもらえるきっかけになりうる。もちろん観たうえでその記事をより深く楽しんでもらうこともできる。だからこちらも良い見どころの紹介の仕方を考える、という具合だ。

お互いお仕事だからこその質疑応答だが、形式的なものを超えた何かを感じた瞬間に喜びを感じる。それが熱量なのかフィーリングなのか何なのかは確かではないけど、表に出る側としても受け取り側としてもそういうものに触れていたいと思う。

次回の更新は12月23日(水)、引き続き、解説することについて考えていきます。お楽しみに!

プロフィール

稲葉友(いなばゆう)

1993年1月12日生まれ、神奈川県出身。
2010年、ドラマ『クローン ベイビー』(TBS)で俳優デビュー後、ドラマ、映画、舞台と幅広く活動。
主な出演作に、ドラマ『仮面ライダードライブ』(‘14~’15 EX)、『MARS~ただ、君を愛してる~』(’16 NTV)、『ひぐらしのなく頃に』(’16 BSスカパー!)、『レンタル救世主』(’16 NTV)、『将棋めし』(’17 CX)、映画『ワンダフルワールドエンド』(’15)、『HiGH&LOW』シリーズ、『N.Y.マックスマン』(’18)、『私の人生なのに』(’18)、舞台『すべての四月のために』(’17)、映画『春待つ僕ら』(’19)『この道』(’19)など。
J-WAVE『ALL GOOD FRIDAY』(毎週金曜11:30~16:00生放送)ではレギュラーパーソナリティ―を務める。

撮影/高橋那月、取材/藤坂美樹、構成/中尾巴、ヘアメイク/速水昭仁、スタイリング/添田和宏
衣装協力/コート¥72,000/クルニ
カーディガン¥12,000/エバース
オールインワン¥6,300/キャスパージョン(すべてシアン PR TEL:03-6662-5525)
ソックス(3足セット)¥2,500、スニーカー¥9,000/ともにヴァンズ(ヴァンズ ジャパン TEL:03-3476-5624)
その他スタイリスト私物
※すべて税抜き価格

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