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喜美子と八郎の不幸なすれ違い 『スカーレット』が不穏な展開

リアルサウンド

20/1/10(金) 12:40

 松永三津(黒島結菜)が、川原夫妻のノートを取り返した前回。『スカーレット』(NHK総合)第83話では、喜美子(戸田恵梨香)と八郎(松下洸平)の不幸なすれ違いが描かれた。

参考:『スカーレット』第84話では、信作(林遣都)と百合子(福田麻由子)の距離がますます近づく

 「弟子はとらん」と頑なに拒み続ける八郎だが、喜美子の考えは違うようだ。金賞を受賞して3年、順風満帆に見えた八郎の陶芸人生も新たな壁にぶつかってしまっている。その上、喜美子が能力を発揮できずにいる現状ももどかしく思っている八郎は、まさにスランプで視界が狭まっている状態だ。そんな八郎の現状を打破してくれるのではないかと三津に期待をしてしまう。

 そんな三津は、別れた恋人だけでなく家族揃って芸術家肌の一族のようだ。経歴も奇抜な見た目からも、喜美子の言うところの「新しい風」と言うのが伝わってくる。喜美子は三津の弟子入りを後押し。喜美子が言うのならと、八郎も条件付きで承諾することとなった。

 そんなこんなで弟子として雑用から始める三津だが、早速行き詰まる師匠の八郎に物申す。「思い切って大胆に土を替えてみてはどうでしょうか? これですよね? 先生はこの景色の美しさを焼き物に出そうとしてるんですよね?」と喜美子ですら気づいていなかった八郎の芸術家としての一面をすくい取っている。

 八郎は弟子の出過ぎた発言を「口出さんでええ」と一蹴する。三津が去った後に「僕は信楽の土が好きでここに来たんや。喜美子のお父さんみたいに、ここに根っこ生やして生きていこう思てんねん」と喜美子に明かす。喜美子も「それが足かせになってんのんちゃう? ハチさんのこだわりがハチさんを苦しめてんのんちゃうの? 発想の転換や」と負けじと反論。弟子の一言から喜美子と八郎の仲に不穏な雲行きが流れ始める。

 思えば喜美子と八郎の不幸なすれ違いは以前から続いていた。喜美子が八郎を支えようとするほど、喜美子の陶芸家としての道が隠れてしまう。それをなんとかしたいと八郎が思うことがスランプに繋がってしまっているように、一種のスパイラルに囚われていたのが、第83話で一気に顕在化してしまった。

 信作(林遣都)と百合子(福田麻由子)の関係も気になる進展が見られたが、それどころではない『スカーレット』。明日の放送までハラハラした気持ちを引きずりそうだ。

(文=安田周平)

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