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劇団四季『アナと雪の女王』が遂に幕開け!観る者に勇気を与える、圧巻の舞台をレポート

ぴあ

『アナと雪の女王』 撮影:阿部章仁、(C)Disney

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劇団四季の新作ディズニーミュージカル『アナと雪の女王』が、6月24日、東京・竹芝のNOMURA野村證券ミュージカルシアターJR東日本四季劇場[春]で開幕する。初日を3日後に控えた21日、同劇場で最終通し舞台稽古が公開された。

関係者にとっては、まさに“やっと”という思いだろう。本来なら昨年9月10日、新劇場のこけら落とし公演として幕を開ける予定だったが、コロナ禍により延期。改めて9ヶ月後の6月に開幕を決めたものの、海外クリエイティブスタッフが来日できるのか、ギリギリまで危ぶまれる状況だった。

すべてを乗り越えて迎えたこの日の公開稽古には、無事来日を果たし、四季側のキャスト、スタッフと共に、約2ヶ月間、集中して稽古に臨んだ海外スタッフたちの姿も見える。

客席に入ると、アレンデールの城と家々が描かれた幕にオーロラが揺らめき、吹雪を思わせる音が聞こえてくる。ノルウェーの音楽家フローデ・フェルハイムによる、力強く美しい民族音楽調の曲「ヴェリィ」が流れる中、幕が上がると、幼いふたりの王女、エルサとアナが仲よく遊んでいる。アナの無邪気でかわいらしい姿には、客席からたびたび笑いが起こる。生まれつき雪や氷を操る魔法の力を持つエルサに、雪だるまを作ろうとせがむアナ。しかし事故が起こり、不思議な力を持つ山の民“隠れびと”によってアナは一命を取り留めるが、記憶は消され、国王(阿久津陽一郎)は城門を閉ざし、魔力を人々の目から隠す。その日からエルサは部屋に閉じ籠もり、妹のアナでさえ会えなくなってしまう。やがて旅に出た国王夫妻は海で命を落とし、時が流れ、成人したエルサの戴冠式の日がやってくる。ここまで約15分間、一気に物語は進む。

お馴染み「ありのままで」と舞台用に追加された「モンスター」で姉妹の葛藤を描く

いよいよ戴冠式の朝、久しぶりに城門が開かれ、ワクワクした気持ちを歌うアナ(三平果歩)のナンバー「生まれて初めて」から、極度の緊張を隠して戴冠式に臨み、無事に終えてホッとするエルサ(岡本瑞恵)のナンバー「危険な夢」まで、登場人物たちをうまく動かし、流れるように展開していくマイケル・グランデージの演出に、観客はどんどん引き込まれていく。アナと、サザンアイルズの王子ハンス(杉浦洸)が惹かれ合うナンバー「扉あけて」の、ロブ・アシュフォード振付によるアクロバティックなダンスや、思わず魔法を使ってしまい、動揺して城を飛び出したエルサを追いかけるアナと、彼女を助ける山男のクリストフ(神永東吾)が歌う「愛の何がわかる」もコミカルで楽しい。そこで出会う雪だるまのオラフ(小林英恵)がまた愛らしく、パペットを操る俳優と共に、アニメ版同様、舞台版でも人気者になりそうだ。

しかし圧巻は何と言っても、1幕ラストのナンバー「ありのままで」だろう。舞台奥の全面に設置されたLEDを駆使し、照明とプロジェクションマッピング、そして装置の力で、瞬く間に物が凍りつき、氷の宮殿が出来上がっていく様子は、見事という他はない。床面が凍っていくところまでよく観たければ、2階席がおすすめだ。岡本の歌唱は、最初はまだ自信がなさそうに歌い出し、手袋やマントが飛び去り、引き抜きのように一瞬にして衣裳が替わるにつれて、どんどん力強さを増し、表情も生き生きしていく。

2幕はまず、冒頭のワンダリング・オーケンの店の場面で、店主のオーケンが歌う「ヒュッゲ」が楽しい。そして、再会したエルサとアナの「あなたを失いたくない」が、この物語のテーマでもある、姉妹の強い絆と愛を歌っていて、心に響く。舞台版で、他の曲と同様、クリステン・アンダーソン=ロペス&ロバート・ロペスの手によって加えられたエルサのナンバー「モンスター」も、彼女の心情が切々と伝わってくる。日本語台本と訳詞を手がけた高橋知伽江が紡ぎ出した言葉にも、魔法の力があるようだ。

『アナと雪の女王』は、年末までほぼチケットが完売だと言う。会えなくても会えないつらさを乗り越え、真実の愛を貫いたエルサとアナの物語は、コロナ禍で様々な制約を課せられている今の私たちに、勇気を与えてくれるだろう。

取材・文:原田順子

劇団四季最新ミュージカル
『アナと雪の女王』東京公演
2021年6月24日(木)開幕、2022年6月30日(木)まで上演決定
会場:NOMURA野村證券ミュージカルシアター JR東日本四季劇場[春]

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