「すくってごらん」の公開記念舞台挨拶が本日3月13日に東京・TOHOシネマズ 日本橋で行われ、キャストの尾上松也、百田夏菜子（ももいろクローバーZ）、柿澤勇人、石田ニコル、監督を務めた真壁幸紀が登壇した。

大谷紀子のマンガを映像化した「すくってごらん」は、プライドは高いがネガティブな銀行員・香芝誠が、左遷先で出会った金魚すくいを通じて成長していく物語。香芝を松也、ヒロイン・生駒吉乃を百田が演じ、金魚好きの謎の男・王寺昇に柿澤、香芝に思いを寄せるカフェ店員・山添明日香に石田が扮した。

松也のオファー理由について真壁は「大前提として歌ものなので歌える人、香芝はキャリアのある人物なので30代ぐらいで、主人公として華があるけどコメディ要素として香芝が少し情けなく見える人と、この要素をすべて兼ね備えているのが松也さんしかいかなった」と言い切る。真壁のコメントを受けて松也は「いやいや……でもよく考えても僕しかいないな」とジョークを飛ばして、観客を笑わせた。

イベントでは、作品タイトルにちなみ「撮影を通じてこの人に救われた」というエピソードを登壇者が紹介していく。真壁は百田が本作でピアノ演奏に初挑戦したことに触れ、「全然弾けない人がピアノを弾くというのは、想像するにとてもつらい経験」と百田の心情を思い、「年末の『ももいろ歌合戦』で百田さんの生ピアノで松也さんが歌うということがあって、素晴らしく成功したんです。でも百田さんに付いてくださったピアノの先生が、終わった瞬間に泣き崩れて。そこで初めて百田さんの苦しみが見えて、胸が苦しくなりました。百田さんが僕らに見せない努力のおかげで、素晴らしい作品になったと思います」と感謝。百田は「監督に撮影中褒めていただくことが一度もなかったので、今びっくりしていますし、うれしいです。すごく高いレベルを求めてくださるので、それに応えたいなという気持ちでいっぱいでした」と笑顔を見せた。

石田と柿澤は自身を救ってくれた人物として松也の名前を挙げる。石田は「もともと人見知りで現場に入るまで不安要素があったんです。でも松也さんが現場を盛り上げて、座長としてみんなをいい雰囲気にしてくださいました」とコメント。柿澤は「奈良の現場に入ったときに、松也が初日から『かっきー（柿澤）飲みに行こう』って誘ってくれて。そこからほぼ毎日松也の部屋に押しかけて、帰れと言われても帰らず、ずっと一緒にいました（笑）。キャスト、スタッフにも明るく、楽しい作品が作れるような座長で尊敬しています。僕たちは松也というでっかい器に救われたんじゃないかと思います」と松也に向き直り、思いを伝えた。

本作へ「初めての挑戦がたくさん詰まっています」と思い入れを見せる百田は、「どうしても後ろ向きになってしまう私を、松也さんが一番近くで応援してくれました」と述べる。「松也さんとじゃなかったら、こんなにいろんな挑戦ができなかったと思います。またお仕事でご一緒するときは、もうちょっと成長できているように私もまだまだがんばります」と頭を下げた。

共演者たちから感謝の言葉を受け取った松也は「僕が、と皆さんおっしゃってますが、思いがひとつになれるメンバーがそろったことが奇跡的。スタッフと監督、キャストの皆さんにとても恵まれました。皆さんじゃなかったら僕はやりきれなかったんじゃないかと思う」と話す。続けて「かっきーが出てくれたことで、とても心強かった。石田さんは歳下なんですが僕より堂々としてらっしゃるので安心感がありました」と述べ、百田については「どう接したらいいかなと思うときも、とてもフランクに接してくれたので助かりました。『ももいろ歌合戦』でのピアノも、本番が終わって涙を流されていたときにはグッと来まして。皆さん撮影が終わっても熱意を持って取り組んでくださる作品に携われたことは、役者冥利につきます」と周囲の支えに感謝した。

「すくってごらん」は全国で公開中。

(c)2020映画「すくってごらん」製作委員会 (c)大谷紀子／講談社