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大倉忠義主演『知ってるワイフ』はもはやホラー!? 原作の韓国ドラマから日本版の見どころ解説

リアルサウンド

21/1/7(木) 6:00

 1月7日、関ジャニ∞の大倉忠義主演のドラマ『知ってるワイフ』(フジテレビ系)がいよいよスタートする。仕事に子育てにと追われる日々を過ごすうちに、すっかりダメ夫と恐妻になってしまった夫婦にスポットライトが当たる。「もしあの時こうしていたら、今はどうなってたんだろう?」そんな誰もが厳しい現実に直面したときに考えずにはいられない、“If”の世界を体感することができるファンタジーロマンスだ。

 主人公は、大倉演じる剣崎元春。結婚5年目の2児の父だ。連日、子どもの夜泣きで寝不足が続いている上に、勤務先の銀行では理不尽な顧客に翻弄され疲労困憊。家庭のことは妻の澪(広瀬アリス)に任せきり。銀行では上司に叱責され、家では妻に怯える元春にとって、束の間の癒やしといえばクローゼットの中に隠れてコソコソとプレイするテレビゲームだ。

 「澪は結婚して変わった……モンスターだ……」と嘆いていると、偶然大学時代にあこがれていたマドンナ・江川沙也佳(瀧本美織)と再会。沙也佳から「好きだったの」と打ち明けられると、元春は「あのとき人生のパートナーの選択を間違えたのでは」と激しく後悔。そんなとき、街で話しかけられた不思議な男からもらった500円玉によって、「あのとき」に戻ることに成功する。限られたタイムスリップの時間に起こした行動が、バタフライエフェクトとなって現在が変わっていくと知った元春は、幸せな人生に変えるべく奔走する……。

 本作は、同名タイトルの韓国ドラマが原作となっており、日本でもDVDが発売される人気作となった。本作がオンエアされたら、ネット配信している韓国版と見比べてみるのもまた一つの楽しみ方と言えるのではないだろうか。実は今回、一足先に日本版『知ってるワイフ』第1話を観ることができたので、その雰囲気の違いを味わうことができた。

 そこで感じた最も大きな違いは、“笑える“かどうか。韓国版は怒る妻の顔が赤くなったり湯気が立ったりとコミカルな演出によって、妻の咆哮もブラックコメディとして楽しめる。さらに、脇を固めるキャラクターたちも、一見すると仕事ができない後輩だったり、細かい上司だったりするのだが、言っていることには筋が通っていて、そのクセの強さに思わずクスッとなる仕掛け。主人公の苦難を思えば笑えない状況ではあるのに、つい傍から見ていて笑える要素が散りばめられているのだ。

 一方、日本版の第1話はかなりシビアだ。韓国版の主人公・ジュヒョクが良かれと思ってやることが、とことん「巻き込まれ型」なのに対して、日本版の主人公・元春の「優柔不断」な性格が目立つからかもしれない。元春を演じた大倉も、公式サイトのインタビューで「演じながら、“いや、お前(元春)のせいで事件が起き続けているのに!”とずっと思っていました(笑)」と話していたほどだ。

 また、職場の上司の話にも中身がなく元春の仕事への熱意もどこか義務的。ゆとり世代の後輩との会話も淡白で関係性が薄く感じられる。同僚の津山(松下洸平)とのやりとりには少し頬が緩むも、家族の話となると“自分以外の結婚はみんな幸せそうだ、なぜ自分ばかり……”という元春の孤独感をより浮き彫りにしていくようなところがある。

「知ってるワイフ」1月7日(木)よる10時スタート!主題歌解禁特報30秒

 さらに、澪を取り巻く環境がますます笑えない。ほぼワンオペ育児に加えて、家事、そしてアルバイトと、忙しない日常が彼女から笑う余裕を奪っていく。すり減っていく自分に、ちっとも気づこうとしない夫。“言っても無駄”という小さな絶望が日々積み重なり、なりたくもない悲しいモンスターにならざるをえない日々……韓国版がブラックコメディなのに対して、日本版はもはやホラーだ。

 大倉はインタビューで「元春と澪のような夫婦関係になってしまうのは嫌だなぁと考えていました」と率直な感想を述べながら、一方で「男性スタッフの方が、奥さんとドラマを見たら元春の行動に“あなたと同じ!”と言われそうで一緒には見られないと言っていました(笑)」とも語っている。

 これが、今の日本を取り巻く空気感なのか。それとも“夫婦あるある”として楽しめるのか、それとも観ていて苦しいほどに現実的なのか。今から、SNSを中心とした視聴者の反応が楽しみだ。リアルタイムな日本の状況を取り入れることで、視聴者の心に直接的に訴えかけることができるのがテレビドラマの醍醐味なのだから。

 「良妻を持てば幸せになれるし、悪妻を持てば哲学者になれる」とは、作中に出てくるソクラテスの言葉。元春は「俺は哲学者だ」と言い聞かせながら、恐妻・澪と対峙していくのだが、実はこの言葉の前には「とにかく結婚したまえ」があるのを忘れたくない。それでも、結婚はいいものだ、と最後は笑えるドラマになることを切に願いながら。まずは、元春や澪の振り見て、我が振り直せ、といったところだろうか。私たちは過去に戻ってやり直すことはできなくても、今この瞬間から未来を変えることはできるのだから。

■放送情報
木曜劇場『知ってるワイフ』
フジテレビ系にて、1月7日(木)スタート 毎週木曜22:00~22:54放送 
※初回放送15分拡大(22:00~23:09放送)
出演:大倉忠義、広瀬アリス、松下洸平、川栄李奈、森田甘路、末澤誠也(Aぇ!group/ジャニーズJr.)、佐野ひなこ、安藤ニコ、マギー、猫背椿、おかやまはじめ、瀧本美織、生瀬勝久、片平なぎさ
脚本:橋部敦子
編成企画:狩野雄太
プロデュース:貸川聡子
演出:土方政人、山内大典、木村真人
音楽:河野伸
制作:フジテレビ
制作著作:共同テレビ
(c)フジテレビ

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