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山田裕貴&眞栄田郷敦を突き動かす役者の情熱「魂が動くものをやっていきたい」

ぴあ

眞栄田郷敦&山田裕貴 撮影:奥田耕平

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モデルとなった本人と会うことで掴めた役へのヒント

人生は、誰もが主人公だ。けれど、全員がスポットライトの当たる表舞台に立てるわけではない。人知れず歯を食いしばり、汗を流す。そんな見えない人々の努力が、世の中を支えている。

だからだろう。『ヒノマルソウル〜舞台裏の英雄たち〜』が、こんなにも心を揺さぶるのは。1998年、長野オリンピック。日本中が沸いたスキージャンプ団体悲願の金メダル。その裏側に隠された25人のテストジャンパーの物語だ。

その中で、山田裕貴は、聴覚障害のあるテストジャンパー・高橋竜二を演じた。同役は、実在の人物。生まれつき耳が聴こえないという障害がありながら、高橋はスキージャンプに挑み続け、名だたる大会でオリンピック代表選手らを抑えて優勝した経験もある選手だ。

「HBCカップという大会を見に行かせてもらう機会があって。そのときに、お願いしてご本人と直接お話をさせてもらいました。やっぱりご本人の想いが知りたかったので」(山田)

高橋は手話ではなく、口話を用いてコミュニケーションをとる。演じる山田にも、音のない世界で生きる人に見える表現技術が求められた。

「たとえば人と話すときは目を見るのではなくて、口を見るとか。口の動きを見て、相手の言ってることを理解して『うんうん』と言ってから喋り出すとか。そういった仕草や挙動は、決して研究のためにお会いしたわけではないですけど、高橋さんとお話ししたことで気づく部分がありました。あとはこの映画に入る前に、聴覚障害のある方たちとお話しさせてもらう機会があったので、そこで『この行が発音しづらい』とか『舌の動きで音を発する』とか、そういう話をいろいろ聞いて、勉強させてもらいました」(山田)

一方、眞栄田郷敦演じる南川崇は将来を有望視される実力派ジャンパー。しかし、テストジャンパーという裏方の役回りを与えられ、屈折した想いを抱えている。

「南川は最初すごく嫌なやつに見えるんですけど、話が進むにつれて背景が徐々にわかってくる。だから、僕としては、まずはオリンピックの代表候補に選ばれるくらい、スキージャンプという競技に真剣に向き合って努力をしてきたバックボーンをしっかり自分の中に入れて。そこから、怪我を負ったというトラウマを乗せて、という順序で南川の気持ちをつくっていきました」(眞栄田)

糖質制限で臨んだスキージャンパーらしい体づくり

スキージャンプは、ビル35階相当の高さから時速90kmのスピードで飛び出す、技術と精神力が求められるスポーツ。演じる俳優たちも本物のジャンパーに敬意を払い、細かい動きや体づくりにも心を砕いた。

「HBCカップに行ったときも、選手のみなさんがどんなふうに板を持っているのかとか、どうやってあのバーまで行くのかとか、そういうところをよく見ていました。あの靴を履くのも結構大変なんですよ。でもちゃんとパッと履けるように見えないといけないし。どうやったら選手に見えるかが、今回僕の中ではいちばん重要でした」(山田)

「ジャンパーは体型が大事なんです。みなさん、めっちゃ細いんで。だから、撮影期間中はめちゃくちゃ絞っていましたね」(眞栄田)

「そうだ。郷敦から脂質制限のことを教わってたわ。脂質は30gから40gの間でとか。甘いものは食べていいけど、控えてくださいとか。まあ、結局ビールは毎晩飲んでましたけど(笑)」(山田)

「せめて1日1本にしてくださいって言ってました(笑)」(眞栄田)

2019年に俳優デビューした眞栄田にとっては、本作が映画3作目。演じることについては「難しいです、ずっと」と控えめに語る。

「郷敦はこのシーンではこういうふうに見えないといけないということがちゃんとわかっている人。その上で、自分が納得いかないときは、そのままにせず考えるし。何かのシーンのときに『今のどうすかね? 伝わってますかね?』って郷敦が聞いてきてくれて。その感じがうれしかったですね」(山田)

「その話したの、今思い出しました(照)。裕貴さんは、いろんな癖を取り入れたり、芝居が細かいんです。さっきおっしゃっていたようなこともすごく考えているし。気持ちも大事にされているし。一緒にいて、ずっと刺激を受けていました」(眞栄田)

「郷敦はめっちゃ真面目。口数はそこまで多くないけど、思っていることはたぶんいっぱいあって。ストイックという言い方をすると、みんなストイックだからちょっと違うかなと思いますけど、とにかくまっすぐ。俺より全然まっすぐです」(山田)

「ありがとうございます。精進します!」(眞栄田)

抜群のチームワークが生んだ感動のクライマックス

最初はバラバラだったテストジャンパーたち。その絆が少しずつ深まっていくさまに瞼が熱くなる。現場ではどのようにしてチームの信頼を深めていったのだろうか。そう尋ねると、少し照れたように眞栄田が山田に視線を送った。

「こういう感じなんですよ。何かあると僕の方を見てくる(笑)。どうだった?」(山田)

「(田中)圭さんが共演者はみんな仲が良い方がいいというスタンスの方だったので、圭さんを中心にご飯に行ったりという感じでした。あとは宿に温泉があったので、そこでよく誰かと会って話したり」(眞栄田)

「俺らも一緒に入ったよね」(山田)

「入りました。そうやって裸で話し合えたのは良かったです」(眞栄田)

そんな絆が、見えない力を生んだ。それが、迫真のクライマックスだ。

競技本番当日、悪天候により競技が一時中止に。このまま中止が決まれば、日本は4位で終了となる。競技を再開させる条件は、25人のテストジャンパーが全員ジャンプを成功させること。もし失敗すれば、怪我を負う可能性もある。飛ぶか、飛ばないか。日本の金メダルが、25人のテストジャンパーの決断に託されるという、本作最大の山場だ。

そこで見せる俳優たちの熱演が、観客の心に感動という名の火をつける。

「あそこはもう自然にああいう雰囲気になっていました。そのシーンの撮影の頃にはキャスト25人みんな仲良くなっていたので、自然とやるぞという空気になって」(山田)

「僕は小坂菜緒ちゃんや裕貴さんの芝居に影響されたというのが大きかったですね。みんながみんなを引っ張り合って、高め合っている空気があったかなと思います」(眞栄田)

そこで全員を鼓舞するように繰り返し語られるのが、タイトルにもなっている「ヒノマル ソウル」という言葉。「魂」というキーワードは、ふたりにとっても特別なようだ。

「僕自身が魂だろっていう人間だから。魂が動くものを好きになるし、やりたいと思う。この作品はそうやって魂の部分で熱くなれた現場でしたね」(山田)

「僕も裕貴さんと同じ。本当にやりたいことや好きなことを全力でやっていたい。自分でも魂は熱い方だと思います。でも、それを自分から表に出したりはしない。内に秘めて、結果で見せてやるぞという人間です」(眞栄田)

スクリーンから、テストジャンパーたちの熱量が伝わってくるのは、演じる俳優たちの熱いソウルが漏れ出ていたからかもしれない。今年いちばん観る人の魂を熱くさせる映画が、いよいよ公開のときを迎える。

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撮影/奥田耕平、取材・文/横川良明

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