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松井珠理奈がSKE48として残すラストメッセージ 11歳デビュー、青春捧げたアイドル人生の成功と挫折を語る

リアルサウンド

21/2/4(木) 13:00

 SKE48が、2月3日に27thシングル『恋落ちフラグ』をリリースする。

 約1年ぶりのリリースとなる本作は、絶対的エース・松井珠理奈のラストシングル。表題曲は現メンバー全員で歌唱しているほか、珠理奈がプロデュースした楽曲や卒業を記念したソロ曲も収録され、アイドル・松井珠理奈の最後を飾るにふさわしい1枚となっている。

 リアルサウンドでは、珠理奈本人にインタビュー。楽曲のことはもちろん、人生の半分以上を捧げたアイドルへの思い、さらに後輩たちへ伝えたいことなどを語ってもらった。(松本まゆげ)【最終ページに読者プレゼント有り】

「頑張ってくれた10期生に感謝を伝えました」

ーー「恋落ちフラグ」の振り入れは、12周年の特別ライブ(2020年10月3日から3日間)が開催された数日後に行われたそうですね。

松井珠理奈(以下、松井):そうなんです! 振り入れの前日くらいに、「みんなで歌えて嬉しいです」とわざわざLINEを送ってくれるメンバーがたくさんいて嬉しかったです。あと、振り付けのs**t kingzのshojiさんがかなり熱い方で。「完璧に踊るのも大事だけど、気持ちもすごく大事だよ」とか、「先輩たちの背中を見られる機会も残り少ないと思ってやってほしい」とか、いろんな言葉をかけてくださったんですよ。その言葉にみんなも刺激を受けていたので、すごく良い雰囲気のなかで振り入れができました。

ーー珠理奈さん自身は、どんな言葉をかけましたか?

松井:「MVの振り入れに挑む姿勢を近くで見てもらえたらいいなと思って、今回全員で表題曲を歌うことになりました」と、経緯などを全員に話しましたね。あとはもちろん、個々にも。抜擢されているメンバーのなかには「先輩が大勢いる中で私がここに立つのはちょっと……ドキドキします……」と振り入れのときから言っている子がいたんですよ。とくに青海(ひな乃)ちゃんは、(センターの)私がいて、熊ちゃん(熊崎晴香)、青海ちゃんっていう順番なので。

ーーセンター横を担う重要な立ち位置ですね。青海さんと言えば、2020年に正規メンバーに昇格したばかりの9期生ですし、緊張するでしょう。

松井:しかも、公演でセンターに立つことが多くて同期の中では早い段階でフロントにいたから、ファンの方や周りのメンバーの目が余計に気になっていたみたいです。だけど、そういう経験は私にもあるので! 「大丈夫だよ。これはチャンスだと思って楽しんでほしいな」と声をかけました。

SKE48 / SKE48 「恋落ちフラグ」Music Video/2021年2月3日発売

ーーちなみに、全員で歌うということは10期生もいますよね。さらに緊張していそうです。

松井:そう、10期生にとってははじめてのMVだったので、先輩と同じペースで振り入れできるかなと心配していたんです。誰しも最初はそんなにすぐに覚えられないし。だからスタッフさんと「10期生は簡単な振りにしようか?」という話もしていたんですけど、みんな最後まで残ったりしてすごく一生懸命覚えてくれたんです。それが嬉しくて……みんなに「ありがとう」と感謝の気持ちを伝えました。そうしたら、次の日のレッスンで10期生が先生にめちゃくちゃ褒められていたんです! 「すごく良くなってるよ。」って。そこで他メンバーも頑張っていい感じのバチバチが起きていたのも、SKE48らしくていいなって思っていました。

ーーそうして挑んだMV。歴代の衣装を着るシーンもあったそうですね。

松井:今回のMVでは、全体で踊るシーンのほかに、6チームに分かれて踊るシーンとソロシーンがあるんですけど、チームのときは「Escape」の衣装で、ソロのときは「神々の領域」の衣装を着ています。「神々の領域」は1期生の曲なので、ふさわしいと思って。ただ、それを着たときは「もう1期生は誰もいなくなるんだな」と実感が湧いてしまいました。あと、「Escape」の衣装は、私は大矢真那(卒業生)の衣装、私の衣装はどんちゃん(福士奈央)が着ているんですよ。

ーー福士さんは、昔も今も珠理奈さんの大ファンなんですよね。その衣装交換はなんだかエモいです。

松井:そう(笑)。そういうのも見せたいなと思って衣装を変えてみました。今回のMVはそんなふうに「あ!」と思うところがたくさんあると思うので、何度も観てもらいたいです。

「努力だけではどうにもならないモヤモヤをぶつけた」

SKE48 松井珠理奈

ーーカップリングでは、ソロ曲「Memories 〜いつの日か会えるまで〜」とユニット曲「Change Your World」を歌唱していますね。「Memories 〜いつの日か会えるまで〜」では、作詞をされたそうですが、ファンのみなさんが読んだら「これはあのときのことだ」と分かるフレーズが多いなと。

松井:これまでに自分で何曲か作詞してきたけれど、今までは「なるべく色んな人が共感できる内容にしたい」と思って書いてきたんです。でもこの曲に関しては、自分のことを語る曲にしました。

ーー共感ではなく、主観を大切にした。

松井:〈無邪気に登ったあの階段〉は「大声ダイヤモンド」のMVのことだし、〈オレンジ色〉はSKE48だし。そういう言葉をたくさん入れています。やっぱりSKE48のシングルに入る最後のソロ曲ですからね。

2021/2/3 on sale SKE48 27th Single c/w 松井珠理奈「Memories 〜いつの日か会えるまで〜」MV(special edit ver.)

ーー聴いているこちらは目頭が熱くなりますが……レコーディングしたときはいかがでしたか?

松井:レコーディングはまだ大丈夫でした(笑)! でも、MVの撮影は……。私が参加した過去のMVが映し出されるなかで歌うっていう内容だったので、いろんな思い出が蘇ってくるんですよ。それに、SKE48の結成メンバーになった2008年から現在までのラインが引いてあってその上を歩くっていう演出だったんです。歴史をたどる感じがじんときましたね。……あ、でもレコーディングでひとつ感情がこもりすぎたところはありました。

ーーあら。それはどこですか?

松井:Dメロの〈サヨナラしたあとも好きでいてほしい〉という部分です。アイドルはみんな思うことだと思うんですけど、卒業したら応援してくれないんじゃないかって 不安に思うものなんですよ。それを思って書いたから、歌うときも感情がこもりすぎてすごく強くなっちゃって、通して聴いてみたら「やっぱりここだけ強すぎるよ」って(笑)。なので、柔らかい切ない感じに歌い直しました。レコーディングの裏側は、私のYouTubeチャンネルにも投稿する予定なので、それを観たらどれくらい強かったか分かるかもしれないです。

2021/2/3 on sale SKE48 27th.Single c/w Black Pearl「Change Your World」Music Video

ーーでは次に、「Change Your World」についても。これは、新ユニットBlack Pearlの楽曲で、珠理奈さんがほぼ全てプロデュースされたそうですね。

松井:はい。歌詞を書いたし曲を選んだし、振り付けもしたし歌唱メンバーもスタッフさんと相談して決めたし、衣装もメイクもMVのイメージも全部関わらせていただきました!

ーーそこまで!

松井:もともとSKE48の未来を感じるような、わくわくする感じをこのユニットで出したいなと思っていて、「歌詞を書きたい」という話はしていたんです。それに、ずっとメンバーとしてやってきた私だからこそわかるSKE48の良さ、メンバーの良さってあると思うし。それを出せたらいいなとイメージを膨らませていたら、全部やらせていただけることになりました。

ーー歌詞もメッセージ性が強いですよね。

松井:私が卒業したあとには誰かがセンターになって、若手メンバーも今以上に活躍するようになると思うんですけど、そうすると嬉しい声だけじゃなくて聞きたくない声も聞こえてきたりすることもあるんです。私も、SKE48なのにAKB48の「大声ダイヤモンド」選抜になったときはそういう経験をしたけれど、それを力に変えて、はねのけてやって来たので、みんなにもそうやって進んでほしいなと思って歌詞に込めました。ユニット名にしたBlack Pearl(黒真珠)自体も、批判や反対をはねのけて信念を貫きたいときに持っていると良い石らしいので、ぴったりですよね。メンバーだけではなく、生きづらい今の世の中を生きる人たちへのメッセージになったらいいなと思います。

ーー特に思いを込めたフレーズってありますか?

松井:いっぱいあるんですけど……選抜総選挙で1位にしていただいてから世界に羽ばたきたいという気持ちが強くなったんです。だから英語は入れたいと思っていて。そこはこだわりましたかね。あとは〈努力したって誰もが上に行けるわけじゃない そんな世界を昔から好きになれやしない〉というところ。普段自分の口からは言いづらいけれど、歌にすると聞こえが良くなるかな? と思って入れてみました。

SKE48 松井珠理奈

ーーいつも前向きな言葉をくれる珠理奈さんから出た言葉だと思うと、意外ですね。

松井:「努力は必ず報われる」って、もちろんそれはあると思うんです。努力に無駄なことなんて無いと私も思っています。だけど一方で、この世界って運も大事で。努力だけではどうにもならないことがあると思うんです。運良く上に上がっていく人もいるじゃないですか。

ーー確かに。

松井:そういうのを見てモヤモヤすることもあったので、思い切ってぶつけてみました。メンバーのなかにも、そう思っている子は多いと思うんですよ。江籠(裕奈)ちゃんはずっと真面目に一途に頑張っているけど、そのぶん悔しい思いもたくさん経験していると思うので、共感して歌ってくれるんじゃないかなと。実際に、歌唱メンバーにも話を聞いてそのワードを歌詞に入れ込んだりしているので、感情も込めやすかったと言ってもらえました。振り入れも「イントロのここは、目の前にあるものをはねのけて前に進んでいくという意味だよ」と教えながらすすめました。

ーー過去に1曲丸々振り付けしたことってありました?

松井:コンサートで、次に繋ぐためのダンスを何秒間だけ振り付けする機会はありましたけど、1曲丸々は初めてです! だからすごく大変でしたね。何かと似てしまうと大変だから調べつつやって、5時間くらいかけて考えました。ダンスの先生って大変なんだなって改めて感じましたし、秋元(康)先生も大変なんだなって思ったし、もう、みんなの大変さとありがたみがわかりました! ちなみに、衣装もすごくこだわったんです。やっぱり女の子は、衣装が可愛いとテンション上がりますからね。それぞれのスタイルに合わせてデザインを少しずつ変えていて、その子がより綺麗に可愛く見える衣装にしています。近くで見てきたからこそ、こだわりたかったところです。

ーーまた、メンバー9人をどのように決めたのかも知りたいです。

松井:9人という縛りがなければもっと入れたかったくらい魅力的なメンバーばかりなんですけど、一人ひとりをフィーチャーするとしたらこのくらいの人数がちょうどいいかなということで、スタッフさんと相談して絞らせてもらいました。決め手は、全員努力しているのは当たり前なので、“自分を見つけてもらうために、人と違う努力をしている子たち”。例えば、10期生の林美澪ちゃんは、自分で振り付けを覚えて自分で衣装を用意して、SHOWROOMでライブみたいなことをやっているんです。それ見て私ハマッちゃって(笑)。

ーー視聴者として(笑)。

松井:そうなんです、楽しくて! そういうのって、やれと言われてやっているわけではないですから。自発的にアピールしているところが素敵だし、努力を認めたいなということで選ばれました。あと9期生の平野(百菜)ちゃんは、たまたま握手会でレーンが隣になったとき、入ったばかりなのに握手がすごく上手だったんですよ。若いときって男の人と至近距離で喋ることに慣れていないし、ドキドキしてしまうものだと思うんです。だけどとても楽しそうに話していたんですよ。それを見て「これはかなりの釣り師だな」と。あの魅力にみんな取り憑かれてほしいなと思っています。

ーー過去には、先輩たちに見られていた珠理奈さんも、今は見る側になったのですね。

松井:そうですね。AKB48のときだったら(篠田)麻里子様やたかみなさんが見て、助けてくれていたので。それを今、自分でやっているのが不思議な感じです。

「“誰かのために”と思うと強くなれるタイプ」

SKE48 松井珠理奈

ーーずばり聞きたいのですが、珠理奈さんが自分のアイドル人生に点数をつけるなら、100点中何点ですか?

松井:えー! 難しーい!

ーー卒業コンサートなどはこれからなので、今のところの点数にはなりますが。

松井:うーーん……70点くらいじゃないですかね?

ーーそれはなぜ?

松井:こうと決めたら突き進んでしまうところがあるし、ストイックになりすぎる部分もあるので、それが良い方に転ぶときもあったけど、「もっとこうすればよかった」と後悔に変わってしまったときもあるんです。本来の性格って多分ストイックではなくて、SKE48とかAKB48に入ってプレッシャーや責任感を与えてもらえたからそうなったんだと思うんですよ。だから私の中には素とは違う、別の珠理奈がいるんです。

ーーストイックになりすぎてしまう、アイドル珠理奈が。

松井:はい。だから素の珠理奈をもっと出して、もっと子供らしくやれていたら良かったのかなと思うことがあるので、70点くらいかなと。

ーー「大声ダイヤモンド」のときは、「なんで私がセンターに」と言っていましたもんね。あれが今で言う素の珠理奈だったと。

松井:あのときは本当に思っていましたよ。なんでこんなおチビを? って(笑)。

ーーアイドルの珠理奈さんを長く見ていると、あの記憶は薄れてしまって。「最初にこんなこと言っていたんだ」と意外に思うくらいですが……。

松井:弱いんですよね、本当は。守るものがあったり、誰かのために何かをしなければと思うと強くなれるタイプなんですよ。

ーー強くなれたきっかけはやはり「大声ダイヤモンド」ですか?

松井:そうですね。AKB48の選抜に入ったとき、それを羨ましく思うメンバーが結構いたんです。「私がそこに入りたい」って。そんな状況で、いつまでも「なんで私が?」と嘆いていたら、「じゃあ私が代わりに行くよ」と思われてしまうじゃないですか。そう気づいたとき、それは嫌だなって思ったんです。選んでもらったからには、珠理奈でよかったとみんなに思ってもらいたいって。その思考になったとき、変わったんじゃないかなと思います。あとは兼任したときとか。自分のためじゃなくて、SKE48を広めるために任務を与えられたんだという気持ちが芽生えました。

(「大声ダイヤモンド」から)「もうダメかも、無理かもと思ってました」

SKE48 松井珠理奈

ーーただ、珠理奈さんは自身のYouTubeチャンネルで「辞めたいと思ったことは正直ある」と言っていましたよね。それはいつ?

松井:それは……実は最初からです。「大声ダイヤモンド」のときから。

ーー使命感が生まれた裏で、葛藤もあったのですね。

松井:あの当時は個別握手会ではなくて、ファンの方がいろんなメンバーと握手をする形式だったんです。そうすると、「なんでSKE48なのにいるんだよ」と納得していないファンの方に握手していただけなかったり。それが辛くて悲しくて。ああ、もうダメかも、無理かもと思っていました。でもそんなとき、母が「自分の娘が自分の夢を叶えてくれたみたいで嬉しい」って言ってくれたんです。母も昔、アイドルや歌手になりたかったんですって。そのときも、自分の夢だけじゃなく母の夢も背負っているんだと感じて、踏ん張れました。私のために仕事を頑張ってくれている母を見ていたので。

ーー素敵なお話です。でもまだそのときって小学生ですよね。そんな時期に覚悟が生まれるって単純にすごいことだなと思うのですが、ご自身ではどうですか?

松井:ああー……自分がすごいというよりは、置かれていた環境がすごい! という感じでした。当時はまだ事の重大さに気づいていなかったんです。「なんでだろう?」みたいな疑問はあったけど、小6だったし無邪気すぎてそれ以上は浮かばず。周りのリアクションで徐々にわかってきた感じでした。今なら絶対無理ですけどね! あんなすごい先輩たちの中にぽいと放り込まれて、急に真ん中で歌わされるその状況がやばい(笑)。いろんなことをわかりすぎているので、プレッシャーに押しつぶされます。小6の強さを感じますよね。

ーーではそれ以降、「辞めたい」という思いがよぎることはありましたか?

松井:あとはAKB48のチームKと兼任したときにもありました。もちろん、嬉しかったんですよ! AKB48も好きだし、チームKにいたのは大島優子さん、(宮澤)佐江ちゃん、秋元才加さんと憧れている先輩ばかりだったので、そんな人たちを劇場で見られるなんて! と思っていたけど、これ以上スケジュールが忙しくなると厳しいなと思っていたし、なによりSKE48のファンの方々が悲しんでいたんですよ。

ーー本拠地で見られる機会が減ってしまうわけですからね。

松井:あくまで一部ですけど「AKB48になったの?」「SKE48じゃなくたんだ」っていう人もいました。それに、メンバーとの距離も感じるようになりましたね。AKB48にいる間にSKE48でもいろいろ動きがあって「知らないうちにこんなことがあったの?」と、ギャップを感じることも多くなって。自分としてはSKE48のためにやっていて、AKB48でいるときもSKE48のことを思ってステージに立っているのに、それがうまく伝わっていないなって感じたときは寂しいなと思っていました。

ーー伝えづらいですものね。そういう複雑な思いって。

松井:「私はSKE48のことが大好きなんです!」と突然言っても嘘っぽく聞こえちゃいそうだなとか、いろんなことを考えてしまって辛かったです。名古屋でライブをやっても、声援が自分だけ小さかったのも辛かった。逆に、AKB48のファンの人たちは受け入れてくれて、「AKB48の劇場で見られるのは嬉しい」と言ってくれていたので、今思えば家が2つあった感覚ではあるんですけどね。

「玲奈ちゃんがいてくれると安心感があった」

SKE48 松井珠理奈

ーーどんな思い出も楽しいことばかりではありませんが、珠理奈さんの場合抱えているもののスケールが大きいぶん、ダメージも大きかったのではないかと思います。取材する側としては、2015年、松井玲奈さんが卒業を発表した頃も辛そうでした。

松井:いやあ……すごく辛かったです。近くにいる方たちは一番思っていたかもしれないですね。あのときは、自分の半分が無くなったみたいな感覚だったんです。玲奈ちゃんがいることでライバルという構図になって、意識されて辛いときもあったけど、自分が出られないときに玲奈ちゃんがいてくれると安心感があったんです。それをこれから全部で背負っていかないといけないのか。勢いが落ちたと思われたらどうしようと不安ばかり抱えていました。あとは、玲奈ちゃん、誰にも相談していなくて。それが悲しかったのもあります。

ーー同期でやってきたけれど。

松井:確か、卒業発表の前日に連絡がきたんです。1期生のLINEに。明日発表する予定だったけど新聞の記事が出ちゃうからという連絡で、そこで私がうえー! って泣いて、「なんで! なんで言ってくんなかったの!」って大泣きして子ども過ぎて(笑)。それも悲しかったなっていうのもありました。

ーーどんどん痩せていったし、はたから見ていても当時の記憶ってあるんだろうかと思うくらいでした。

松井:あ、あんまりないかもしれない、そういえば。完全に心ここにあらずでした。MV撮影のときもダメダメで、(牧野)アンナ先生に「しっかりしろ!」と叱られたのは覚えています。

ーーそんなふうに、辛い状況も多々あった12年だったと思います。その都度、どうやって乗り越えてきましたか? お母さんの言葉も大きいとは思いますが。

松井:それはやっぱり、SKE48が好きという思いがあるからです。それが一番ですね。あと、誰が卒業しても残っているメンバーがいるし、ちゃんと継承していかないといけないなと思っていたので。グループとしての愛があるから、グループにできることまだあるなって。そこが根っこにありますね。

ーーあとは、ファンのみなさんの存在も強いですよね。珠理奈さんは。

松井:そうですね。昔はファンのみなさんに甘えられなくて弱音を吐けなかったんですけど、そんな私を見てファンのみなさんが「僕たちに甘えてください」「何でも聞くから頼って」と言ってくれるようになって。弱みを見せることってあんまり恥ずかしいことじゃないのかなと思わせてくれました。だから……うん、そういう言葉をかけてくれたファンの方がいたっていうのは大きいですね。ファンの方とも一緒に私自身やSKE48を作り上げているんだなと感じています。

ーーそれに、「好き」とちゃんと伝えてくれるファンがいるのは、嬉しいだろうなと。

松井:確かに! みんな、すごく優しいんですよ。恋人みたいに見ている人もいるかもしれないけど、私のファンの方って家族目線で“見守ってくれている人”が多いんですよね。

ーー2020年は交流する機会がガクンと減ってしまいました。久々に会えたときはどうでしたか?

松井:久々に顔を合わせたのがオンラインだったんですけど、握手会や公演が減って「生きる活力が無くなった」と落ち込んでいる人が思っていた以上に多いんだと気づきました。ただ、それを知ったことで改めてそんなに私たちのことを思ってくれていたんだって愛がわかりましたね。寂しい思いをさせてしまったのは申し訳なかったけれど、それが伝わったのは嬉しかったです。「やっぱり生で会えるほうがいいわー」とも言ってましたけど(笑)。

ーー以前の距離感で触れ合える日が早く来てほしいです。その日がもし来たら、どんな姿を見せたいですか? 例えば、コンサートで。

松井:できる限り、一人ひとりの顔を見たいですね! ファンのみなさんには気づかれているんですけど(笑)、普段は前方の席にいる方たちではなくて後ろのほうにいる方たちを見るように心がけているんです。前に座っている人って、前というだけで嬉しいと思うから。だけど、今度は前の人たちにもちゃんとレスを送って(笑)。見てるよ、みんな見てるよって言う気持ちで臨みたいです。

後輩に残したい格言は「誰かが必ず見てくれているよ」

ーー最近の珠理奈さんは、後輩メンバーとの交流が増えていると感じます。以前も喋らなかったわけじゃないけれど、そこまで多くなかった気がしていて。

松井:そうなんですよ。「『珠理奈さん』じゃなくて好きなように呼んで」と伝えたら、「おじゅり」とかいろんな呼び方をしてくれる子が増えて、そこから距離が縮まりました。あと、以前はアドバイスのための会話が多かったんですけど、プライベートや楽しい話をする機会は少なかったんです。それだと距離が縮まらないよな、距離が近いほうがアドバイスも響くよなと思ってからはだいぶ会話が増えたと思います。

ーー卒業を前に、後輩たちに伝えたいことは伝えられましたか?

松井:そうですね! ほぼ伝えられたと思います。センターをやってほしいと思っている子が今何人かいるので、そういうメンバーには思いを伝えたりもしました。「もしなったら、こういうところに気をつけてほしい」とか「もっとガンガンいってもいいんじゃないの?」とか(笑)。

ーー頼もしいです。そんな珠理奈さんに、改めて聞きたいのですが12年間で培った“珠理奈イズム”って何ですか?

松井:なんだろう? 「いつも本気」かな。

ーー根本はそこですね。珠理奈さん自身に変化はあったけれど。

松井:そうですね。なんでも本気です。遊ぶときも真面目にやるときも本気。プラス、楽しむことも大事ですかね! 最近だと。私は頑張りすぎて辛い思いをしてしまったので、楽しむことも大事だと今は思っています。

ーーでは、そのイズムを継承して欲しいメンバーというと?

松井:一番継承できそうなのは熊ちゃんですね! ファンの人が見えない部分なんですけど、リハーサルやレッスンのとき、熊ちゃんは絶対に手を抜かないんです。それでいて、抜けているところもあるじゃないですか。滑舌が悪いところとかすごく可愛い。そういう、真面目な部分もあるけれどいてくれると和む存在感がいいなと。SKE48らしい元気でパワフルなところもありますからね。

ーーこれからの熊崎さんも楽しみですね。

松井:ただ、熊ちゃん含めメンバー全員に言いたいのは、「良いと思うところは真似して、嫌だと思うところは真似しないで、自分らしくオリジナリティ出してやってほしい!」ということ。誰かの真似をすると二番煎じになりそうと思うかもしれないけど、それぞれのいいところを真似して学ぶってすごくいいことだと思うんです。オリジナリティはその上に成り立つはずです。

ーー最近のことについては、とくに明るく話してくださった印象です。それだけ、今のSKE48の雰囲気がいいのでしょうね。

松井:はい。「恋落ちフラグ」のMVもそうでしたけど、みんな全力で踊るんですよ。それを見て、私泣いちゃったんです! 「これだよな、SKE48!」って。そう、久々に思えたのでいいタイミングだったのかなと。これを機に、ますますまとまってくれたらいいなと思います。

ーーそんな後輩たちに、珠理奈さんが残したい格言は?

松井:わー難しい!! 難しいけど……やっぱり「誰かが必ず見てくれているよ」ですかね。「努力しているのになかなか前に行けない」とネガティブに考えがちだけど、頑張っている姿は必ず誰かが見てくれている。なので、諦めずに頑張ってほしいです。

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