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SuchmosやSIRUPらに続く? 関西新鋭バンド magenta blue、ネクストブレイクの予感

リアルサウンド

19/8/30(金) 18:00

  Suchmosが2016年に発表した「STAY TUNE」以降、ブラックミュージックをベースにしたアーバンなサウンドを愛好する音楽リスナーが増加したように感じる。もちろん、ジャンルとしてのR&Bは日本のヒットソングにもたくさんあるし、昔からブラックミュージックを愛好していた人が多数いたことも間違いない。ただ、今まではそういうジャンルを避けていたとか聴いてこなかった人でも、オシャレなテイストの横揺れサウンドに親しみを持って接するようになった。

 冒頭に述べたSuchmosは、最新アルバム『THE ANYMAL』でサウンドの変化を見せたが、横揺れ系のサウンドで魅了するアーティストの活躍はより顕著になってきている。Suchmosのブレイクとリンクする2016年頃から活躍しているNulbarichや雨のパレードはもちろんのこと、最近だと SIRUPや向井太一などもシーンで存在感を示すようになってきている。『SUMMER SONIC』や『ROCK IN JAPAN FESTIVAL』のような数万人単位の集客を誇る音楽フェスでも、上記のアーティストは多数の観客を動員している。

 もちろん、上記で紹介したアーティストを“オシャレ系”や“アーバンミュージック”という言葉でひと括りするのは乱暴な話だし、各アーティストの作品の特徴やライブパフォーマンスを細かく見ていけば、それぞれ違う魅力を持っている。ただ、ここで指摘しておきたいのは、リスナー側の音楽の楽しみ方が変化してきたということである。

 少なくとも、音楽フェスにおいては縦にジャンプして盛り上がったり、みんなで一緒に動くことを強いる音楽だったり、サビで感情を爆発させてエモーショナルに盛り上がる音楽が多かったなかで、それとは違う形で魅了させるタイプのアーティストが広く受け入れられ、そういうタイプのアーティストがライブでも集客できるようになった。音楽が生み出すグルーヴに身を任せて、揺れるようにサウンドに陶酔していくような楽しみ方がマイノリティーではなくなったということだ。そういう土壌が肥えたからこそ、King Gnuは大ブレイクを果たすきっかけを掴んだのだろうし、SIRUPや向井太一などが躍進しているのだろう。

 だからこそ、考えることがある。では、次にそういったシーンの土壌で頭角を現し、日本の音楽シーンに新たな風を吹かせるのだろうか。その疑問に対するひとつの回答として、この記事では、magenta blue(マジェンタ・ブルー)というバンドの名前を挙げてみたい。

magenta blue 「Misery」 Music Video

 というのも、先日、大阪のなんばHatchで開催された「音都 ON TO vol.5」というイベントに足を運んだとき、magenta blueのライブを観ていると「おっ!」と感じたのだ。オシャレなギターサウンドと、揺れを誘発させるリズムの打ち方。80年代〜90年代のR&Bをベースにしたうえで、ロックやファンク、ブルースを匠みに取り込んだサウンド。ボーカルの声はそんなサウンドと見事に調和していて、色気がありビジュアルや佇まいも独特の雰囲気を醸し出している。ブルーの照明で彩られたステージで、クールにパフォーマンスをする様子は、冒頭で述べたアーバンな世界観と通底するものを感じた。

 この手の魅せ方をするバンドは、一体感重視のパフォーマンスやエモーショナルで押し通すタイプのバンドとは違い、確かな技術力が求められる。というよりも、演奏で生み出すグルーヴで引き込まれなかったら、表層的なサウンドの心地よさしか感じることができず、結果、ライブの印象も薄いものになりがちである。ボーカルにも同じことが言えて、細かなフシ回しやリズムに対するアプローチなど、そういう細かな技術がライブの良さに直結される。

 そういった観点でみたとき、magenta blueのライブは、エモーショナルなボーカルや軽やかなギターのカッティング、ドラムのグルーヴの調和がひとつの波を作り、その波に身を任せることで音楽の気持ち良さに酔いしれてしまう。そんな心地よさがライブの真ん中にあるように感じた。実際、MCが終わったあとに披露された「Misery」は、イントロのギターから夏を感じさせる印象的な楽曲で、気がついたら、バンドが紡ぐグルーヴに合わせて、横揺れで音楽を楽しんでいる自分がいた。

 実際、magenta blueの作り出すリズムの波に合わせながら、掲げた腕を左右にゆっくりと振るオーディエンスの姿も見られた。その時はmagenta blueの音楽が、いかに会場の空間を支配しているのかがよくわかった。この日のライブの最後に披露された「Hysteric rain」は、そんな会場の一体感をより強く感じた一曲だ。フィンガースナップから始まるこのナンバーは、R&Bのようなリズムアプローチを基本としつつも、カッティングギターによるファンク的なアプローチがグルーヴを加え、さらに終盤では流れを一変させるように、ボーカルが軽快なラップを繰り出すパートもある。一曲の中で次々に新しい表情を見せてくれるが、絶妙なバランス感覚を持って根底にある心地良さや、ディスコティックなムードは常にキープされていた。

 メロ→サビ→イントロ(間奏)とほとんどのフェーズでリズムアプローチが変わっていき、曲が進めば進むほどmagenta blueが作り出す世界観に引きずり込まれていくような感覚がある。例えば、打ち込みと生音の混ぜ込んだドラムがビートの軸を握ることもあれば、フィンガースナップやウィンドチャイムといった聴き手を「おっ」と思わせるアクセントも豊富。そして、そのビートの中を泳ぐようにギターの音色が楽曲全体を鮮やかなものにし、そこに艶やかさを孕んだボーカルが加わることで確固たるアーバンな世界を作り上げるのだ。

 現段階でもこのクオリティーの音楽を奏でているのに、さらにライブでセッションを重ねたら、どうなっていくのだろうと期待せずにはいられない。冒頭で述べた今の音楽シーンの流れからみても、このバンドが頭角を現す可能性は十分にあるようにも思えるのだ。

■ロッキン・ライフの中の人
大阪生まれ大阪育ち。ペンネームにあるのは自身が運営するブログ名から。人情派音楽アカウントと標榜しながら、音楽メディアやTwitterなどで音楽テキストを載せてます

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magenta blue 公式サイト
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