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森七菜、『エール』でさらなるブレイク? 吉岡里帆、松本穂香の「朝ドラ」丸メガネ枠を継ぐ

リアルサウンド

20/6/30(火) 6:00

 メガネっ娘が、実は美少女だったというのは往々にして漫画の世界での幻想に終わりがちだが、メガネをかけても外しても美少女で、なおかつ魅力的な演技を披露し、成功へと繋げた女優たちがいる。NHK連続テレビ小説、通称「朝ドラ」では、主人公やヒロインはもちろんのこと、幼なじみ、同僚、家族、その友達などなど、脇を支えるキャラクターたちにも注目が集まる。結果、そこからブレイクした俳優は多い。『あさが来た』の吉岡里帆、『ひよっこ』の松本穂香もそのひとりであり、丸メガネっ娘キャラという共通点があった。そして今期の『エール』には、森七菜演じる丸メガネっ娘が登場している。

【写真】初代丸メガネっ娘の吉岡里帆

 2015年下半期に第93作として放送された『あさが来た』は、女性起業家のパイオニアである、実業家で教育者の広岡浅子をモデルにした物語。京都の豪商に生まれた主人公のあさを、波瑠が演じた。吉岡里帆は、あさと白岡新次郎(玉木宏)夫婦の長女・千代(小芝風花)が京都の女学校へ編入した際に寮で同室となり、親友となる女生徒の“のぶちゃん”こと、田村宜役で登場。不愛想だが非常に勉強熱心で、あさを尊敬し、「男子に頼らない新しい女子の生き方」を熱く語るひたむきな姿に惹かれる人が続出した。

 1993年生まれ、京都出身の吉岡は、2013年より女優としての活動を開始。映画『幕が上がる』『明烏』(ともに2015年)などに出演し、『あさが来た』ではヒロインオーディションの最終選考で落選したものの、宜役をゲットした。ひたむきさだけでなく、コミカルさも見せた“のぶちゃん”が一躍、人気のキャラクターとなったのも、吉岡の上手さがあったからだ。

 その後の活躍は知る通り。ドラマ『ゆとりですがなにか』(日本テレビ系)、『カルテッド』(TBS系)、初主演を飾った『きみが心に棲みついた』(TBS系)、『健康で文化的な最低限度の生活』(カンテレ・フジテレビ系)、人気シリーズに途中参戦した『時効警察はじめました』(テレビ朝日系)や、映画『音量を上げろタコ!なに歌ってんのか全然わかんねぇんだよ!!』(2018年)、『パラレルワールド・ラブストーリー』(2019年)、視覚障害者の元警察官のヒロインを熱演した主演作『見えない目撃者』(2019年)と、評価を高め続けている。現在27歳。大人の女優としての色気も漂わせ始めた吉岡。これから先は映画『泣く子はいねぇが(仮)』(秋公開予定)、『島守の塔』(2021年夏公開予定)が控える。

 松本穂香出演の『ひよっこ』は、2017年上半期に放送された第96作。有村架純演じる茨城県の米農家出身のヒロイン・谷田部みね子が、消息不明となった父(沢村一樹)を探して、集団就職で上京し、さまざまな試練を乗り越え成長していく姿を描いて、人気を博し、全4話のスペシャルドラマ『ひよっこ2』も放送された。松本は、みね子が就職した東京の向島電機の女子寮「乙女寮」で同室となる、同期の“すみちゃん”こと青天目澄子を好演。おかっぱ頭に丸メガネ、食いしん坊でマイペースな、ちょっと不思議ちゃんの入った愛されキャラを生み出した。

 1997年生まれ、大阪出身の松本の連続ドラマ初出演は、『いつかこの恋を思い出してきっと泣いてしまう』(フジテレビ系)。ここでも有村と共演していた。『ひよっこ』で注目を浴びて以降は、ドラマ『この世界の片隅に』(TBS系)で主人公のすず役を勝ち取ったことが大きな話題に。劇場用アニメ版のファンも多い作品だが、実写版としてのすずを見事に演じきった。昨年から『おいしい家族』『わたしは光をにぎっている』『酔うと化け物になる父がつらい』と主演映画が続き、今後も主演2作『君が世界のはじまり』『みをつくし料理帖』が控えている。まだ20代前半(23)と若いが、どこか他にないノスタルジックな空気をまとった女優であり、今後も期待される。

 吉岡、松本と活躍中のふたりが飛躍するきっかけとなった、朝ドラの丸メガネっ娘キャラ。第102作となる今期『エール』にも、丸メガネっ娘キャラが登場した。作曲家・古関裕而と、歌手としても活躍した妻・金子をモデルに、主人公・古山裕一を窪田正孝、ヒロイン・音を二階堂ふみが演じる本作での音の妹、関内梅だ。子供のころから文学が大好きで、小説家になることを夢見ている梅を、森七菜が演じている。

 2001年生まれ、大分県出身の森は、今年の8月に19歳になるところ。2016年に芸能活動を開始し、翌年には園子温監督によるドラマ『東京ヴァンパイアホテル』(Amazonプライム・ビデオ)、映画『心が叫びたかがってるんだ。』、ドラマ『先に生まれただけの僕』(日本テレビ系)と、立て続けにオーディションを勝ち抜き出演を決めていった。昨年公開の新海誠によるアニメーション映画『天気の子』のヒロイン役、今年公開の岩井俊二監督作『ラストレター』出演もオーディションで掴んだ。『ラストレター』では主題歌も担当し、歌手としてもメジャーデビューを飾っている。また現在、10代らしいまっすぐでさわやかな顔を見せている「オロナミンC」のCMも好評だ。

 NHK作品としては『やけに弁の立つ弁護士が学校でほえる』『少年寅次郎』に出演。『エール』が3作目となった。末っ子ながら、次女の音や長女・吟(松井玲奈)と比べ、きっちりしっかりしている梅は、吉岡や松本が演じた丸メガネっ娘よりは、強い個性を出しづらい役柄かもしれないが、真面目ゆえの面白みもある。久々の登場となった、第57回「父、帰る 後編」では、父・安隆(光石研)があの世から1泊2日で帰ってくるファンタジーなストーリーが展開。驚かせようとした父に、「お父さんでしょ。幽霊なんて文学じゃあふれとるよ」と冷静に受け入れた。そして父に現在の悩みを吐露し、弾ける笑顔を見せた。

 今後は、映画『青くて痛くて脆い』『461個のおべんとう』、主演映画『ライアー×ライアー』(松村北斗とのダブル主演)と3本の待機作があり、『エール』からさらに加速していくに違いない。「今度は朝ドラヒロインを演じる七菜ちゃんが見たい」といった声も出ている森。まだまだ原石といった印象が強いものの、端々に見せる煌めきが、大輪の花を咲かせる可能性を感じさせる。またしても丸メガネっ娘から飛躍する女優が出そうだ。

(望月ふみ)

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