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布袋寅泰、40年の軌跡を辿るドキュメンタリー映画
本人への直撃インタビューも!

『Still Dreamin’ ―布袋寅泰 情熱と栄光のギタリズム―』特集

アーティスト活動40周年を迎える2022年、オリジナルアルバム『Still Dreamin’』をリリースし、さらに自身のギタリスト人生の軌跡を追ったドキュメンタリー映画『Still Dreamin’ ―布袋寅泰 情熱と栄光のギタリズム―』が公開される布袋寅泰。これまでの貴重な映像の数々や証言が収められただけでなく、2020年以降のコロナ禍におけるリアルタイムの苦悩や葛藤まで、まさに“過去”と“現在”が交錯する作品となった本作について、布袋自身にたっぷりと語ってもらった。

布袋さんからぴあアプリをご覧の皆さんにメッセージが!

布袋寅泰が抱く夢への道のり「死ぬまでチャレンジして、自分がワクワクできる扉を開け続ける」

昨年アーティスト活動40周年を迎え、2022年2月1日にオリジナルアルバム『Still Dreamin’』をリリースし、さらに自身のギタリスト人生の軌跡を追ったドキュメンタリー映画『Still Dreamin’ ―布袋寅泰 情熱と栄光のギタリズム―』が公開される布袋寅泰。これまでの貴重な映像の数々や証言が収められただけでなく、2020年以降のコロナ禍におけるリアルタイムの苦悩や葛藤まで、まさに“過去”と“現在”が交錯する作品となった本作について、布袋自身にたっぷりと語ってもらった。

自分の40年の道のりが
ひとつのストーリーになったのは感慨深い

── そもそも、この映画の製作はどういう経緯から始まったのですか?

布袋 アーティスト活動40周年ということで企画をしたのですが、BOØWYの頃からのファンも若いファンにも楽しんでもらえたら、と考えていた。もちろん、僕もどんな映画になるのか見てみたかったんです。自分が歩んできた道を振り返るのはもちろんだけれど、一方で輝かしいことばかりを描くのは、どうかと思っていた。そんなときに石田(雄介)監督にお会いして、誠実な人柄に触れ、この人ならば委ねられる……と思ったのがスタートでした。

── 石田監督とはどんなコラボレーションをされたのですか?

布袋 企画が立ちあがってから、すぐに監督から脚本が届きました。僕のアルバム『GUITARHYTHMⅡ』は時空を超えた旅ということをテーマにしているんだけど、監督はそこが新鮮に響いたようで、「今の布袋さんと、昔の布袋さんが交錯する映画にしたい」と。そのときは正直、頭の中でイメージできなかったんだけれど、僕の昔の映像を見てもらって、話し合いながら、その案を詰めたんですよ。

それと、ドキュメンタリーだから、コロナ禍の現在を視野に入れた作品にしたかった。元々は40周年を記念した日本武道館公演の模様をエンディングにしようと思っていた。満員の武道館で、皆で盛り上がっている風景ですね。それがコロナ禍による無観客公演になってしまい、エンディングが決まらず、製作が延びていったのですが、そういう予期せぬ展開も、この映画のリアリティですね。

── 映画ではその後のパラリンピック開会式なども描かれていますが、当初の予定ではそれ以前で終わる予定だったんですね?

布袋 そうです。パラリンピックの出演に関しては厳しい守秘義務があり、出演することを監督にも言えなかった。その翌々日にこの映画のためのインタビューを受けたんだけど、そういうリアルな時間の流れが、この映画に封じ込められているし、コロナ禍でのドキュメンタリーらしい部分だと思います。

結末は当初の予定とは違ったけれど、僕が創造していた以上に面白い映画になった。自分の40年の道のりが、コロナ禍も含めて、こうやってひとつのストーリーになったのは感慨深かったですね。今もオミクロンの感染が広がっているし、公開当日さえ自由な空気かどうかは分からない。それでも、コロナ禍でただ踏みとどまるのではなく、模索をしながら乗り越えた。そういう僕らの戦いも、この映画には記録されています。

ギターを持てば“ギタリスト”になれるけど
“ロックスター”にはなかなかなれない

── 先ほど布袋さんがおっしゃられたように、この映画は“時空を超える”というファンタジーのようなアイデアが音楽ドキュメンタリーとして独特であり、見どころだと思いますが、それについてはどうお考えですか?

布袋 僕の体験をただ追体験するのではなく、同世代の観客には「湾岸戦争や2000年問題の頃に、自分はなにをしていたっけ?」と考えさせるし、「昔の布袋は、ヤンチャでかわいいな」なんて見方もできる(笑)。観る人それぞれが自分の人生と重ねて、この映画を味わうことができると思うんですよね。

また、僕のことを知らず、パラリンピックなどで興味を持ってくれたり、お父さんやお母さんがBOØWYを好きだったという若い世代には、解散した後にビートルズを知った僕ら世代のような、また違った目線で見てもらうことができると思います。

── 映画ではアーティスト、ギタリストとしての布袋さんの魅力が伝わってくるとともに、ロックスターとしての風格を感じました。そのような意識はあるのでしょうか?

布袋 やっぱり1970年代の前半、10代の頃に聴いたブリティッシュロックに影響されてギターを始めたので、レッド・ツェッペリンにしてもディープ・パーブルにしてもギタリストが花形でしたからね。日本では、ちょっと後の時期になるけれど、Charさんかなあ。テレビに出演して、イントロやギターソロなど、生々しいロックンロールを演奏していた、それを体験した世代なので、やっぱりロックは華がないといけない……ということは当たり前のように感じていました。

いちギタリストとしては渋いブルースも好きだし、けれん味ばかりではないものも好きだけれど、たまたま僕はBOØWYを結成し、氷室京介という僕を光らせてくれるボーカリストの横でギターを弾くことで、僕のスタイルが生まれたと思います。ロックスターと呼ばれるのは照れ臭いけれど、やっぱり嬉しいですよ。“ギタリスト”にはギターを持てば誰でもなれるけれど、“ロックスター”にはなかなかなれないからね。

憧れだったボウイやストーンズとの共演
その知られざるエピソード

── 布袋さんの憧れでもあったデヴィッド・ボウイとは、1996年の日本武道館公演で共演されています。これは映画の中で、叶えた夢のひとつとして語られていますが、このときのことで他に思い出に残っていることはありますか?

布袋 『すべての若き野郎ども』という曲を一緒にやらせてもらったんだけれど、実はあの日、ボウイからは「もう1曲やろう」と言われてたんです。「『ヒーローズ』をやらないか?」と。でも、さすがにそれはお断りしたんですよ。彼にとって特別な曲だし、僕自身デヴィッド・ボウイのファンとして大切な曲だし、僕ごときが『ヒーローズ』をやってはいけない……と考えたんですよね。

もちろん『すべての若き野郎ども』も素晴らしい曲ですが、元々はボウイがモット・ザ・フープルに提供したものだから。でも今思うと、『ヒーローズ』もやっとけばよかったかなあ(笑)。

── 2014年の東京ドームでのローリング・ストーンズ公演での共演も、実現した夢として語られていますが、このときはどうでしょう?

布袋 サウンドチェックは一度だけで、キース・リチャーズのアンプのボリュームがどれほどのものかも予想がつかない、そんな状況でステージに上がって。キースよりも大きい音を出すわけにはいかないし、そんな緊張感を覚えながらも、とにかくゲストとして紹介されたからには物怖じしていても失礼だし、かといって我が物顔でギターを弾く気はまったくなかった。セッションの極意は長年の経験で知っていますから。相手を楽しませて、もちろんオーディエンスも楽しませる。そんな気持ちでしたね。

ストーンズがすごく喜んでくれたのは、僕には有難かった。映画の中に、ギターソロの後にミック・ジャガーが僕のジャケットを、ちょっと触る場面があります。打ち合わせはなかったけれど、これはミックが“こっちに来い”と言ってるな……と思い、僕は咄嗟にミックのマイクスタンドの方に向かっていった。この場面、小さな映像で観るとピンとこないけれど、映画のサイズで見ると、生々しく見えます。「あ、あそこでミック、今俺を誘ったよね!?」というような(笑)。これは映画ならではの醍醐味ですね。

── 昨年亡くなられたストーンズのドラマー、チャーリー・ワッツさんには、どんな思い出がありますか?

布袋 パラリンピックの開会式の日に亡くなられたんだよね。チャーリーさんは本当にジェントルマンで、リハーサルの際に楽屋からステージに上がっていく姿を、僕は後ろからずっと見ていたけれど、ドラムセットの前に座ってアンティーク時計をまず外し、コートをかけて、きれいな革靴を脱いでスニーカーに履き替え、こっちを見てウィンクをして、演奏を始める。一連の所作がとても紳士的なんですよ。チャーリーさんに限らず、ストーンズは皆、ジェントルマンでした。昔の悪ガキが、今は世界最高のジェントルマンであるというのが、たまらなくカッコいいですよね。

ロックは若き魂の叫びから始まったものだけれど、70代になった彼らが今も力強く、優しくロックを鳴らしている姿は、たまらなくかっこいい。自分も60歳になるけれど、ストーンズや矢沢(永吉)さんに比べれば若造。とはいえ、デヴィッド・ボウイが69歳で亡くなったことを思えば、“Still Dreamin’”がこの先40年続くとも思えない。そういういろいろな感情、そして感慨を整理する節目として、コロナ禍という想定外のことがあったとしても、この映画を作ってよかったなと思います。

人を受け入れる優しさや強さがある
そういう人が、美しいし、かっこいい

── 現在の布袋さんの活動をこの映画では観ることができますが、SNSを使った発信もそのひとつです。その部分で気を配られているのは、どんなことでしょう?

布袋 英国に住んでいるので、日本の感覚とはちょっと違う部分がある。向こうでは当たり前のことがこっちでは当たり前ではなかったりするし、そこは気をつけています。ただでさえコロナ禍で時代はネガティブな方向に流れているし、より気を配らないといけない。

本当はもっと自由に発信して、イエスであったりノーであったりの返答を受けるのが理想だけれど、ここまで時代が複雑になってくると、そうはいかないですよね。ネガティブなことを言われ、それが拡散されて、実際には少ない意見なのに、多数の意見のようになったり。「ノー」の声だけが大きく聞こえても、実際には「イエス」の声の方が多いこともありますから。

パラリンピックの開会式のときはコロナ禍も広がってたから、それどころではないという気持ちも分かるし、僕自身もやるべきか迷いました。それでもアスリートたちの挑戦に、“いいものを見ることができた”と思うんです。「ノー」と言いながらも、そこには「イエス」の部分もある、ということに気づけたと言うか。その両方がひとりの人間の中にあっていい。

ともかく、SNSには積極的な気持ちはあるにしても、注意深く接するようにしています。こういうインタビューにしてもそうですが、自分が自分の作品のことを伝えるうえで、言葉を選ぶのは当たり前ですからね。

── BOØWYの曲『Dreamin’』の一節に、“言葉に棘もない”人への批判がありましたが、そこから遠くに来た感がありますね。

布袋 もう60ですからね(苦笑)。昔と同じことを言ってもかっこよくないでしょう。

「布袋には尖っていてほしい」という昔からのファンの声をSNSで聞くこともあるけれど、今の僕は今の僕で、角が全部取れてツルツルになってるわけではない。そういう角は、言葉や態度に出さないだけであって、物を作ったり、ステージに立ったりしたときに表われる。それはギタリストとして、絶対に忘れちゃいけないことだと思っているからね。

ストーンズもそうだし、僕の好きな先輩のアーティストは皆、人を受け入れる優しさや強さがある。そういう人が、やっぱり美しいし、かっこいい。自分もそうなりたいと思うし、続けていきたい。コロナ禍でライブ活動は停滞を余儀なくされたけれど、落ち着いたら、また夢に向かって動き出します。

── 最後に、まさにその、“Still Dreamin’”、これから先、どんな夢を追うのかを教えてください。

布袋 グラミー賞を獲ったりすることではない(笑)。いや、そう言っちゃうと本当に獲れなくなるから言っちゃいけないんだけど(笑)、そういう“結果”ではなく、死ぬまで何かにチャレンジして、自分がワクワクできる扉を開け続けること。そこに予期せぬ素晴らしい出会いがあり、予期せぬ素晴らしい結果を生んできたことを今まで経験してきましたから、これからもそういうことに積極的でありたい。臆せず、冒険心を忘れず、進んでいきたいですね。

『Still Dreamin’ ―布袋寅泰 情熱と栄光のギタリズム―』
2月4日(金) <2週間限定>全国ロードショー

布袋寅泰20th Album『Still Dreamin’』

発売中

・初回生産限定60th Celebration Edition
【3CD+60Pフォトブックレット+グッズ】(3面デジパック+スリーブケース仕様)
6,600円(税込)


・通常盤
3,300円(税込)
※<初回生産限定60th Celebration Edition>と<通常盤>初回プレス分には、応募抽選特典企画シリアルナンバーを封入。

「HOTEI the LIVE 2022 “Still Dreamin’ Tour”」の開催が決定。
5月7日(土)群馬・高崎芸術劇場よりスタート。
https://jp.hotei.com

取材・文:相馬学 撮影:源賀津己
©2022「Still Dreamin'」製作委員会

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