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AKB48が芸能の原点に回帰!? 新曲「ハート・エレキ」がGSサウンドとなったワケ

リアルサウンド

13/10/28(月) 19:41

 AKB48の33枚目のシングル『ハート・エレキ』が10月30日にリリースされる。サウンド、衣装、ジャケット、ダンスともに60年代のGS(グループサウンズ)を徹底的に意識した作りで、前作の「恋するフォーチュン・クッキー」が80年代ディスコだったことを考えると、さらに時代をさかのぼった1曲となっている。

 AKBはここ数年、季節やイベントに合わせて発売するシングルの傾向を決めてきた。春は「桜の木になろう」「GIVE ME FIVE!」など、タイアップも関連した桜・卒業系の曲である。夏は「さよならクロール」「真夏のSound Goods!」など、AKBフォーマットによるアッパーチューン。

 9月には選抜総選挙の結果を受けて、前田敦子の「言い訳Maybe」「フライングゲット」、大島優子「ヘビーローテーション」「ギンガムチェック」、指原莉乃「恋するフォーチュン・クッキー」と、センターを務めるメンバーのイメージに合わせた曲。そして10月下旬から11月上旬には秋らしいシングルを1枚挟み、12月には「チャンスの順番」「上からマリコ」「永遠プレッシャー」と、じゃんけん選抜による企画物的要素が強い曲がリリースされてきた。

 その中でも注目したいのは、今回のタイミングでもある秋の一枚だ。これまで「UZA」「風は吹いている」「Beginner」「RIVER」などが秋の楽曲としてリリースされてきたが、その曲調はかなりバリエーションに富んでいて、AKBシングルの中では“攻めの姿勢”を感じさせる作品群となっているのである。

 秋という季節柄、作品にテーマを持たせにくいため、必然的に曲のバリエーションが増えていった面もあるだろう。しかし、それ以上に秋の作品には必ず「今のAKBで出来ることへの挑戦と、世間へのメッセージ」が含まれているように感じられるのだ。それは例えばハイレベルなダンスであったり、新しい音へのアプローチであったり、被災地支援などの社会的メッセージだったり……AKBはその時に突きつけられている現実にどう挑み、どう乗り越えて行くのか。それが作品で表現されている気がしてならない。

 では、本作「ハート・エレキ」はどうだろう。まず、AKBのファンが「ハート・エレキ」を聴いた時、頭に思い浮べるのはAKBのチームAの「会いたかった」公演のユニット曲「涙の湘南」であろう。大島麻衣、篠田麻里子らAKBの中でもお姉さん的なメンバーで構成され、ザ・スパイダースの「太陽の翼」のジャケットを想像させるGS風衣装と、“エレキ”を強調したGSサウンドが特徴的だった同曲。当時のAKBの楽曲が“大人びた少女”を描いたものが中心だった中、ストレートに“大人の女”を描いた珍しい楽曲だった。そんなお姉さんたちの姿を見て、峯岸みなみは「当時、憧れのユニットだった」と、『リクエストアワーセットリストベスト2010』のDVDコメンタリーにて語っている。「涙の湘南」のフォーマットに近いという意味を含めると「ハートエレキ」には、秋のAKBの楽曲として、いささか目新しさに欠けるように感じる。

 ただ、秋のAKBシングルには必ずなんらかのメッセージがあるのだとすれば、以下のように読み解くこともできる。60年代のGSブームは渡辺プロダクションやホリプロの興隆につながる、現在の日本の芸能界のシステムの基板を作ったシーンでもある。そこへの回帰とは、AKBが世間とエンターテイメントでつながり続けるための礎を、日本の芸能界に改めて築くためではないのだろうか。「ハート・エレキ」でセンターを務めるのは、わずか三人となってしまったAKB48劇場のオープニングメンバー小嶋陽菜である。小嶋はセンター経験こそ一度もなかったが、モデルや女優、さらにはバラエティ番組でも長らくAKBの人気メンバーとして活躍してきた。前田敦子、篠田麻里子というAKBのアイコン的存在を失った今、世間ともっとも深くつながることができるメンバーは、指原莉乃と小嶋陽菜なのかもしれない。

 さらには、小嶋陽菜センターのGS曲には、「恋する〜」で世代を越えたエンターテイメント作りに成功したAKBが、より大人も楽しめる“成熟したAKB”へ向かおうという意図があるのかもしれない。ブームから定着へ。AKBが向かおうとしているのは、少女性を売りにしてきた多くの女性アイドルが経験したことがない、未知なる領域であるはずだ。

■エドボル
放送作家。『妄想科学デパートAKIBANOISE』(TOKYO FM水曜25:00-)『安田大サーカスクロちゃんのIdol St@tion』(目黒FM隔週木20:00-)、『Tokyo Idol Festival2013』(フジテレビNEXT)など、テレビ・ラジオなどの構成を担当。サイゾー、SPA!などでもアイドル関連のインタビューを中心に執筆中。

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