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峯田和伸(銀杏BOYZ)のどうたらこうたら

心霊スポットは、恐怖を抱いて見に行った人の「念」が残っているに過ぎない

毎週連載

第99回

前回、電気信号の「念」の話をしたけどさ、これね、心霊スポットにも同じことが言えるんですよ。心霊スポットっていうのはさ、「あのトンネルに行くと、女のオバケが出るらしい」「あの橋には、飛び降り自殺した人のオバケが出るらしい」っていう噂を元に行く場合が多いよね。

すごい霊感を持っていて「ここはオバケがいる」とか感じちゃう人がいるけど、これは別ね。そうじゃなくてさ、だいたい心霊スポットっていうのは噂が噂を呼んでその逸話に尾ひれがついている場合が多いよね。

そういう心霊スポットと呼ばれる場所に、肝試しで友だちと行くとするでしょ。でも、そうなるとさ、「ここは、オバケが出る場所なんだ」というイメージが、そこに行く人たちの中に、すでにあるってことじゃん。「怖い」「怖い」とか言いながら、気持ちのどこかでは期待しちゃっているからこそ、その場所に行っちゃうっていうことだから。

「女のオバケが出るトンネル」の心霊スポットを例にして話すと真夜中にトンネルまで行って、そのトンネルの手前で車を降りてみるでしょ。そこから歩いてトンネルの中に入るんだけど、もうこの時点でメッチャ怖い。夜露か何かがピチャッと滴り落ちただけで「ウッワ! 怖ぇー!! 逃げろー」みたいになって、そこに行った人たちはビビって帰っちゃうかもしれない。

そんなことをするとどうなるかと言うと、そのトンネル内に「恐怖心」という「念」を、置いてきちゃうってことなんですね。女のオバケなんて本当はいないのかもしれないのにさ、「女のオバケがいる」「見たら怖い」っていう脳が考える妙な期待感がさ、「恐怖の念」になって、このトンネルに滞っちゃうわけ。

そういう「恐怖の念」がたまるとさ、月明かりの木の影とか水たまりとか、全部女のオバケに見えてきちゃうんだよ。だから、オバケの大半って、もともと人間が期待して、それが電気を通じて、出来上がったものが多いんじゃないかと思うの。

よくテレビ番組の心霊スポット特集とかだと、「車のライトが点かなくなりました」「車が動かなくなってしまいました」みたいなシーンがあるじゃん。あとは、カメラのシャッターが押せなくなったとかね。これって全部電気系統に関わることでしょ。

これもさ、オバケの仕業っていうよりは、電気信号によってそこに残ってしまった「念」と、電気系統とが化学反応を起こして、おかしなことになっているんじゃないかと思う。

だから、大半の心霊スポットって、結局人間が残していった「念」によるものだろうと僕は思っているんだけど、ただね、だからと言って完全に「霊というものが存在しない」と言っているわけでもないですよ。前回も喋ったように、亡くなった人の肉体がなくなっても「念」は電気信号を通じて、その場にとどまることはあるし、それが「霊」として表に出してしまうことはある。特に心霊写真っていうのは、電気信号の「念」とは違うと思っている。実際、身の回りで、強烈な心霊写真を見せてもらったことがあるけど、こればっかりはさ、僕の屁理屈ではどうにも解説できないものだったからね(次回につづく)。

10月21日、アルバム『ねえみんな大好きだよ』が出ます。写真はやっぱり川島小鳥くん(左)。今回もすごい良い写真を撮ってくれました。

構成・文:松田義人(deco)

プロフィール

峯田 和伸

1977年、山形県生まれ。銀杏BOYZ・ボーカル/ギター。2003年に銀杏BOYZを結成し、作品リリース、ライブなどを行っていたが、2014年、峯田以外の3名のメンバーがバンド脱退。以降、峯田1人で銀杏BOYZを名乗り、サポートメンバーを従えバンドを続行。俳優としての活動も行い、これまでに数多くの映画、テレビドラマなどに出演している。


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