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真彩希帆、目指した夢にまた一歩近づく新たな挑戦。ミュージカル『ドン・ジュアン』にかける思い

ぴあ

真彩希帆  撮影:川野結李歌

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2019年に藤ヶ谷太輔が初ミュージカルにして主演を務め、大評判を得たミュージカル『ドン・ジュアン』が2年ぶりに帰ってくる。作品は2004年にカナダで初演され、世界各国で上演されているフレンチミュージカルの人気作で、日本では2016年に宝塚歌劇団雪組が初演。耳に残る印象的な楽曲と、稀代のプレイボーイ、ドン・ジュアンを軸にした情熱の物語が鮮烈な印象を残すミュージカルだ。今回、刹那的な快楽を求めていたドン・ジュアンに真実の愛を気付かせるきっかけとなるヒロイン・マリアを演じるのが、真彩希帆。元宝塚歌劇団雪組トップ娘役として数々のヒロインを演じ、惜しまれつつ今年4月に退団をした真彩は、今作が退団後初のミュージカル出演となる。王道ヒロインからコミカルな役まで自然に演じる演技力、そして特にその抜きんでた歌唱力でファンを魅了、今後のミュージカル界での活躍も期待される真彩。本作にかける意気込みを聞いた。

宝塚版とは全く違う、その変化も楽しい

――公式サイトに、『ドン・ジュアン』は観客として見ていたとコメントを寄せていますね。ご覧になったのは雪組版ですか? それとも2019年の藤ヶ谷さん主演版ですか?

望海風斗さんが主演された、2016年の雪組公演です。純粋に作品と音楽が面白かったです。同時に、演じる俳優ひとりひとりのエネルギーがとても必要な作品だなとも感じました。フラメンコも情熱的で! でもミュージカルでフラメンコを踏む作品って、なかなかない。宝塚時代も、スパニッシュはあってもフラメンコはほとんどありませんので。そんなところも面白いなと思いました。

――真彩さんも観たという宝塚版と、今作っていらっしゃる梅田芸術劇場制作バージョン、同じ『ドン・ジュアン』でもけっこう違うところがあるとか。どんなところが違いますか?

本当に違うんですよ……! 演じる俳優が違うから違うものになるというのは当然のこと、台詞も違うし、歌も違う。演出は同じく生田大和先生ですが、たぶん生田先生って、演じる役者によって「この人が演じるこのキャラクターには、こうだ」「この台詞を言わせたい」と考え方が変わるんだなと思います。稽古場でもどんどん変更が入るので、その変化も楽しいです! ですから、宝塚バージョンを観ていて、今回のバージョンを初めて観る方は、まったく新しいものを観るつもりで来てくださっていいと思います。私としても、新しい作品に挑戦している意識で日々過ごしています。

「プレッシャーはあるけれど、戸惑いはありません」

――すでにお稽古が始まっているとのこと。どんなカンパニーですか?

もう、最高です! 明るいし、楽しいし、いい人ばかり(笑)。皆さん温かくて、人間味あって。私は今回の再演からこのカンパニーに入ったのですが、主演の藤ヶ谷さんも、ラファエル役の平間壮一さんも、ドン・カルロ役の上口耕平さんも、昔からの友人かのように接してくれます。アンサンブルの方々も気さくに私のことを「なっちゃん」(※真彩さんの愛称)と呼んでくださって。

私と同じく今回初参加の天翔愛ちゃんも可愛くて、可愛くて! 宝塚の下級生とお話しているみたいな感覚になります。だけどみんな、舞台に対する熱が高く、稽古に入るとビシっと切り替わるところがカッコいい。稽古を見ているだけで自然と拍手しちゃいますし、自分も頑張らなきゃと思います。とてもエネルギーをもらえる現場です。

――真彩さんにとっては、宝塚退団後、初めての舞台。プレッシャーや戸惑いなどはありませんでしたか。

うーん……。舞台という仕事に関わっていると、毎日無意識のうちに緊張しています。そういう意味でプレッシャーは常に感じていますが“宝塚の外でも果たして自分は受け入れてもらのだろうか”という心配は正直なところあまりしていませんでした。なぜかというと、一緒に仕事をする人のことも、観てくださるお客さまのことも、意地悪な人はいないと信じているからですかね(笑)。私は、私を見て「いい役者だな」「この人の舞台を見たい」と喜んでくれるお客さまのために舞台に立っているので、プレッシャーを感じるのは、与えられた仕事に自分が値しているかという、自分自身に対してだけです。それは宝塚にいても、外の世界に出ても同じ。なので、プレッシャーはあるけれど、戸惑いはありません。

――演出の生田大和さんは、真彩さんたちのトップコンビお披露目公演である『ひかりふる路(みち)~革命家、マクシミリアン・ロベスピエール~』(2017年)の演出も手掛けていたりと、真彩さんにとっても縁のある方だと思います。こんなところを期待している、などお話されたりはしました?

生田先生に「期待してる」なんて言われたことないです(笑)! 宝塚にいた私より、外部の皆さんの方がずっと仲が良さそうで(笑) すごく皆さんと先生はフランクに喋っていますからね……。どうしても私はまだ“宝塚の先生”として接してしまいますので。でもそうですね、宝塚の頃からとても信頼できる先生です! とても優しくて、悩んでいたり、困っていたり、体調を崩したりするとすぐに気付いて、とても心配をし、支えてくださる。私にとっては恩師でもあり、恩人でもあり……。その恩をどうやってお返ししていこうかと常に考えています。言葉で何かを言われたりはしていませんが、私は生田先生をとても信頼していますし、逆に、真彩希帆という役者を信頼してもらえていたら嬉しいなと思います。

ドン・ジュアンとマリアの関係性は、情熱的な一目ぼれではない

――演じるマリアは、どんな女性ですか。

私が観た『ドン・ジュアン』のマリア像からずいぶん変わって、一筋縄ではいかなくなっています(笑)。でも、より人間らしくなっている。今思っているのは、マリアという女性は常に自分の心、自分の感じるものに素直でありたい人。そして「それは本当に自分が望んでいることか」と自分の心に問うているような人なのではないかと感じています。マリアは元々ラファエルの婚約者で、ラファエルも嫌な人ではなく、一緒に暮らすのも悪くない相手。でも「本当にこの人なのだろうか?」という気持ちもある。そんな時にドン・ジュアンに出会うんですね。

――はい。

マリアは、自分のパーソナルスペースが狭い人間だと思うんです。自分の大切にしている場所、例えば心の中や、仕事場だったり簡単に人に入ってきてほしくない。それなのに違和感なく、その境界をいつの間にか超えてきたドン・ジュアンに心惹かれる。興味が湧く。彫刻以外のことで初めてのめり込み、愛して、ともに生きることを望んでいく……ということじゃないかと捉えています。情熱の物語ですが、ドン・ジュアンとマリアの関係性は、情熱的な一目ぼれとかではなく、もっと素朴なものと思います。

――そのドン・ジュアンを演じる藤ヶ谷太輔さんは、稽古場で見ていてどんな俳優さんですか?

とても人間的魅力に溢れた方です。人に対して非常に丁寧で、物腰が柔らかい。そういう方だからこそ、アンサンブルの皆さんやスタッフさんに愛されているんだなと思いましたし、私自身、緊張せずに稽古場にいられるのは、やっぱり藤ヶ谷さんが座長として、穏やかに温かくいてくださるからなんだなと思います。そして藤ヶ谷さんご自身は芸事に真面目に向き合っていて、その姿を皆さんに見せているからこそ、みんなが彼に自然とついていく。すごく素敵な座長です。

ミュージカル『ドン・ジュアン』メインビジュアル

――とてもよい環境で作品に臨んでいるようで、本番がより楽しみなりました。ちなみに、4月に歌劇団を退団後、少しは休めましたか?

とてもゆっくりとした時間を過ごせました。退団公演の時から、しばらくは自分を見つめ直す時間だなと意識していましたので、そんな時間になりました。でもこの間、ラジオドラマのお仕事をしたり、ザ・テレビジョンさんのお仕事で色々な方にインタビューしたり(連載「真彩希帆の知りたい!芸の道」)、多くの人とお会いする機会があったので、「外の世界に出てきたな!!」という気持ちにはなってきています。

――そのザ・テレビジョンの連載でも、真彩さんご自身がミュージカルを大好きだとありましたが、ご自身を見つめ直す時間で、舞台、ミュージカルに対する思いを新たにしたりしましたか?

はい、一番好きなところだなと改めて思いましたし、その場所に戻って来れて嬉しいです。宝塚を辞めたあとって、自由じゃないですか。何をしてもいいし、舞台に立たなくても、それはその人の自由。でも自分は何をやりたいのかと本気で考えた時、やっぱり私は新妻聖子さんの舞台を見て、ミュージカルの舞台に立ちたいという夢をもらった、その夢を改めて思い出したんです。今回の『ドン・ジュアン』も、子どもの頃に目指したいと思った世界に、また一歩近づいたなという気持ちで臨んでいます。

退団しても変わらない望海さんとの関係

――そしてやはりファンとしては、望海風斗さんがかつて主演した作品に、真彩さんが出演するというのは非常に気になるところです。『ドン・ジュアン』に出演するということについて、望海さんにはご報告されましたか?

しました、もちろんです! 一番にご報告しましたよ! 「『ドン・ジュアン』やるんだ!」と仰ってすごく喜んでくださいました。望海さんとは、退団したからといって関係性は変わらないだろうねというお話をずっとしていて。本当に濃密に、一緒に色々なことを経験し、様々な感情や気持ちを共有してきた相手ですので、困ったことが起きたら今もよく相談させていただいています。もちろん外の世界に出た今、自分の身に起きるすべてのことをお話するのは違うとは思いますが、望海さんとは「齢をとってから、一緒にお茶したり、どこかに旅行にいったりできる関係になりたいね」とよく話しています。人生の中で、真剣な話も他愛ない話もできる方ができたというのは、自分にとって本当にありがたいことだなと思っています。

――素敵なお話をありがとうございます。最後に、劇場に行くのも悩まれる方もいる時代です。複雑な思いを抱いて、それでも『ドン・ジュアン』を楽しみにしているお客さまへメッセージを。

本当にありがたいです。私は宝塚で公演していた時に、何回か緊急事態宣言の影響などで公演が休止した経験があります。「明日から公演が出来ない」となった時の、客席にいらした皆さまのお顔も、そして再開した時のお客さまのお顔も、忘れられません。私たちの職業は、誰か伝える相手がいてこそのもの。今回、チケットを取ってくださった方には、劇場にいる時間は心から楽しんでいただきたいですし、そのために私たちは初日に向けて精いっぱい精進していきます。また様々な事情で来られない方も、けっして私はこの作品限りで終わりではありませんので。心を寄せていただけたら、その気持ちがあれば、舞台芸術は続いていくと信じています。いつか直接お会いできる日のために、お互い頑張りすぎず、心も体も大切に、毎日を過ごしましょう!



取材・文:平野祥恵 撮影:川野結李歌



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ミュージカル『ドン・ジュアン』

【大阪公演】
2021年10月7日(木)~2021年10月17日(日)
会場:梅田芸術劇場メインホール

【東京公演】
2021年10月21日(木)~2021年11月6日(土)
会場:TBS赤坂ACTシアター

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