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押井守の あの映画のアレ、なんだっけ?

タランティーノが“監督引退”を表明していますが、それについてどう思いますか?

月2回連載

第7回

Q.
クエンティン・タランティーノがあと2作で監督を引退すると発表し、その最後から2番目の映画『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』が公開されます。押井さんは、そういう監督の“引退宣言”についてはどういうお考えをお持ちですか?

── 『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』は日本でも8月30日に公開されます。60年代後期のハリウッドを舞台にして、当時の空気や風俗を再現している。基礎知識があるととても面白い映画です。タランティーノは本作を最後から2番目の映画にしているらしいですが、これが最後になるのでは?なんていうウワサもありますね。

押井 おそらくタランティーノは“映画監督”というポジションを満喫しちゃったんじゃない? 彼の映画は基本、彼の好きな映画のツギハギ。ただその名人なのでツギハギの居心地の悪さはまるでない。そうやって映画を作ってきた人だから、10本でもういいやと思った……というのが私の見解。

彼はロスのレンタルビデオ屋で働いていて、そのときあらゆる映画を観たんでしょ? それこそ日本のアニメから東映のヤクザもの、香港のアクションやカンフーもの、あらゆる映画を観て、そのディテールを覚えている。おそらく、ストーリーは記憶から抜け落ちても、ディテールだけは鮮明に焼きつくタイプなんですよ。

── それは押井さんと同じですね。

押井 そうです。彼は、その焼きついたディテールをツギハギして映画を作ってきた。音楽だってサンプリング。タランティーノをひと言で表現するなら“サブカルをプリコラージュ(寄せ集めて自分で作る)してサブカルにした監督”になる。

アンディ・ウォーホールは自作をアートにしちゃったけど、タランティーノはサブカルのままで留めた。彼に賞や権威は似合わないでしょ? そういうところもタランティーノらしい。

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