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Novelbright「Walking with you」チャート急上昇中の理由 TikTokから伝播するバイラルの波

リアルサウンド

19/10/3(木) 7:00

 ヒットするには“仕掛け”が必要というのは今やアメリカの音楽業界の常識となりつつあります。特に、インターネット上での視聴回数がチャート結果に大きく反映されるため、客演ありのバージョンを追加投入することでオリジナル版のポイントを加算するなどの施策を施した曲はチャートを上昇する傾向にあります。リル・ナズ・X「Old Town Road」がベテランカントリー歌手のビリー・レイ・サイラスを客演に迎えたことで米ビルボードソングスチャート19週連続1位を獲得、最長首位記録を塗り替えたことも記憶に新しいでしょう。しかし、「Old Town Road」に関しては客演版が登場する前からヒットしていて、そもそもこの曲に火が付いたきっかけはスマートフォンアプリTikTokでの流行。カントリーテイストの楽曲に合わせてカウボーイになりきり踊る“チャレンジ”と呼ばれる動画(#YeeHawChallenge)が多数投稿されチャートに登場しました。TikTokの流行から火が付いた例ではリゾ「Truth Hurts」も同様で、歌詞を引用するチャレンジ(#DNATestChallenge)を機にチャートを上昇し、後に客演ありバージョン等の追加投入という仕掛けによってチャートを制覇、現在まで4週連続首位をキープしています。TikTok はアメリカにおいて、ヒット曲を仕掛ける以前にそもそも何がヒットするのかを予見出来る新たなツールと言えるかもしれません。

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 日本でもTikTokをきっかけとしたヒットが徐々に登場。たとえば、元々韓国で火が付き日本でもこの夏投稿が目立った“2週間で10キロ痩せるダンス”に使われたFitz And The Tantrums「HandClap」は、MV再生等に飛び火してビルボードジャパンソングスチャートで最高20位まで上昇しています。そしてこの度、TikTok発の新たなヒットの兆しが。それが大阪発の5人組バンド、Novelbrightによる「Walking with you」。

 Novelbrightが仙台駅前で行った路上アコースティックライブでこの曲を披露した動画がTikTokで拡散、10月2日段階で8万8千以上のいいねを獲得したのみならず、この動画を引用したツイートには4万8千ものリツイートおよび20万を超えるいいねが寄せられているのです。Novelbrightのボーカルを担当する竹中雄大はそのツイートを引用し、“史上最大バズ”と記載しています。

 冒頭から伸びやかで力強い地声と美しいファルセットが飛び出すインパクトも相俟ってTikTokで支持を集めると、アプリを超えてストリーミングに伝播。昨年リリースされた1stミニアルバム、『SKYWALK』のオープニングを飾る「Walking with you」がSpotifyバイラルチャートでトップ5入りしたほか、9月4日に発売された2ndミニアルバム『「EN.」』(“アンピリオド”と読む)の最後を飾る「拝啓、親愛なる君へ」もトップ10入り。同チャートでは現在、50位以内に4曲もランクインしています。

 興味深いのは、「Walking with you」の動画が竹中自身の公式TikTokアカウントから発信されていること。バンド側が自らきっかけを作ったという点は、「Old Town Road」等における沢山の参加者によるチャレンジとは異なりますが、仮にバンド側が動画を用意せずとも偶然路上ライブを観た人が感銘を受けて投稿し、結果的に拡散したのではないでしょうか。それだけその声は魅力的であり、路上もSNSも関係なく人々を魅了していく様子は先日紹介したTones And Iを彷彿とさせます。

 竹中のTikTokアカウントにはチャレンジ的な動画も掲載。Official髭男dism「宿命」のカバーがそれで、10万近くのいいねを集めています。口笛世界大会で二度優勝した自慢の口笛を披露し、さらにヒゲダンのボーカル・藤原聡に似せた歌声が喝采を浴びています。

 路上ライブとこの「宿命」動画の影響からか、竹中のTwitterアカウントのフォロワーが1日5千人以上増加する日も。Spotify等ストリーミングの再生回数が上昇し、今週水曜に発表された10月7日付のビルボードジャパン各種チャートにおいて、ストリーミングソングスチャートでは登場3週目にして23位へ、そしてソングスチャート(Hot100)では前週82位に初登場を果たすと今週は63位に上昇しています。

 ビルボードジャパンのソングスチャートはシングルCDセールスやストリーミング等、8つの指標を合算したもの。TikTokのムーブメントがストリーミング主体に伸び、遂には複合指標で構成されるソングスチャートにランクインするその流れは、アメリカと同種の動きが日本でも生まれていることを表しています。「Walking with you」をはじめとするNovelbrightの作品がどこまで伸びるか注目すると共に、TikTok発のヒット曲が今後も生まれるだろうことが楽しみでなりません。(Kei)

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