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伊藤美来に聞く、年齢を重ねる中で育まれる表現と変わらないもの 「誰かのためになっていることが一番嬉しい」

リアルサウンド

20/6/15(月) 12:00

 伊藤美来が、最新シングル『孤高の光 Lonely dark』を6月17日に発売する。表題曲は、前シングルに続いて、テレビアニメ『プランダラ』第2クールのオープニングテーマを担当。物語が過去編へと突入し、そこで展開される登場人物・リヒトーや陽菜たちのドラマに寄り添った楽曲となっている。

伊藤美来 / 孤高の光 Lonely dark(TVアニメ「プランダラ」第2クールオープニング・テーマ)(Short Ver.)

 一方のカップリング「Sweet Bitter Sweet Days」は、女の子の日常を描いたポップソングに。2ndアルバム『PopSkip』にも表れていたが、年齢を重ね、大学卒業といった人生のトピックを通過する中で、歌詞のテーマやサウンドの幅も広げている伊藤美来。インタビューでは、同シングルの制作エピソードと共に、昨今見られる音楽性の拡張、シンガーとして一番大切にしているものについて話を聞いた。(編集部)

一番の変化は周りの人に素直に頼れるようになったこと

ーー2019年のワンマンライブの模様を収めた映像作品『ITO MIKU 5th Live Miku’s Adventures 2019 〜PopSkip Life〜』がリリースされたばかりですが、改めて同公演を振り返ってみて、どんなライブになったと感じますか?

伊藤美来(以下、伊藤):とにかく幸せなライブでした。アルバム『PopSkip』をひっさげてのライブだったので、その世界観を表現しつつ伝えたいことを伝えられたんじゃないかなと思います。新曲の初披露も多かったので、めちゃくちゃ緊張したのを覚えています。

ーー伊藤さんはデビュー以来、これまでバースデーライブを含め単独公演を重ねてきましたが、今回の5thライブで自分の成長や変化を感じた部分を挙げるとすれば?

伊藤:一番の変化は周りの人に素直に頼れるようになったことです。前までは単独公演って孤独だ……って思っていました。ソロってことは私が一人で頑張らなきゃって。でもそれではただ辛いだけで(笑)、何年も面倒を見てくれてるスタッフさんにちゃんと頼っていいんだって気づきました! 今回の5thではそれでとてもやりやすかったです。

ーー自分一人で抱え込むことなく、伸び伸びと楽しめるようになったんですね。伊藤さんにとって「ライブ」とは、どんな場所になっているのでしょうか。そこで得られる気持ちや経験が、自分の力になっている?

伊藤:曲を制作してる期間から披露するまでって結構長い間が空くのですが、その間「ライブではどうしようかな」「お客さんは曲のどこを楽しみにしてるかな」って予想するんです。そしてライブで実際に歌ってみて、一緒に楽しんでその曲が完成すると思っています。それを感じた瞬間は幸せだし、この曲のいいところ全部届けたい! って気持ちでいっぱいになります。お客さんからもらうエネルギーもものすごくて、終わった後には私が幸せな気持ちでいっぱいになるくらいです。

ーー伊藤さんは今ソロデビュー4年目、今年10月には5年目に突入しますが、近年の活動を見ていると、今は「アーティスト」としての方向性がより明確になっているように感じます。アーティスト活動に対する意識に変化はありますか?

伊藤:「こんな楽曲が欲しい」や「これをやってみたい」など意欲的に音楽に関わりたいと思うようになりました。昔はほんとに何も分からなかったので! 私の楽曲では、曲を「身近」に感じて欲しいと思っています。リアリティのある歌詞の曲が多いので、日頃生きている中で共感してもらえたり、はっと何かに気づいたりしてもらえる曲であれば嬉しいです。

ーーでは、逆にデビュー当初から変わらず持ち続けている、アーティスト活動における信条は?

伊藤:聴いてくれる人のために歌うことです。アーティストによってそれぞれかと思いますが、私の原動力は少しでも喜んでもらえることや、パフォーマンスを見てもらって楽しんでもらうことです。ありきたりな言葉っぽくなってしまって悔しいですが、自分のためよりも誰かのためになっていることが一番嬉しいんです。「みっくの曲でがんばれる!」なんて言われるのが嬉しくて、それが日頃のモチベーションになっています。

素直に楽しんでもらえるポップスを作りたい

ーー気持ちがまっすぐ伝わる、素敵な言葉だと思います。伊藤さんは2ndアルバム『PopSkip』に関するインタビューなどで「ポップス」に対する思いを語られていましたが、ご自身が思う理想の「ポップス」とはどんなものですか? 

伊藤:難しいですね……(笑)。詳しい専門的なことはあまり分からないのですが、体を動かしたくなるような、感情がぐるぐるするような、自然と安心するような……うーん、欲張りな答えですね。素直に楽しんでもらえるポップスを作りたいです!!

ーー普段聴いている音楽のなかで、そのような「ポップス」を感じるアーティスト・楽曲はありますか? 

伊藤:最近はaikoさんやMrs. GREEN APPLEさんなどをよく聴きます。J-POPは名前通り聴いてるとポップスを感じます。

ーー今回のニューシングル「孤高の光 Lonely dark」は、TVアニメ『プランダラ』第2クールのOPテーマになります。第1クールのOPテーマ「Plunderer」に続き、2期連続でのタイアップが決まったときのお気持ちはいかがでしたか?

伊藤:とても光栄だと思いました。2クール連続で主題歌を務めさせていただくなら1クール目と2クール目で違いを出したいと思いましたし、作品のストーリーの変化にも寄り添っていきたいと気合いも入りました。

ーー『プランダラ』は主人公のリヒトーやヒロインの陽菜をはじめとする多彩なキャラクターと、壮大な謎を散りばめた世界設定がユニークなファンタジー作品ですが、伊藤さんは本作のどんなところに魅力を感じますか?

伊藤:シリアスとコメディのギャップがとても引き込まれる作品だと思いました。原作も読み始めたら止まらなくなるし、アニメもとにかく次が気になる! というように入り込んじゃう作品ですね。描かれているテーマはとても孤独で時に辛くなりますが、キャラクターの意思の強さには憧れます。

歌ってみて新たな自分の課題がたくさん見つかった

ーーアニメの第2クールは「過去編」に突入して、リヒトーや世界そのものの謎の核心となる部分が描かれるなか、今回の楽曲「孤高の光 Lonely dark」は、その物語の内容を踏まえて制作されたものに感じました。前作「Plunderer」と比較して、作品の世界観をどのように表現した楽曲になりますか?

伊藤:「Plunderer」はこれから冒険が始まるというワクワク感や疾走感を感じる楽曲で、意志の強さを表現しました。「孤高の光 Lonely dark」は2クール目にとても寄り添った楽曲になっています。陽菜ちゃんたちがリヒトーを救うために過去に行くのですが、そこで新たな出会いやショッキングな出来事が次々と起こっていきます。そんな大変なキャラクターたちの心の内の理解者であろうと思って歌いました。どちらも迷いながらも前向きになれる曲なのは共通していると思います。

ーー「孤高の光 Lonely dark」の歌詞で特に印象的なフレーズというと?

伊藤:サビの〈輝かないで 真っ暗なままでいい〉というところは、こんな歌詞ある!? って思いました。普通は輝いて欲しいじゃないですか。でも真っ暗だからこそ強くなれる時もあるんだって、暗闇は辛いけど次につながるためのものだって思えて、とても背中を押されました。

ーーレコーディングの際には、どんな部分にこだわって歌いましたか? 個人的には、A・Bメロとサビ部分のニュアンスに対比が感じられるところ、落ちサビの優しさを感じさせる歌い方に表現力の進化を感じました。

伊藤:暗くなりすぎないような気をつけました。声を潜めて悲しみを表現することもできますが、あえて言葉がはっきり聴こえるように歌っています。その方が説得力がでるんじゃないかとディレクションをいただきました。Bメロは後半が流れてしまいがちなメロディだったので、しっかりと一つ一つ前に出して歌いました。落ちサビは、少し優しく雅な雰囲気で歌おうと、それが難しくて何回も録りました(笑)。

ーー妥協せず何度もチャレンジしたがゆえの出来だったんですね。今回の「孤高の光 Lonely dark」と前作「Plunderer」は力強さが前面に出たタイプの曲で、それまでの伊藤さんの作品にはあまりなかった表現のように感じます。その意味で自分自身を新しく開拓できた感覚もあったのでは?

伊藤:とにかく難しかったです! メロディも行ったり来たり、かと思えば流れるように繋がっている部分もあって、レコーディングは大変でした。力強くかっこよく歌うのも難しかったし、なおかつ楽器の音が本当に素晴らしくて。この楽器たちと対等に歌えるのか……と何回も歌いました。歌ってみて新たな自分の課題がたくさん見つかり、挑戦してよかったなと思います。

ーー伊藤さんのMVは毎回凝ったものが多いですが、「孤高の光 Lonely dark」のMVは映像美を感じさせる、幻想的かつアーティスティックなイメージの作品に仕上がっています。

伊藤:今回のMVのコンセプトは「月を呼ぶ人」です。孤高の光を月で表現している楽曲に合ったストーリーになっています。孤独な主人公が月を呼び寄せるために本を読んだり、月の灯りを大切そうに抱えたり。ストーリー仕立てのMVがとても好きなので、今回のMVもとても気に入っています。

ーー湖畔や洋館のような場所も登場しますが、撮影はいかがでしたか?

伊藤:とっても寒かったです! 朝5時から撮影が始まったので、湖畔の近くは極寒で……。寒くないって顔をするのが大変でした! 体に何枚カイロを貼っていたかわかりません(笑)

年齢を重ねたからこそ出てくる表現も多くなった

ーーカップリング曲の「Sweet Bitter Sweet Days」は、力強くてファンタジックな要素を感じさせる表題曲から一転、普通の女の子の日常を描いたガーリーなポップソングです。前作のカップリング曲「hello new pink」は〈同年代の女子から見た伊藤美来〉がテーマとのことでしたが、今回も伊藤さんをイメージして作られたものなのでしょうか?

伊藤:今回は等身大の女性をコンセプトにしています。歌詞を見ると主人公の女性の日常が見えてきます。その中でメロディがミュージカルを思わせるハッピーな雰囲気で、ステップを踏みたくなるような楽曲になっています。

ーーまさに身近に感じて素直に楽しめる、伊藤美来流の「ポップス」ですよね。楽曲を受け取ったときの第一印象はいかがでしたか?

伊藤:シーンがすぐに思い浮かぶような楽曲で歌っていてとても楽しかったですし、年齢的に共感するところも多くて、可愛くてとても好きな曲です。日頃頑張っている人たちに届けたい!

ーー歌詞では、仕事にプライベートに頑張る女子の気持ちが描かれていますが、伊藤さん自身も共感できるところはありますか?

伊藤:サビのところはずーっと共感してます。女子の心は忙しいんですよね。落ち込むこともあるけど小さなことですごくハッピーになったり。そんなドタバタな日常はよくあるので、それでも毎日頑張ろう! って元気づけてもらえます。

ーーでは、レコーディングの際も気持ちを込めて歌いやすかったのではないでしょうか。表現的にはどんな部分に気を配って歌いましたか?

伊藤:リズムが跳ねていて、その音符にしっかりとはめるのが大変でした。でも曲が楽しかったので楽しく自由に歌いました。最後の〈デュワデュワ〉のところは、その場で付け足したりして、最後までどうしたらより可愛くなるか相談しながら録りました。

ーーこの曲の作詞は大森祥子さん、作編曲は川田瑠夏さんですが、伊藤さんの楽曲には女性の作家やシンガーソングライターから提供を受けたものが多いですよね。「hello new pink」のゆいにしおさん、「PEARL」の高田みち子さん、「守りたいもののために」「あの日の夢」の金子麻友美さんなど。女性の方が書いた曲ならではの相性の良さを感じたりしますか?

伊藤:女性の先生と男性の先生の違いはわかるようになりました! 女性の書く歌詞は共感が多いのと、リアルな女性像なので細かい心情まで受け取れるのが魅力だと思います。楽曲もなぜか柔らかさ、女性らしいメロディを感じます。スッと入ってくるので歌いやすいです!

ーー「Sweet Bitter Sweet Days」では、伊藤さんの年齢感に合った女性像が描かれています。『PopSkip』収録の「PEARL」など、近年は大人の女性の雰囲気を感じさせる楽曲が増えていますが、自分の年齢的な成長に合わせて、歌うテーマが変化している感覚はありますか?

伊藤:とても思います。昔は昔でその時しか出せないものがあったように、今自分が歳を重ねたからこそ出てくる表現も多くなったと思います。等身大で歌うものが多かったけど、第三者目線で歌う曲も増えてきて、難しいこともありますが、自分の成長も感じられて嬉しいです。

ーーデビュー時と比べて自分の歌声に変化を感じることもあるのでは? 

伊藤:今デビュー曲「泡とベルベーヌ」を聴くと「声若いなぁー(笑)」って思います。でも声が変わったというよりは意識が変わってお芝居も歌い方も変化している気がします。具体的には裏声での表現の仕方を工夫できるようになったりしていると思います。

ーーなるほど。では、23歳の今だからこそ挑戦してみたい、「こういう楽曲を歌いたい!」という希望はありますか?

伊藤:ピアノがメインの楽曲とか、作詞にもまた挑戦したいですし、踊るのも好きなのでダンスが楽しい曲もまた歌いたいですね。

ーー今回のシングルは、ご自身のアーティスト活動にとって、どんな作品になったと思いますか? 本作の制作を経て新たに生まれた目標などあれば教えてください。

伊藤:挑戦がたくさんあったシングルでした。なので自分を見つめ直すことも多かったと思います。たくさん試行錯誤して歌ったので、達成感もありましたが、新たな課題も多く見えてきました。もっと楽曲に合う歌声で歌いたい、声のパワフルさも欲しいなと思っているので精進していきたいです。

ーー最後に、プライベートの話題についても少し聞かせていただければ。最近は新型コロナウイルスの影響もあって自宅で過ごす時間が増えていると思いますが、その時間をどのように活用していますか? 伊藤さんの一日の過ごし方を教えてください。

伊藤:ゲームをやったり、読書をしたり、ドラマや映画を観たりしています。今まであまり時間をさけなかったインプットをたくさんしています! ヨガマットも買ったので、腹筋をして意識を上げています。腹筋割りたいです!

ーー(笑)。この機会にいろんなことをインプットしているとのことですが、その中でとりわけ印象に残っている作品は?

伊藤:新しくというよりは久しぶりに触れたものが多かったです。ずっと途中までで止まってた本を読んだり、新たなものも多いですが久しぶりに観たい映画をまた観たり。最近では、映画『チャーリーとチョコレート工場』の原作のロアルド・ダール「チョコレート工場の秘密」を読んだりしています。小学生の頃、読みあさってたのを思い出して、急に読みたくなりました。少しダークで楽しくて面白いです!

ーー自分も読んでみます。では、この状況が収束したら、まず何がしたいですか? 行きたい場所、やりたいことなどがあれば教えてください。

伊藤:今まで思ったことも無かったですが、アウトドアやアスレチックに行きたいです! やっぱり体を動かしたくなるし、少しのスリルやドキドキも味わいたいなと思っています! 水上アスレチックとかいいですね。 

■リリース情報
『ITO MIKU 5th Live Miku’s Adventures 2019 ~PopSkip Life~』
2020年5月27日(水)発売
¥6,800+税
Blu-ray Disc:片面1層 音声仕様:リニアPCM ステレオ 48kHz/24bit

伊藤美来 『孤高の光 Lonely dark』
2020年6月17日発売
【DVD付き限定盤】¥1,800+税
【通常盤】¥1,200+税

<CD>
1.孤高の光 Lonely dark
作詞:許 瑛子 作曲:間瀬公司 編曲:中畑丈治
2.Sweet Bitter Sweet Days
作詞:大森祥子 作曲・編曲:川田瑠夏
3.孤高の光 Lonely dark(off vocal ver.)
4.Sweet Bitter Sweet Days(off vocal ver.)

<DVD>
「孤高の光 Lonely dark」MusicVideo
「孤高の光 Lonely dark」メイキング映像

■イベント概要
『伊藤美来と一緒に観る「PopSkip Life」オンライン同時視聴会』
日時:2020年6月27日(土)
時間:19時スタート(予定)
Blu-ray:商品を購入し再生プレイヤーで再生の上参加。
生オーディオコメンタリー:公式LINE LIVEチャンネルで送信。無料で視聴可能。

「LINE」アプリの公式アカウント一覧から「公式アカウント」で「@itomiku_official」を検索して友だち追加。または、友だち追加URLをクリック。
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■伊藤美来 LINE LIVE。
『伊藤美来 LINE LIVE。』は「プレミアム会員限定ライブ」として8月よりスタート。前半の30分は無料視聴、後半の30分は月額制「プレミアムチャンネル」(月額580円)への入会が必要。
番組:伊藤美来 LINE LIVE。(らいんらいぶ まる)
配信時間:隔週(水) 21時~22時

■関連リンク
伊藤美来 日本コロムビア特設サイト
伊藤美来 フィシャルTwitter
公式Instagram
LINE公式アカウント @itomiku_official

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