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中村勘九郎、コロナ禍の歌舞伎上演に「誇らしい」 十二月大歌舞伎で12年ぶり浮世又平

ぴあ

20/11/17(火) 5:00

中村勘九郎

歌舞伎役者の中村勘九郎が都内で取材に応じ、歌舞伎座『十二月大歌舞伎』(12月1日開幕)への意気込みを語った。勘九郎が出演するのは、第三部『傾城反魂香(けいせいはんごんこう)』。夫婦の絆と深い情愛が、奇跡を巻き起こす義太夫狂言の名作で、勘九郎は実直な夫で絵師・浮世又平を演じる。

――緊急事態宣言が解除されて以降、8月第二部『棒しばり』、10月第二部『双蝶々曲輪日記 角力場』に続く歌舞伎座出演となりますが、現在の心情を教えてください。

8月から大規模な公演を毎日行っているにも関わらず、(新型コロナウイルスの)感染者が1人も出ていないですし、歌舞伎役者の意識の高さ、関係者の皆さまの注意力というものは本当に誇らしいです。徹底した感染予防対策は、お客様に安心・安全に観ていただくため。これから寒さも厳しくなりますが、より一層気持ちを引き締めて、この状況を続けていくことが、未来の歌舞伎につながることと信じてやっていきたいです。

――又平の女房・おとくを演じるのは市川猿之助さん。そもそも『傾城反魂香』は平成20年1月に浅草公会堂で上演された演目で、おふたりは当時勘太郎、亀治郎として同じ夫婦役を演じていました。

浅草時代には本当にいろんな役を演じ、修行させていただきましたし、それが今につながっています。(「傾城反魂香」での共演は)もう12年前になりますが、毎日楽しかったのを思い出しますね。お互いに名前が変わってから、また上演できるのは、とてもうれしいこと。それに『傾城反魂香』はファンタジー要素が強く、子どもの頃から大好きな芝居。非日常と言いますか、摩訶不思議な世界に入り込むのが、古典のもつパワーなんだなと思いますね。

――稽古も普段通りとはいかないと思いますが……。

猿之助さんとはまだ顔を合わせての稽古が全然できていませんし、感染リスクを下げるため、稽古自体も2回ですからね。スタッフ、役者が一丸となって「これで完成させなければ」という集中力でやっている感じですね。猿之助さんは、やっぱり熱いんですよ! 秘めたるパワーと爆発力、それに魅せる力。安心感もありますし、目指す方向性が同じ役者と芝居できるのは、やっぱり楽しいことなんだと。

――猿之助さんはドラマ『半沢直樹』でも注目を浴びました。

これ言っていいのかわからないけど、(今回の共演が決まって)すぐにLINEが来てですね。「うれしいDEATH」って(笑)。普段でも使っているんだと。すごくかわいい人だなって、改めて。

――改めて2020年は歌舞伎をはじめ、エンタテインメントにとって波乱の1年となりました。

病気(感染症)で歌舞伎が上演されなかったって、歴史上初めてじゃないですかね。だから悔しいですし、これで負けてたまるかと。病気は治せないですが、皆さんの心を癒すのがエンタテインメントなわけで、やはり「必要なものなんだ」と思っていただける説得力を発信しなければいけないと思っています。諦めたり、怠ったり、くじけてしまったら、終わりですからね。8月はイヤホンガイドもなかったですし、筋書きも売り出せなかった。今は、観劇ならではの楽しみも徐々に戻りつつあるので、情勢を見つめながら、柔軟に進んでいければと思います。その上で“慣れ”が一番怖いものですし、安心・安全にご覧いただくことをモットーですから。

――コロナ禍では上演時間にも制限がありますが。

ピンチはチャンスじゃないですけど、お客様に楽しんでいただくために、想像し、知恵を絞りだすことこそが、歌舞伎なんじゃないかなと。先輩方が築き上げた、従来の優れた演出があるからこそ、わたしたちが名作を名作として上演できる。そのなかで“工夫”もし続けないといけないなと。『傾城反魂香』についても、今、案を練っているところです。

先日亡くなった上方歌舞伎の第一人者で人間国宝、文化勲章受章者の坂田藤十郎氏については「楽屋にご挨拶に伺ったときに感じたオーラと温かさを今も思い出します。とにかくかっこいい方で、本当にスターなんだなと」と振り返り、「あの湧き上がってくる感情や迫力は……、到底かなわないと言えば、それで終わりで(ご本人も)望んでいらっしゃらないと思うので、目指して信じてやっていかなければ」と背筋を伸ばす。「夫婦愛と奇跡。壁にぶつかった者がそれを乗り越えて、先には明るい未来が待っている…。今の日本、そして世界を表しているような作品なので、ぜひ目に止めにご来場いただければ」と力強くアピールしていた。

取材・撮影・文:内田涼

歌舞伎座『十二月大歌舞伎』
第一部(11:00~)『弥生の花浅草祭』出演:片岡愛之助 / 尾上松也
第二部(13:30~)『心中月夜星野屋』出演:中村七之助 / 市川中車 / 他
第三部(16:00~)『傾城反魂香』出演:市川猿之助 / 中村勘九郎 / 他
第四部(19:15~)『日本振袖始』出演:坂東玉三郎 / 尾上菊之助 / 他

2020年12月1日(火)~2020年12月26日(土)
会場:東京・歌舞伎座

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