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ぴあ

いま、最高の一本に出会える

「CIRCLE '18」の様子。 (写真提供:CIRCLE)

福岡「CIRCLE」主催者の次の一手は「Q」

ナタリー

19/3/16(土) 10:00

5月18、19日に開催を控える福岡の野外イベント「CIRCLE」。今回で9回目を数えるこのイベントは、皆勤賞である細野晴臣を筆頭に、EGO-WRAPPIN'が6回、ペトロールズが5回など良質なアーティストが連続出演を果たす“ブッキングの色”で異彩を放ち、全国の音楽ファンからの注目を集めている。

このイベントを手がけているのは、LITTLE CREATURES、高田漣、沖仁らを擁するマネジメント事務所・TONEの社長でありながら、細野晴臣やCorneliusのライブ制作なども手がける是澤泰志氏。氏はそのマルチな活躍ぶりから、音楽業界の名バイプレイヤーとして広く名が知られた人物だ。

そして是澤氏は東京・両国国技館と兵庫・神戸ワールド記念ホールで3、4月に新イベント「Q」をスタートさせることを発表。Cornelius、ゴダイゴ、never young beachが競演するなど、こちらもブッキングの妙が光るもので、何より「CIRCLE」主催者の次の一手として話題となった。

音楽ナタリーでは、そんな是澤氏の作るイベントに着目。「CIRCLE」「Q」が生まれた経緯を中心に話を伺うことにした。なおこのインタビューには、是澤氏と同様にインディペンデントでアーティストのマネジメント / レーベル事業を手掛け、是澤氏とも親交の深いカクバリズムの角張渉氏にも同席してもらった。

本当の“なんでも屋”

──まずは是澤さんの“本業”を整理させていただけますか。

是澤泰志 基本的にはミュージシャンのマネジメントです。それプラス、ほかの事務所の方のコンサート制作を行っています。今ライブの制作をお受けしているのは細野晴臣さんとCornelius。ありがたいですね。Corneliusは、僕がレコード会社に勤めていたときに関わっていました。仕事の割合は時期によって変わるんですけど、細野さんやCorneliusのツアーに出ると8割くらいは外部の仕事に時間を使っていて、自社案件は2割くらいかな。

角張渉 是澤さんのライブ制作はすごいんですよ。マネジメントを知っている人の制作だから、行き届いているんです。ライブの1から10までだけじゃなく、マネジメントがフォローする部分まで気にかけてくれるっていうか……そのぶん仕事も多いんでしょうけど。

是澤 弊社のミュージシャンもツアーをやるんですけど、忙しいときには他社さんにライブ制作を頼みたいときもあるんですよ。でも、頼みたいライブ制作の方との出会いがあまりなくて。せっかくお願いするなら、自分よりも優れている方に頼みたいから。

角張 出た(笑)。是澤さんはそこが厳しいんですよね。どっかで妥協しなければならないところを、それができないんですよ。いばらの道を歩きたい。

是澤 いやいやいや(笑)。角張だってそうでしょ?

角張 僕なんか、もうちょっとユルいですもん。あと、是澤さんと仲良くなり始めた頃に打ち合わせのお願いをしたら、レコーディングスタジオを指定されて。そのときbirdさんのレコーディングが行われていたんですけど、当時是澤さん、外部の原盤ディレクターという立場でソニーの仕事をされていたんですよね。最初は「どういうことなんだろう?」って思ったんだけど、「なるほど、外部ディレクターという仕事はこういうことなんだ」と知り得たというか。それも特殊ですよね。

是澤 ほかにも冨田恵一さんのディレクターをやらせていただいていた頃かな。でも今は原盤ディレクターの仕事は物理的にお受けできない。アルバムを作ろうと思ったら丸1カ月はかかりっきりで、ほかの業務ができなくなるから。

角張 レコーディングって終わらないですからね。何時に終わるかわからない。しかも是澤さんの場合は歌のテイク選びとかも厳しいから。言ったらディレクター兼プロデューサー。ライブ制作もできるし、すごいですよ。勝手に言わせてもらうと“何でも屋”っていうか、インディペンデントでいろいろやれる。

是澤 すべての仕事がそうなんですけど、まずは全部知りたくなるんですよ。これまでもすべて勉強だと思って、やれそうだと判断したらどんな仕事でもお受けしてきました。もちろん「なんでそれ僕なの?」みたいな“巻き込まれ”もあったんですけど(笑)、すべてが自分の血や肉になると思って。そんな中、去年50歳になって、「もう大概勉強させてもらったんじゃないかな」と思って。それで原盤ディレクターは基本的にはもうお受けしないことにしました。コンサートの制作も、現状以上はお受けしません。体力的にもお受けできないですしね。

──角張さんもカクバリズムの運営を軸に、いろいろと手広くやられているような印象があります。

角張 僕はレーベルとマネジメントだけなんです。小さなイベントの制作は自社でやっちゃうことがあるけど、フェスはやりませんし、地方でライブをやるときはイベンターにお願いしています。それに他社アーティストの業務を扱うってことはやってないですね。

細野さんをフェスで見たい

──それでは本題に移ります。是澤さんはさまざまな顔を持ちながら、福岡に「CIRCLE」を根付かせ、そして今年は東京と神戸で「Q」をスタートさせます。是澤さんはなぜイベントをやりたがるのかな、と。まずは「CIRCLE」発足の動機と経緯を教えていただけますか?

角張 やりたがるって(笑)。僕は是澤さんを見てきて苦労をわかっているつもりなので、「やりたがっているんだっけ?」って感じすらありますけど(笑)。先に話すと「CIRCLE」については、是澤さんが九州、福岡で何かやりたいっていうのがあったんですよね。“春フェス”っていう言葉ができる前くらいかなあ。最初に細野さんに出てもらおうとしたんですよね。

是澤 そうそうそう。「CIRCLE」は2007年に初回をやったんですけど、僕は九州の宮崎出身で、予備校時代に福岡にも1年住んでいて。いつか九州で野外イベントをやりたいなあという気持ちがあったんです。福岡のBEAというイベンターのスタッフに言っていたんですよ。「フェスやろうよ!」って(笑)。そしたらいよいよ開催するということになって。それで僕は外部スタッフとして、ブッキングと制作を担当しまして。だから最初は僕が主催者ではなかったんだけど、ずっと大好きな細野さんをフェスで観たい!っていう気持ちがかなり強かった。そのために2006年頃から動き出していて。まずは細野さんにオファーして出演OKをいただいて、ほかにどんな方々に出ていただくと面白いかってところを任されたんですよね。角張のところからは、SAKEROCKにも出てもらいましたよね。もう12年前。僕は38歳で、角張は28歳。

角張 そうそうそう。終わって細野さんがタクシーに乗るときに万歳で見送った記憶がありますよ。「わ、細野さんが来た……バンザーイ!」って。どんだけ全員緊張していたんだ!っていう(笑)。

是澤 でも初回は赤字になってしまって、2回目ができなくなるんです。しかも2回目のブッキングが9割くらい決まっていたタイミングで白紙。今だから言える話で、当時はCorneliusが「SENSUOUS」のワールドツアーを終えて、最後に東名阪で日本公演をやるってことになっていたんですけど、福岡公演がなかったから、そのファイナルとして「CIRCLE」でやってほしいなと画策していたんです。でも結局イベント自体がなくなってしまった。悶々としているところに、東京のイベンターから「(偶然にもCIRCLEと同じ日程の)日比谷の野音が空いたんだけど、やりません?」って連絡が来て。それで野音で「CIRCLE」の東京出張版をやるかってなって、もともと「CIRCLE」にお誘いしていた細野さんやハナレグミに改めて声をかけたら、まだスケジュールが空いているって。それが2008年ですね。「CIRCLE '08~東京出張~」を開催しました。

角張 あー、ありましたね。ほかにDouble Famousが出て、うちからはSAKEROCKが出たやつ。

是澤 そうそう。お陰様でチケットは売れたんですけど……まだ当時は今のようにSNSが普及してなくて、mixiの掲示板を見たらいろいろ書かれているわけですよ。九州の人も書き込んでいて、「いろいろあるだろうけれど、やっぱり福岡ではイベントはできないんですね。寂しいです」っていうのを見たんです。もう胸が痛んで。「これはどんなことをしても、福岡でもう1回『CIRCLE』をやらなければいけないな。かつ、この名前を福岡以外では絶対に使わない」って決めたんです。「CIRCLE」は九州の人のためのもの。ほかでは絶対やっちゃダメ。それで福岡でまたやるために、まずは東京と大阪で「Springfields」というイベントを立ち上げました。それを2009~2011年の3年間やりながら、自分でいろいろシミュレーションですよ。収支のこととかを勉強し直して。

角張 不勉強だったって気持ちがあったんですね。

是澤 そうなの。そして3年目は東京、大阪、満を持して福岡でやってみた。そうしたら、福岡の収支が真っ赤っかだったの。東京と大阪の利益で補填しても、全体で赤。でね、福岡で「CIRCLE」をやるために東京と大阪で補填のためのイベントをやらなきゃならないって考え方は間違っているなって思ったんです。「もうやめた、福岡でしかやらない!」って。

角張 えー!(笑)

是澤 だって、もうそれでしか自分のモチベーションが上がっていかなくて。それからBEAのスタッフに、「もう1回やりたい」って掛け合ったんです。そしたら「野外イベントのリスクは負えない。申し訳ないんだけど」って言われちゃったの。だから、「わかりました。うちが100%リスクを背負ってやります。運営を手伝ってください」って。

角張 当時TONEのスタッフに話を聞いたときは「腹を決めた」って。戦国時代みたいだなって思いました(笑)。是澤さんの話とは比べものにならないですけど、僕もツアーで赤を出したことはありますよ。マジでキツいなと思いました。本当に、1カ所の赤がほかの黒を食うことはあるんですよね。

是澤 でも、また同じ企画をツアーでやろうとしたとき、その1カ所は外さないでしょ? リベンジマッチ! 僕は外さないもん。

角張 性格出ますよね……僕はわからないです(笑)。

5年ぶりの復活

──それから「CIRCLE」が再び行われたのが2012年ですよね。音楽ナタリーでは2013年から毎年レポートさせていただいています。

角張 是澤さんが2回目を断念するときの気持ちも、復活させるときの気持ちも側で聞いていたから覚えています。非常に感銘を受けて、当時ブログとかに書きましたもん。

是澤 そうだったんだ(笑)。でも復活して最初がひどかったんです。思った以上に当日券が売れてお客さんがたくさん来てくれたんだけど、こちらの想定を超えていたからビールが午前中で売り切れて、トイレも満タンになって、最後なんてリストバンドが足りなくなって、途中で買いに行っていますからね。足りないお客さんのぶんは無地のバンドですよ。主催者として、あらゆることが行き届いていなかった。

角張 過去に赤字を出しているから、余分を用意する余裕がなかったんですね。

是澤 そうそう。とにかく赤字にしたくなくてギリギリの準備しかしてなかった。読みが甘かった。落ち込みましたよね。でも、ほんの少しだけ純利益が出たんです。で、終わってからBEAと精算するときに、本当に少額ですけど利益を折半させてもらいました。どういうことかというと、「これは僕の気持ちです。来年以降は御社と、損益折半でご一緒させていただけませんか?」っていうご提案をさせてもらって。それからはBEAと一緒にやっていて、今年で8回目。もちろん収益面では毎回いろいろありますが、順調というか安定して続けてこられました。

角張 「CIRCLE」には出演アーティストのマネージャーという立場のほかに、毎年DJとしても参加させていただいているんですけど。もうすごいですよ。通常は交通費、宿泊費などはギャラにインクルードされていることもあるんです。でも「CIRCLE」は違う。バンドの人気の強弱に関係なく、めちゃくちゃケアがすごいし、気持ちがいいですよ。だから、是澤さんの何かってなったら協力したいってアーティストも多いし、是澤さんの会社に所属したいって人もいる。優しいけれど、厳しいところはすごい厳しいっていうのも信頼感につながっているのかもしれません。

是澤 僕はマネジメントもやっているじゃないですか。だからミュージシャンに付いて各地のフェスに行くんですけど、そこで勉強させてもらったことは実践するようにしているんです。例えば新人の出演者にも多いか少ないかは置いておいて、ギャラはちゃんとお支払いしたいし、交通費も全額支給したいなっていうのはありますね。

角張 あと、アーティストの目線から言えば、あの時期に福岡に行けるのもいいんですよね。春に九州でやっているイベントって、実はあまりないから。あとは出ている人たちがみんな好き。刺激し合える。価値観があまりにも違う対バンとかってたまにありますけど、「CIRCLE」はそんなこともないし、かつブッキングに色があるものだから、お客さんも含めてちゃんと会話ができているような気がするんです。悪い意味ではなく、“ノリの違うものに対して、ちゃんと拒絶反応がある”って言うのかな……これ、悪い意味以外で伝わるかな(笑)。

──今年は「Q」をスタートさせますが、「CIRCLE」も続けていくのですよね?

是澤 はい、あと10回はやりたいですよね。角張さんみたいにセンスのいい若い世代のスタッフが現れて、「今後もやっていきましょうよ」って言ってくれる人がいたら引き継ぎたいなという気持ちがあるんです。福岡にお返しする、じゃないですけど。で、僕は会場で焼き鳥でも売りたいな、と。

角張 それ、ずっと言ってますよね(笑)。

“出演者発表前にソールドアウト”が理想

──では「Q」はどういった理由で?

是澤 終活じゃないけど……50歳になって、正直「自分の会社がもっと儲かるといいな」っていうのは、もうどうでもいいなあって。もちろん儲かればいいんだけど(笑)、それよりも、もっとたくさんの人に喜んでもらえる仕事をしたいって思うんですよ。そう考えたときに、「CIRCLE」も安定期に入っているし、東京でもイベントをやったほうがいいのかなって。大学時代からずっと東京にいますしね。

角張 「Q」は是澤さんが出演者を考えているときから話を聞いていたんですけど、もうそれが楽しそうで(笑)。考えてみれば、Corneliusとゴダイゴって本当にすごい組み合わせですよ。すごいバンド同士のぶつかり合い。Corneliusのライブも東京で観られるのがうれしいですね。今、ハンパじゃないんで。

是澤 そうですね。ライブ制作担当としても、Corneliusはたくさんの人に観てもらいたいって思いはあります。

──「CIRCLE」の路線を踏襲するようなイメージですか?

是澤 基本的には「CIRCLE」と同じ感じでいきたいなと思っています。「CIRCLE」って名前を使ったほうがある程度認知されているからいいのはわかっているんですけど、もう福岡以外ではやらないって決めたから(笑)。じゃあどう差別化をしていくかと考えたときに、これは不可抗力的なことだったんだけど、野外ではできないっていう前提がありました。でも屋内だったら見え方も違うと思うし、野外に苦手意識があるお客さんもいらっしゃるだろうし、大人が楽しめるイベントにしたいって思いもありました。

角張 しかも国技館は飲めますからね。

是澤 そうそう。ホールの客席では飲めないですよね。お酒も飲めて色気のあるロケーションと考えたときに、国技館がいい。そうしたらピンポイントで空いていたんですよ、スケジュールが。

──是澤さんにとって“イベントの成功”って、どういったものなのでしょう。

角張 あー、そこは是澤さんは特殊ですよ。普通は売り上げを上げてもっと有名なバンドを呼びたいとか、環境をよくしたいとか、もっと欲が出ると思うんです。是澤さんはそうではなくて、もっと“有限性の幸せの共有”とか、そういったものを目指しているように見える。

是澤 欲、出ていますよ。「Q」を作っていて、「CIRCLE」はユルくやり過ぎたって思っているくらい。だから変な話、「CIRCLE」で稼がなきゃなって思っている部分もあります。「Q」も続けていきたいから。これまで「CIRCLE」ってまったく協賛を入れていないんです。チケットの売り上げだけでやっているイベントなんです。でも、今回は営業をかけていますから。

角張 それ、本当にすごいですよね。ビール会社とか入っているイベントも多いのに。

是澤 いろんなビールを飲みたいじゃない。成功ってところに話を戻すと、1つの例なのですが、「朝霧JAM」は「CIRCLE」の考え方の素になったイベントなんです。始まったばかりの初期に何度か行って、本当に感動してしまって。だからステージ構成も参考にさせてもらってます。あとね、当時の「朝霧」は出演者発表が本番の直前だったんですよ。誰が出るのかもわからないのにチケットが前売りでソールドアウトしていた。それが1つの成功じゃないかなあと。イベントに対する信頼度があって、「誰が出てもいく」みたいな。「絶対に出る人に間違いがない」みたいな。実際にはできないけれど。

──そういえば角張さんは、大きなイベントをやるつもりはないのですか?

角張 僕はやっぱり雑なのと、リスクの背負い方が下手。向いてないと思うんですよね。あと是澤さんを見ていると、「自分はそんなにフェスをやりたいわけじゃないのかも」って思うんです。やっぱりモチベーションが高い人がやるほうがうまくいくし、それであまり成功していないイベントもたくさん見てきましたから。僕は毎年「CIRCLE」に参加しているほうが最高に楽しい(笑)。それに、お客さんはバカじゃないですからね。ZEPPや武道館なんかでワンマンができるようなバンドを2組呼んで対バンをやっても、想定の10分の1くらいしか入らないことだってあります。企業っぽくなればなるほどそういう傾向にあるような気がするし、“定着”も大事。最初に大変な思いをしながら、定着させていかないと。3年くらいは気合いが必要なんじゃないですか? それを考えると……ねえ。

イベントはなんか不思議で、楽しい

──ここまでの話を踏まえて、改めて是澤さんはなぜイベントをやるのですか?

是澤 僕、就職する前はライブハウスがやりたかったんですよね。今でもその思いがあって、小さなステージがあるカフェとか。ただ、そういう時間も資金もないので、年に1度、みんなが集まる楽しい場所を作りたい。フェスをやっていると、不思議なんですよね。1年かけて一生懸命準備して、わーっと集まって、終わったらわーっとみんな帰っていく。それがなんか不思議で、楽しいんですよね。

角張 「CIRCLE」だと、出演者がバックステージに着いたときに、是澤さんが「よく来たね!」って顔で迎えてくれるんです。あれ、「ウエルカム!」って感じと、楽しんでもらいたいって感じが出ていますよね。あと是澤さんは、大変であろうときも楽しそう。「あー、車足んねえな!」ってときも楽しそうです。是澤さんがそういう姿勢だからか、是澤さんのイベントってバックステージがみんなフラットというか。お互いにリスペクトし合える関係性の人たちが多いし、誰かが誰かにへり下るって感じもないですよね。

是澤 「CIRCLE」は楽屋も集合楽屋だしね。そこで出演者同士のコミュニケーションが生まれるんです。それがきっかけで東京に戻って一緒にライブをやったり作品を作ったり。

ジェラシーを唯一感じるのが角張さん

角張 裏方の仕事って評価されることは少ないけど、是澤さんじゃないと成り立っていないことが多々ありますよね。そして知らないうちにその恩恵を受けていることも多いんだろうと思います。僕は比較的出たがりな裏方だから、その部分は伝えていきたいと思います(笑)。あと個人的には、是澤さんは次から次へとチャレンジしていくから、その背中を見て学ばせてもらっているところもあります。

是澤 チャレンジ、なかなかできなくなるからね。やっぱり「Q」もそうだったけれど、いろんな人に「しっかり練り直して、来年、再来年にやったら?」と助言をいただきました。でも、やるなら今。「エイ!」って感じで。

角張 その行動力。是澤さんがやっていることって、僕ができないことが多いんです。「これ無理だな」って。となると、できないからやらなくてよくなる(笑)。だってCorneliusのライブとか観ていても、鬼ですよ。各セクション。ツアーの組み方もそう。是澤さんは昔、「50歳くらいで石垣島に移住したい。月15万円くらいくれないかな」とか言っていましたけど、たぶん75歳くらいまで現役でやるんじゃないでしょうか。

是澤 いやいやいや(笑)。年齢的なゴールを決めておくとモチベーションになりますから。僕、「CIRCLE」を復活させたときに42歳だったんです。だから角張はもう2年後。なんか2021年に地元の仙台でやればいいじゃない。ちゃんと仙台市とか巻き込んでさ。

角張 え? だって是澤さんも福岡市を巻き込んでなくないですか。

是澤 巻き込んでない(笑)。巻き込みたいんですけど、声をかけてくれないんだもん。

角張 それって、是澤さんに声をかけても絶対乗らないからですよ。

是澤 いやいやいや、これからはお声がけいただいたら、お話を伺いたいです。協賛営業もかけていますから。だから角張も「カクバリフェス」とかさ、地元でね。

角張 レーベルをやっている手前、自分の名前を冠するとバランスが崩れるところがあるんですって(笑)。地元ってことでは、震災以降は特に思っていることはありますよ。BRAHMANとかあの周りの皆さんの活動は本当に尊敬していますし、自分はあそこまではできていなくて。それ以外でも、意識的にチャレンジしなければいけないなとは考えていて。けっこう目の前の仕事をやっていたら、歳を取ってしまう。自分としてはいいことをしているつもりではありますけど。

是澤 角張について前々から言っていることで、僕、音楽業界で信用している先輩たちがたくさんいて、いろいろなことを自分に取り入れてきて。でもジェラシーを感じる人っていないんです。そんな中、ジェラシーを唯一感じるのが角張さん。だからもっと冒険してほしいんですよ。守りに入らずに。

角張 守り(笑)。掘り下げると載せられない(笑)。

是澤 角張は音楽業界への入り方も特殊だったから。僕はレコード会社がスタートだから、業界的にやっていいこととやっちゃダメなことを勉強しちゃっていて。でも角張は最初、そういうのを全然知らなかった。それが面白かったんです。もう、めちゃくちゃ。でもそういう人がいないと面白いものは生まれないんですよね。今は角張も勉強しちゃっているからか、当時からしたら少しこじんまりしているように見えるんだよね。この間は「POPEYE」でインタビュー受けていましたけど。

角張 「POPEYE」の話はいいですよ(笑)。最初は知らなかったことが多かったから、いろいろな人にめちゃくちゃ嫌われましたよ(笑)。でも“こじんまり”って難しいですよね。最近、判断基準が難しくて。枚数とかテレビに出たとか、そういう数字や規模感で“すごい”って判断されることが多いというか。さらに自分も目の前のことで忙しいから、ネットとかの瞬間最大風速のすごさに頼りがちになっているところもあって。そういうのを変えたいんだけど、それがすごいむずい。これまでの評価軸って、やっぱり内容だったと思うんです。それに「すごい」と思われたいわけじゃないというか、変に驚かせたいわけでもないから、堅実にやっているんですけど、そうしていくとこじんまりしてくる……まあ、根が真面目なんですかね?(笑) 大人になったってことでもあるかもしれないし(笑)。

是澤 失敗しても小さい失敗でしょ? まあでも、角張さんには期待しています。イベントやるなら仙台でしかやっちゃダメだよ。じゃないと本当のモチベーションが湧いてこないと思うんだよね。

角張 でも、いろいろな先輩の失敗を見て、それが自分の知識になってしまっているから。知っちゃうと怖いっていうか、是澤さんみたいにはできないですよ(笑)。まあ仙台でイベントをやるときには、手伝ってくださいよ。制作とブッキングお願いします(笑)。

是澤 それ、角張のイベントじゃなくなるよね(笑)。ひとまず今日はありがとうございました。「Q」、ぜひ観に来てくださいね。「CIRCLE」も今年もよろしくお願いいたします。

Q

2019年3月31日(日)兵庫県 ワールド記念ホール
2019年4月14日(日)東京都 両国国技館
<出演者>
ゴダイゴ / Cornelius / クラムボン / ハナレグミ / ペトロールズ / never young beach

CIRCLE '19

2019年5月18日(土)福岡県 海の中道海浜公園 野外劇場
OPEN 9:30 / START 11:00 / END 20:15(予定)
<出演者>
EGO-WRAPPIN' / 在日ファンク / ZAZEN BOYS / ZOMBIE-CHANG / D.A.N. / toe / ハナレグミ / ペトロールズ / 前川清 / and more

2019年5月19日(日)福岡県 海の中道海浜公園 野外劇場
OPEN 9:30 / START 11:00 / END 20:15(予定)
<出演者>
青葉市子 / キセル / 清水ミチコ / Shohei Takagi Parallela Botanica / 砂原良徳 / 高橋ユキヒロ / 中村まり / 細野晴臣 / and more

取材・文 / 加藤一陽(音楽ナタリー編集部)

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