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「1秒先の彼女」と「まめ夫」に共通する感性とは?清田隆之と東紗友美がイベント登場

ナタリー

「1秒先の彼女」トークイベントの様子。左から東紗友美、清田隆之。

台湾映画「1秒先の彼女」のトークイベントが昨日6月16日に東京・ユーロライブで行われ、恋バナ収集ユニット「桃山商事」代表の清田隆之と映画ソムリエとして活動する東紗友美が登壇した。

チェン・ユーシュンが監督を務めた本作は、人より常にワンテンポ早い郵便局員シャオチーと、常にワンテンポ遅いバス運転手グアタイの“時差”から生まれるラブストーリー。シャオチーをリー・ペイユー、グアタイをリウ・グァンティンが演じた。

清田は「今年観た映画の中で一番好きです!」と切り出し、「コミカルでかわいくて、でもジェンダーについて考えさせられる部分もある。本当にさまざまな魅力的がある作品です」と太鼓判を押す。東は「これは“ゼロイチ”の物語ですよね。詳細は観てからのお楽しみですが、2人の物語がこれから動き出す瞬間をスクリーンで目撃することに。観終わって劇場を一歩出た瞬間が、また始まりになるような体感がありました」と言い、「似た構造の映画は『君の名は。』ですが、その“ゼロイチ”の物語に、不器用でワンテンポズレてしまう主人公たちが加わります。多様性を肯定する要素が組み込まれた、アップデートされた恋愛映画だと思います」と感想を伝えた。

また清田は「シャオチーとハンサムなダンス講師が公園で出会うシーンは、先日最終回を迎えた坂元裕二さん脚本のドラマ『大豆田とわ子と三人の元夫』のラジオ体操のシーンとリンクしている気がしました」と語り、「松たか子さん演じるとわ子も周囲とズレてしまうんですが、同じくズレてしまうオダギリジョーさん演じる小鳥遊と恋愛めいたものが始まっていき……。周囲とのズレを共有し合えるマイノリティ同士の偶然の出会いであったり、彼女らのキャラクターの愛らしさがまさに一緒で。チェン・ユーシュン監督と坂元裕二さんに共通するセンスや感性みたいなものを感じました」と述べる。

続いて東は「この映画がほかの作品に圧勝しているのは、とにかくキャラクターの作りが秀逸なところ! シャオチーはかわいいけれど、ちょっと痛々しい部分もある。グアタイも優しいけど、恋愛との向き合い方について少し危うい側面も持っている。でも、この2人の唯一無二な人間像を絶妙なバランスで魅力的に描いていますよね」と述懐。清田も「こういう人物像って、描こうとして描けるものじゃないので、もう監督のセンスとしかいいようがない」とたたえた。

本作の見どころについて東は「視点の切り替わり」を挙げ、「またまた坂元裕二さん脚本の『花束みたいな恋をした』もそうですが、男女の視点が途中から変わる作品は、同じ経験をしていても人によって感じ方や捉え方が全然違うのだなと気付けるところが、面白いですよね」「本作はさらに、『世界に一つだけの花でいい』というメッセージ性も加わっている」と分析する。

清田は本作が時間をテーマにしていることに触れ「とある宛先にずっと『手紙』を出し続けたグアタイの姿を通して、堆積された膨大な時間を体感させられますよね。なので、ラストのとあるシーンの感動がすごすぎて(笑)。そこに封じ込められた感情が一気に流れ込んできて、到底言葉では追いつかないような感情になって、思わず涙を流してしまう。それこそが『感動』の正体なんじゃないかと思いました」と言及した。

最後に清田は「いい映画やドラマの条件の1つは、その世界に生きている人たちのことを好きになってしまって、この世界から出たくないなと思ってしまうことだと思います。観終わってすぐ『ロス』になってしまいました」と笑顔に。東は「自分自身と対峙する時間が増えている中で、この映画の登場人物たちのように、自分の人生にも何かなくしものがないか振り返ってみたりとか、何か行動を変えるきっかけにもなり得る作品だと思います。本作は、『君の名は。』であり、『世界に一つだけの花』です! ぜひご覧ください」と呼びかけた。

「1秒先の彼女」は6月25日に東京・新宿ピカデリーほか全国で公開。

(c)MandarinVision Co, Ltd

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