Download on the App Store ANDROID APP ON Google Play

ぴあ

いま、最高の一本に出会える

深田恭子の姿に自分自身を重ねるはず 『初めて恋をした日に読む話』は誰にとっても“青春物語”に

リアルサウンド

19/1/15(火) 6:00

 深田恭子主演の火曜ドラマ『初めて恋をした日に読む話』(TBS系)が、いよいよ今夜スタートする。本作は、隔月刊『クッキー』(集英社)で連載中の、持田あきによる同名漫画を原作としたラブコメディ。人生なにもかもうまくいかない残念アラサー女子が、気づいたらタイプの違う3人の男性から想いを寄せられるという、まさに少女漫画的展開。しかも、主人公の残念アラサー女子・春見順子を演じるのが、年齢を重ねてもキュートさを失わない深田恭子となれば、甘すぎて、もう……と、思わず斜に構えてしまったのは筆者だけではないのでは?

 しかし、先日行われた完成披露試写会で、一足先に第1話を見て、食わず嫌いをしなくてよかったと思った。もちろん少女漫画原作ドラマらしい、うれしい偶然があちこちで起こる。でも、それを「ご都合主義だ」と、目くじらを立てることがナンセンスだと思わせるほど、心をはずませるストーリー展開なのだ。

 もしかしたら、「現実はそうはいかない」などとブレーキをかけてしまう感覚は、「恋もできない大人になっちゃった」と嘆く順子のように、「ドラマを楽しめない大人になっちゃった」に近いものなのかもしれない。心がウキウキする感覚を素直に楽しむ方法を忘れてしまってはいないか、そんな気づきも教えてくれるような気がする。

 そして何より惹かれたのは、笑って泣いてキュンキュンするという王道のラブコメディという甘いクリームをまとった中に、主人公が自分自身を育て直す成長物語、というビターな部分が見え隠れする点だ。その隠し味が、大人の視聴者にとってはグッとくるものがある。

 親の引いたレールに外れることなく走ることを目標にしてきた順子。しかし、大学受験で初めての脱線を経験。「恥ずかしい」「みっともない」「子育てを失敗した」と親に見放され、どのように自分の人生を歩んで良いのかわからなくなってしまった。気づけば、一度も人をちゃんと好きになったことがない。自分のやりたいことも見つからないまま、大人になってしまったと自覚するところから物語は始まる。

 「このままときめくこともないまま、終わっちゃうのかな?」。そうした不安は、しくじった経験がある人はもちろん、引かれたレールの上を順調に進んできた人であっても、誰もがどこかで感じる不安ではないだろうか。自分の人生は一度きり。後悔しないように、と歩み進めてきても、“あのとき、こうだったら”、”もっと頑張っていたら”というのは、人生にはつきものなのだから。

 そんな順子が出会うタイプの異なる3人の男性は、それぞれ一長一短ともいえる個性の持ち主たち。もしかしたら、どの相手に惹かれるかによって、視聴者自身が求めている人生の大切なものにも気づけるかもしれない。

 順子のいとこでエリート商社マンの八雲雅志(永山絢斗)は、大きな包容力と押しの弱さが特徴的。勉強もスポーツも何もかもスマートにできるのに、なぜか恋愛には不器用。“草食男子”という言葉に代表されるように、そうした大人は少なくないように思う。鈍感な順子にはなかなか想いは伝わらないが、それでもいつだって味方でいようとする雅志。パートナーには、自分の理解者であってほしいと願う人は、雅志を応援せずにはいられない。

 そして、順子の人生を大きく動かすキーパーソンとなる由利匡平(横浜流星)。髪をピンクに染め、高級官僚の父親に反抗する無敵の16歳。九九ができれば合格できるというおバカ高校で、くすぶっていたところを順子と出会う。父親との確執を持つ匡平と、母親に対していつも不健康な笑顔を見せていた順子。お互いに似ているところもありながら、新鮮さを感じる出会い……。人生は情熱と刺激、そう考える人は由利と順子のチャレンジに心を弾ませることだろう。

 さらに、匡平の担任教師である山下一真(中村倫也)。第1話では素性は明かされないが、順子と雅志の高校時代の同級生で、さらに順子の人生で唯一告白をしてくれた男性だ。不良生徒たちを相手に、いつも冷静で悟ったような口調を披露していることから、彼自身も挫折や苦悩を乗り越えてきたように見える。自分を大きく見せず、等身大で生きることを大事にしたい人は、きっと一真の魅力に惹かれるのではないだろうか。

 それぞれが正しいと思う道を進みながらも、どこかで「これでいいのか」と自問自答する姿に、共感せずにはいられない。そんな魅力的なキャラクターたちが繰り広げる人生を取り戻す物語。自分の人生を、自分で切り開く人間に、自分自身が育てていくことができる。その成長期を青春と呼ぶならば、何歳になっても青春時代を過ごすことができるのではないか。そんな希望をもらえるようなドラマになるはずだ。(佐藤結衣)

アプリで読む