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ぴあ

いま、最高の一本に出会える

玉川奈々福の 浪花節的ココロ

「食う」ことへの執念。~阿武松緑之助

毎月連載

第10回

19/9/7(土)

 「なんで、木馬亭の楽屋って、あんなに食べ物があるの?」
 日本で唯一の浪曲の定席、浅草木馬亭。毎月一日から七日、昼の十二時十五分から十六時過ぎまで、かわるがわる浪曲師が出てきて一席ずつ申し上げておりますが、途中一席、講談が入ります。その講談の先生方が、木馬亭の楽屋に入って驚かれるのが、コレらしい。

 ちゃぶ台の上に、やたらに、食べ物がある。

 それでも最近は減ったほうだと、入門二十五年目の奈々福は、思います。だいいち、漬物が乗っかることがなくなった。お弁当も、最近はまず、ない。曲師の沢村豊子師匠が必ず楽屋に差し入れてくれるたこやき、東家浦太郎師匠からのおにぎり、大利根勝子師匠からのロールパン、お客様からのお菓子……くらいになりました。あ、96歳現役曲師の玉川祐子師匠はいまでも、その日の朝に作った味付け卵を持ってきてくださいますがこれ、絶品。
 「前の晩つくっちゃうと美味しくないんだよ。その日の朝じゃないとね」。
 そういえばこの間は、曲師の伊丹秀敏師匠が、すいかをまるごと持ってこられて、前座さんたちが盛大に切って、ちゃぶ台がすいかだらけになってたなあ。
 この間の、私の朝の勉強会のときには、豊子師匠が木馬亭前の君塚食堂に、もつ煮込みを注文して、化粧前にどーんとドンブリが置いてあった。「アンタ舞台終わったら食べなさい。こらあげんは、カラダにいいんだよ」。朝からもつ煮込み。こらあげん……。

 浪曲の楽屋しか知らないから、これがふつーだと思っていたけれど...

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