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いま、最高の一本に出会える

森崎ウィンが声優に挑戦「こんなにも知らない世界があるんだ、ということを知りました」

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19/6/4(火) 0:00

独特の線使いとその描画表現で読者を魅了し続ける漫画家『五十嵐大介』の初の長編作品を映像化した『海獣の子供』が6月7日に全国公開。自然世界への畏敬を下地に14歳の少女・琉花と、ジュゴンに育てられた2人の兄弟・”海”と”空”とのひと夏の出逢いを圧倒的な画力とミステリアスなストーリー展開によって昇華させた名作だ。 主人公・琉花役の声を芦田愛菜が演じるほか、石橋陽彩、浦上晟周、森崎ウィン、稲垣吾郎、蒼井優らが声優陣に名を連ね、音楽は久石譲、主題歌を米津玄師が歌うなど、その豪華さも見どころの一つとなっている。その中で今回はミステリアスな役柄で、物語の謎を深めるアングラード役の森崎ウィンさんに作品の見どころや、初めての声優の体験について訊いた。

アングラードの自由奔放に生きているところは僕と似ているかも

─── 映画を拝見しましたが、「生命誕生の物語」という壮大なストーリーとアニメの域を超えた美しい映像にひきこまれました。アングラード役のお話が最初にきたときはどう感じましたか?

素直に「声優ですか?」って思いました(笑) 仕事の話を頂く時は大体いつもそうなんですが、東宝さんが一押ししていくアニメ映画に自分が携われる喜びはあるんですけど、「ちゃんと応えられるのかな?」というのを先に考えてしまう癖があって。今回初めての声優の経験ということもあり、「これはそんなに簡単に出来ることはではないな」と不安が大きかったです。

─── 今回初めて声優に挑戦したということですが、最初に台本を頂いた時はどうでしたか?

アフレコの台本を初めて頂いたんですが、上に情景が書いてあって、下に台詞が書いてあるんですけど、まずその台本に驚きました。普通に読む情報がト書きみたいに上にあるんですよ。それがアニメの絵を文面で説明してくれているところで、「どう読んだらいいのかな?」というところから入りました。上を見てから「この絵の中で言ってるセリフは」と、次は下を見て「あぁ、なるほど」と言いながら、それを2~3回ループしましたね。アングラードはミステリアスな役なので、いわば『おいしい役』でもあるわけじゃないですか。答えが1つじゃないからこそ、「どう入っていけばいいのかな?」って、「この作品の中での役割はなんだろう?」って読解から入りました。

─── ストーリーはいかがでしたか?

すごく壮大過ぎて、正直難しかったです(笑)。 難しかったんですけどその中で、「あぁだろうな?」「こうだろうな?」って考えて、「いや、この答えでもないし」って何度もなって(笑)。 この映画は『生命』や『自然』がすごく大事なんですが、その中にもちゃんとしたヒューマンドラマがあって、自然との向き合い方っていうものを純粋に感じましたね。この台本は自然の中で読みたいなって思いました。

─── 自然というワードが出たんですけど、ミャンマーも自然豊かな土地ですね。今回の作品に役立つ体験はありますか?

そうですね。僕が住んでいた地域は都会に近くて、ほぼほぼ都会なんですけど、ちょっと離れると緑に囲まれた世界がすぐ近くにあるんですよ。ミャンマーは寺院も多いので、寺院に行くと緑に囲まれるんです。中学2年生の時、スカウトされる前に1回出家というか、修行するためにミャンマーに帰ったんですが、その時は完全に自然の中でしたね。裸足で歩いていましたし。痛かったです(笑)

─── 修行ですか?

我が家の家系は仏教なので、男子はみんな修行をやるみたいなのがあって。普段自然との間に一つ挟んでいるものがあるような気がしているんですが、その時は本当に生で自然と対峙しました。近くにあるとは言え、自然と繋がることって意外に難しかったんだなっていうのを感じました。

─── アングラードとリンクするところはありますか?

アングラードは謎めいていて、セリフ一つひとつに「どういうことなんだろう?」って、正直演じている僕がすごく考えされましたね。アングラードとの接点は、「『自由奔放』に生きているな」っていうのを彼の動作や所作で感じたので、そこは僕ともリンクするのかなと思いました。

─── 今回の声優の経験は今後の活動に活かせそうですか?

正直、声優を簡単にやるのは辞めようと思いました(笑) いやー、本当に難しくって。声優さんってすごいんだなって、本当に身を持って実感しました。今回の経験で純粋に思うのが、人って呼吸をすると服の上からでもお腹の部分がちょっと動いたりして、そういうものを含めて『生』っていうのを感じられるじゃないですか。当たり前かもしれないですけど、アニメの映像にはそういう『生』の動きが無いんですよ。声優さんはそういうところまで息を吹き込んでいて感動しました。僕は最初アングラードにどう『生』を吹き込んでいいのか分からなくて。改めて声優さんのすごさが分かったというか。そういう意味では、大きな影響を与えてくれたと思います。

─── 共演者の方々が芦田愛菜さんほか、若く実力のある方から大御所まで豊かですね。作品を通して、皆さんの演技をご覧になられて影響を受けたことはありましたか?

アフレコも別撮りだったので、実は皆さんとまだお会いしていないんですが、ジム役の田中泯さんとたまたま同じ日だったので、「ジムとのシーンを2人でやっちゃいますか!」って盛り上がりながら一緒に収録させていただきました。経験豊富な大先輩と一緒に収録させていただくと、「こういう間の取り方をするんだ」とか、「こういう風に言葉を置きにいくんだ」というのを間近に見られて、改めて言葉の大切さを学ばせて頂きました。

─── 完成した作品を観ていかがでしたか?

一言でいうと、本当に壮大でした。アニメ作品で画面の中に奥行きをこんなに感じたのは初めてだなっていうくらい、映像の壮大さや空間を感じました。内容も見ている者に対して押し付けないからこそ、想像力が脳に働きかけてきて、それをリアルタイムで感じながら観れた作品でした。

─── 音楽も久石譲さんが作曲されていますし、主題歌を米津玄師さんですね

そうなんです! 久石譲さんの音楽は作品の壮大さがすごく出ていて、あのダイナミックな映像をさらに立体化させていますし、米津さんの曲は、本当にいい意味で簡単には分からせてくれない(笑) あれはアートですよ。本当にすごかったです。

─── ウィンさんも同じアーティストとして活躍されていますが、お二人の音楽は今後の活動に影響を与えましたか?

いやー、簡単に解読できない。読解という言い方をしていいのかわかりませんが、音符が呪文に感じるような楽曲だなって思いました。色んな音楽を聞かせて頂く機会も多くて、作品に合わせて曲を作るというのが僕にとって難しい部分の一つでもあるんですけど、「どうやったらああいう感覚って生まれるんだろう?」っていうことに着目してしまうというか、それくらい素晴らしいお二人なんだなって思います。言葉にしたら簡単なんですけど、それを感じましたね。5年後にもう一回観て、10年後にまた観ると、見え方ってどんどん変わっていく作品だと思うからこそ、その時々にこの音楽の聞こえないところがやっと聞こえてくるんじゃないかなって、それくらい深い音楽だと思いました。

─── この作品のキャッチコピーは「一番大切な約束は言葉では交わさない」ですが、ウィンさんは大切な人にどのように気持ちを伝えますか?

パッと思い浮かぶのって、母親だったり祖母だったりするんですけど、それは国境を越えて離れているからこそ「何かしてあげられないのかな?」ということは常に考えるようにはして。この言葉はすごく好きで、これがたぶん最大のゴールだったりするんですけど、そこにたどり着くまでには、かなり難しいし簡単には辿りつかないと思いますね。言葉を交わさなくても感じあえるのって相当難しいから、それに至るまでにはたまには確認し合う必要があるし、僕は常に言うようにはなってきたのかなって思いますね。

─── 確かにお互いの関係性であったり、価値観が分かり合えないと難しいですよね

マッチしてないと中々伝わらないものなんですよね、思いって。作品でもくじらの鳴き声の意味が分からないからこそ、海の中で「何を言ってるんだろう?」ということに思いを馳せますし、その抽象性にそれぞれの想いを持たせることが出来る。もちろんくじらは伝えているんですけど、それを100%理解してしまったら逆に「人間ってどう感じるんだろう?」って僕は思うんですよね。そういう意味では言葉で押し付けないっていうことでも言える。やっぱり捉え方がいっぱいあるな。難しいです。

─── 今回の作品で特に皆さんに見て欲しいシーンや見どころを教えてください。

祭りのところの画の壮大感とか沢山あるんですが、一番「うわっ」ってゾクッとしたのが、最初の方のくじらがマンハッタンの海からボーンって出てくるシーンです。なぜか分からないけど『ぞわっ』ってするんですよね。それを劇場の大画面で見たらどう感じるんだろうって。VRとかでやったらいいのにって思うくらい中に入り込める作品だから、あのダイナミックさや壮大感をVRで観たらどう感じるだろうと思うくらいダイナミックです。そのシーンはぜひ劇場で味わって欲しいなって思いますね。

─── 最後にこの映画が気になっている皆さんに一言お願いします

この作品はとにかく見ないと分からないし、見ても無理に答えを求めようとしなくてもいいかなって僕は思っていて。だから「こういう時に見てください」、「こういう時に聞いてください」ということを逆に押し付けたくなくて、でも見ないと「自分の知らない世界ってこんなにもあるんだよ」っていうのが分からない作品だと思います。それこそ、渡辺監督が取材の時に仰っていたのですが、「『自分の中にまだ分からないことがあったんだ』ということが分かる作品の一つ」じゃないかなというのを、そのままのお言葉をお借りして。見たこともない、感じたこともない世界が6月7日から劇場で待ってるよというのを皆さんには知って欲しいと思います。劇場でお待ちしています。

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応募の方法はこちら

『海獣の子供』
6月7日(金)全国ロードショー
配給:東宝映像事業部
ⓒ2019 五十嵐大介・小学館/「海獣の子供」製作委員会

撮影/高橋那月、取材・文/若村幸江、企画・構成/藤坂美樹

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