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ジャム・セッション 石橋財団コレクション×鴻池朋子「鴻池朋子 ちゅうがえり」

20/8/2(日)

山や海では、自分も自然の中の一匹の動物なのだと実感する。同じ感覚を都市の建築空間に持ち込むべく、鴻池朋子が“一匹の動物”としてつくりあげた円形空間に吸い込まれる。内側には大襖絵、外側では振り子が異世界を行ったり来たり。片隅では自転車の車輪を利用した影絵灯篭が回っている。 螺旋状に歩きながらずっと心に残るのは「瀬戸内国際芸術祭」の会場の一つである大島、ハンセン病回復者の国立療養所「大島青松園」で2019年に制作された作品たちだ。閉ざされた生活のなかで1933年に島の人たちが切り開いた山の散策路「相愛の道」を復活させた「リングワンデルング」プロジェクト。そこに吊り下げられ台風も経験した、牛革にトンビを描いた皮絵。島の人々が記憶を刺繍絵にした「物語るテーブルランナー」。そして、「声と映像の部屋」での、鴻池が海に浸かって「浜辺の歌」を歌う映像作品。昨年は行くことができなかったが、大島に残る入所者の写真や文章なども思い出す。 重ねて、秋田県の森吉山で雪山に埋もれて遠くへと歌う「ドラえもんの歌」が切ない。個体としての違いは素晴らしいけれど、それぞれの孤独や夢が身に沁みる。だが、その身の「野生」を信じて「つくる」とき、世界と関係が結ばれるのかもしれない。 この企画は石橋財団コレクションと現代美術家が共演する「ジャム・セッション」シリーズの第一弾でもあり、クールベやコロー、シスレーの絵画が見られるのもうれしい。

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