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宮野真守、梶裕貴……マルチな才能をミュージカルでも発揮? 声優と舞台の関係性から読み解く

リアルサウンド

19/7/19(金) 7:00

 11月から上演されるブロードウェイミュージカル『ウエスト・サイド・ストーリー』日本語版シーズン1で、メインキャストのトニー役に人気声優の宮野真守が抜擢。また宮本亜門が演出するミュージカル『イノサンmusicale』には、アラン・ベルナール役に梶裕貴が出演。人気声優のミュージカル出演が、話題になっている。

参考:宮野真守、なぜ各方面から支持される? 変幻自在に演じ分ける卓越した表現力に注目

■舞台をキーに役者としてステップアップ

 現在放送中のアニメ『炎炎ノ消防隊』の新門紅丸役、公開中の『劇場版 Free!-Road to the World-夢』の松岡凛役の声優、7月26日公開の映画『ペット2』のセルゲイ役の吹き替えなど。数多くの人気作に出演する宮野真守は、劇団ひまわりに所属し、子役からキャリアをスタートさせた。声優は声の演技であると位置づけ、声優として活躍する一方で、俳優としてミュージカルや舞台などに、コンスタントに出演してきた。『KREVAの新しい音楽劇 最高はひとつじゃない』では見事なラップを披露。昨年は劇団☆新感線による『髑髏城の七人Season月 <下弦の月>』で、これまで古田新太、小栗旬、阿部サダヲらが務めてきた捨之介を演じた。福士蒼汰とのW主演で、個性の強い役者陣を相手に堂々とした演技で話題を集めた。

 またアーティスト活動においては、歌だけでなくキレのあるダンスパフォーマンスも披露している。ダンサーとの息の合った、ダイナミックパフォーマンスは、彼のライブの見どころのひとつだ。ライブ中の映像でも、これまでにコントやチャップリンのような無声映画にチャレンジしており、そこからも器用さや変幻自在ぶりがうかがえた。『ウエスト・サイド・ストーリー』と言えばダンスシーンも見どころで、歌・演技・ダンスという3つを兼ね備えた宮野は、打って付けの存在だろう。この役によってエンターテイナーとしての階段を、また一段上ることが期待されている。

 そんな宮野と同じく注目を集めているのが、アニメ『進撃の巨人』のエレン・イェガー役や、『からかい上手の高木さん』の西片役などで人気の声優・梶裕貴だ。彼もまた声優業と並行して、声優の鈴村健一が総合プロデューサーを務める即興舞台劇『AD-LIVE』など、多くの舞台に立っている。昨年は朗読劇シリーズ「恋を読む」の第一弾『ぼくは明日、昨日のきみとデートする』に出演し、10月にはその第二弾『恋を読むvol.2「逃げるは恥だが役に立つ」』への出演が決まっている。

 今回の『イノサンmusicale』は、梶にとって人生初のミュージカルとなる。これまで舞台は朗読劇が多かったものの、キャラクターソングユニットへの参加が多く歌の経験は豊富。ダンスに対する可能性は未知数だが、それをのびしろに変えていけるだけの器用さを持っていることも確かだ。このアラン・ベルナール役によって、舞台役者としてひとつ跳ねることが期待されている。

■声優=声以外もバランスの取れたハイポテンシャルな存在

 梶が出演する朗読劇『恋を読むvol.2「逃げるは恥だが役に立つ」』には、他にもベテランの朴璐美をはじめ、石川界人、細谷佳正、内田真礼、斉藤壮馬といった声優が出演。『ウエスト・サイド・ストーリー』には、宮野とWキャストで蒼井翔太が主演する他、アニータ役を三森すずこが務める。声優で、子役や舞台出身の人は意外に多く三森もそうであることは有名だが、全体的に声優がミュージカルなどの舞台に起用されることが実に増えている。それには、どんな理由が考えられるのだろうか?

 1つは、舞台の演技と映像の演技の違いだ。舞台の演技は、テレビや映画といった映像の演技と同じように考えられがちだが、決してそうではない。決定的な違いは画角で、テレビや映画であれば、見て欲しいところにズームが当たり、表情や動きで見せることができる。舞台の場合は、いちばん後ろの観客まで演技を届けるために、演技力だけでなく大きな動きや声量も必要だ。両方で活躍できる役者もいるが、全体数で言えば稀な存在だ。ドラマや映画などで活躍する役者とは別に、“舞台役者”という言葉があるのは、そこに大きな隔たりがあることの表れだろう。声優の場合は、映像ではあるものの、二次元のアニメの絵に視聴者を引き込むための声の説得力が必要で、自然体でありながら、同時に1トーン上げた声や1段階テンションを上げた演技が求められる。声優はどちらかと言えば、舞台役者のほうに近いと言えるだろう。

 また近年は、多彩な分野で高ポテンシャルを持つ声優が増えた。声優の養成学校では、即興劇を行うエチュードなどの演技レッスン、歌やダンスのレッスン、ラジオや配信の際の講義など、さまざまな分野に対応できるようにレッスンが行われている。以前は声の演技に特化したのが声優であったが、現在は他の部分においてもレベルが高く、全体のバランスが取れた存在だ。

 声優としての人気と実力を追い風に、舞台への進撃を始めた声優たち。だからと言って、決して声優を踏み台にしていようというわけではない。彼らが役者をどのように極めていくかにも注目だが、その先でフィードバックされる声優としての演技にも興味がある。(榑林史章)

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