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いま、最高の一本に出会える

内田有紀が明かす、人生の楽しみ方 「頑張ってる自分も、変な自分も、全部受け入れる」

リアルサウンド

19/4/22(月) 6:00

 多様な価値観を認め合おうとする動きと、従来の働き方が混在している昨今「働くとは?」に、まっすぐに向き合う火曜ドラマ『わたし、定時で帰ります。』(TBS系)。

 4月16日の初回放送より、ネット上では多くの共感の声が多くあがった。定時で帰ってプライベートを楽しむ主人公・東山結衣(吉高由里子)の合理的な仕事観に憧れる人、不器用に仕事と向き合う皆勤賞女・三谷佳菜子(シシド・カフカ)に自らを顧みた人、物怖じしない新人社員・来栖泰斗(泉澤祐希)の真っ直ぐな意見に「良く言った!」と膝を叩いた人……個性豊かなキャラクターたちに、つい自分や身近な人を重ねて見たという人も少なくないだろう。

 そして第2話では、育休明けのワーキングママ・賤ヶ岳八重(内田有紀)が中心に描かれる。“夫が育休を取得して、妻が先に職場復帰する“というのも、10年、20年前には、なかなか見られなかった風景だ。仕事と子育てを両立に全力で奮闘する現代の夫婦像に、他人事とは思えない人も続出するのではないか。

【写真】我が家 坪倉由幸と夫婦役を演じる内田有紀

 今回、そんな賤ヶ岳八重を演じる内田有紀にインタビューを行った。魅力が増していく40代。内田の真摯な姿勢から、素敵に年齢を重ねていくヒントが見えてきた。

■「吉高さんと私、結衣と賤ヶ岳の関係性がリンクしてます」

――まずは、『わたし、定時で帰ります。』について、どのような感想を持ちましたか?

内田有紀(以下、内田):今、会社で働いている人たちが、どの様なことで悩んだり、向き合っているかがわかる作品だと思いました。私が何より魅力に感じたのは、そんな悩みの多い人たちが結衣と関ってほどけていくところです。しかも、その結衣を演じるのが吉高さんということで、イメージにぴったりだなと思って。お話をいただいたときには純粋に楽しみでした。彼女もいろんなことをハッキリと話してくれるし、吉高さんと私の関係性って、そのまま結衣と賤ヶ岳の関係性にリンクしているところもあるんです。

――内田さんから見て、賤ヶ岳八重というキャラクターはどのような印象ですか?

内田:裏表がなくて、わかりやすくて、底抜けに明るい人という印象です。演じていて、少し賤ヶ岳に引っ張られる感じはありますね、明るい方向に(笑)。ただ、まっすぐだからこそ、職場に復帰するという冒頭では、結衣もびっくりしちゃうような空回りをしてしまうんですけど。

――2話の中で、賤ヶ岳と同世代の女性として、グッときたシーンはありましたか?

内田:結衣に「先輩は何と戦ってるんですか?」と言われるところです。セリフとはいえ、“確かに、何と戦ってるんだろう“って、私自身も考えてしまいました。もちろん仕事は頑張らないとできないものだとは思うんですけど、その頑張り方に無理があったら不健康ですよね。でも、ある程度年齢を重ねると、そういうことを言われることも少なくなると思うんです。自分がまだまだ未熟だってことを、後輩から教わるって、すごく素敵な関係ですよね だからあのシーンは、結衣が真剣に賤ヶ岳を想うからこそ、言えるんだなって思うと、グッとくるものがありました。

――出産・子育てのタイミングって、どうしても最前線から退かなければならない場面もある中、賤ヶ岳がいきいきと働く姿は、世の中的にもうれしいロールモデルになるんじゃないかと思ったのですが。

内田:そうですね。やっぱり私世代の人で、どうしてもお仕事を続けられなくて専業主婦になっている方もいます。仕事か家庭かを、選ばなくてはならなかった方も少なくなかったと思うんです。「こんなふうに働いている人もいるんだ」という理解が広がることや、いざ自分たちが経験するときに「こういうふうにしたいな」と思ってもらえるドラマにしていけたらと思ってます。

――内田さん自身にも「こんなふうになりたい」と思える方は、いらっしゃいましたか?

内田:それは、もう仕事で出会う諸先輩方みなさんそうですね。素敵な方にたくさん出会ってきました。「こういうときはこう対処するのか!」って、立ち居振る舞いを見て「こういうときってどういうふうに考えていました?」って自分から聞いたりしました。芸能界だけじゃなく、友人のご両親だったり、プライベートで交流のある方からも勉強させていただきました。「失敗は成長のチャンス」とかよく言われますけど、振り返ってみるとやっぱり先人の言葉というか、経験された方の言葉ってやっぱり正しいんだなって、身にしみますよね。

――ドラマでは、結衣の行きつけのお店『上海飯店』で、ベテランのおふたりと話すシーンがありますが、あの会話にも注目ですね。

内田:そうですね。あのシーンは、ドラマの見どころのひとつだと思います。若いときは年上の方の話のありがたみを見逃しがちですよね。問題に直面しているときは、難しくて受け入れがたかったりするけど、乗り越えたときには「ああ、すごく大事なことを言ってもらってたんだ」ってわかるようになる。なので『上海飯店』にいらっしゃる戸塚さん(梶原善)と篠原さん(酒井敏也)は、素晴らしい先人たちです。ある程度、力が抜けているのもまた魅力的なんです。

――なるほど、力の抜き方ですか! 第1話では、三谷さんが視野が狭くなりすぎて迷路に入ってましたが…。

内田:そうですね。そういう経験を経て、また穏やかさとか、それぞれのリズムや歩調を掴んで、俯瞰して見られるようになってくると思うんです。世代が違う人とも調和が取れていく。だから、自分の歩いてきた道が全てだと勘違いしてはいけないと思うんです。何もわかっちゃいないんだ、自分は何者でもないんだって、思うようになりましたね。自分の固定概念は、相手にとってはいらないことなんだって。

■「いっぱい考えて、わからなくなって、やっと少し見える、でいい」

――自分がどれだけやってきたかを手放すって、難しいですよね。頑張ってきたことこそ、固執してしまうというか。内田さんは何歳くらいから、そのような心境になれたんですか?

内田:30代の後半ぐらいからですかね。同じ失敗をしたくないから、転ばぬ先の何手先も考えて動いていたんですよ。その結果、自分にも周囲にも深く求めるようになっていたというか。そうなっていることに、ハッと我に返ったときがあって。そのこだわりは自分だけにしようって思ったんですよね。みんなそれぞれの歩くペースも、ルートも違うんだから、って。それからは「1回、深呼吸しよう」って自分に言い聞かせたり、「あれもこれもしなきゃ」ってなりやすい自分を少しほどいてあげられるようになりました。

――働き方を考えるって、毎日をどう生きるかに直結しますし、自分が心地よくいられる方法を模索する作業のようにも思います。

内田:はい。私も43歳になって、「こういう感じでいいのかな」って少しは思えるようになりましたが、それでもまだまだわからないことだらけで。わからなくなって、1回手放してみたものもあるし。またそれをもう1回拾い集めてみて、なぜ自分がこれがわからなかったのかって振り返ってみることもありましたし、いつまでも手放せなくて残ってる部分もあります。でも、それを人生の中で何が残り、何を手放してきたかなどの軌跡を楽しめたら、と思うようになりました。

――そうやって楽しめたら、素敵に年齢を重ねられそうですね。でも、なかなか難易度が高いです(笑)。

内田:いっぱいいっぱい考えて、いっぱいいっぱいわからなくなって、やっと少し見えるっていう繰り返しで(笑)。正解も、辞書もないなかで、人はただひたすら生きるだけなので。だったら、もう受け入れるしかないですよ。ちょっと頑張ってる自分も、変な自分も、全部受け入れる! だから、このドラマで結衣ちゃんに、ほどいてもらってほしいんですよね。みんなの気持ちが楽になって、楽しく働く人が増えていったらいいなって思います。

(佐藤結衣)

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