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城 南海がたどり着いた現在地ーー自身のルーツ“奄美”への感謝と新たなチャレンジに取り組んだ10周年の活動を振り返る

リアルサウンド

20/8/9(日) 12:00

城 南海「ウタアシビ」10周年記念コンサート Bunkamuraオーチャードホール−2019.11.08−ティザー映像

 昨年デビュー10周年を迎えた城 南海が、2019年11月8日にBunkamuraオーチャードホールで行われた『城 南海「ウタアシビ」 10周年記念ツアー』初日公演の模様を映像作品としてリリースした。本稿では、以前、城 南海に取材した際のコメントを交えながら、同ツアーの振り返りや、10年を経てたどり着いた歌手としての現在地について書いていきたい。

 2009年、シングル「アイツムギ」でデビューした城。元ちとせや中孝介などと同じく奄美大島出身。幼少期より培われた歌唱力を発揮し、奄美民謡・シマ唄の歌唱や、グィンと呼ばれる独特の歌唱法を活かしたオリジナル曲を通じて愛すべき故郷の魅力を発信してきた。2018年にはNHK大河ドラマ『西郷どん』挿入歌「愛加那」「愛、奏でて」、大河紀行の楽曲「西郷どん紀行~奄美大島・沖永良部島編~」を担当して脚光を集め、観光大使としての活動や奄美大島の世界自然遺産登録を目指す「唄島プロジェクト」に参加するなど、名実ともに奄美を代表する歌手である。

「奄美の民謡がきっかけで歌手になっているので、故郷に感謝をして、自分のルーツを大事にして歌うというところは変わらずにできているのかなと。変わったのは、お客さんとのやりとりがある中で曲が育っていくことを実感できたこと。デビュー以降、お客さんの顔を見て歌う機会が多くなって、みなさんから“自分にとってこの曲はこういう曲なんです”というお話を聞いて発見したことが自分の中で少しずつ積もっていって、自分の目線以外からも曲を伝えられるようになりました。自分の子供のようにみなさんからの愛情を受けて曲が育っていき、その都度みなさんからのメッセージを受けて歌の表現が育っていくということは、デビュー前には気づけなかった。この10年歌ってきて変わった部分ですね」

 城は、自身の中で変わらないこと/変わったことについてそう語った。多くの仲間やファンに支えられた10年の感謝と新しい自分の姿を届けるためにーー『「ウタアシビ」 10周年記念ツアー』は、彼女の“これまで”と“これから”が存分に詰め込まれた公演だった。

 ギター、ベース、ドラムに加え、ピアノと弦楽四重奏を従えた演奏をバックに、Bunkamuraオーチャードホール全体を包み込むような壮観な歌声を響かせた城。オリジナル曲からカバーまで20曲を披露した中、なんといっても最大の見どころは、城も「本当に感無量でした」と語る、豪華ゲストとのセッションだ。デビュー以降多くの楽曲を手がけてきた川村結花のピアノに合わせて歌った「行かないで」「アカツキ」。沖縄民謡歌手・古謝美佐子とは、城がオーディションで歌ったという思い出深い古謝の楽曲「童神」を自己流にアレンジした「童神~私の宝物~」を、城の三味線、古謝の三線の演奏とともに披露。ピアニストの山下洋輔とはレコーディング以来の共演となる「西郷どん紀行 ~奄美大島・沖永良部島編~」を特別なジャズアレンジでパフォーマンスした。こうして錚々たる顔ぶれがお祝いに駆けつけるところにも、城の10年の歩みが実直なものであったことが物語られている。

「ゲストのみなさんとのステージは自分の原点を思い出すことができましたし、大先輩の方々と間近で一緒に演奏しながらビシビシとオーラを感じることができました。これからまた私もこうやって演奏し続けることができるようにがんばろうと思えました」

 また、この日の公演では、ABBA「Dancing Queen」、長渕剛「乾杯」、中島みゆき「糸」などのカバーも披露された。この選曲にも城の“これまで”と“これから”が表れている。まず、邦楽の名曲カバーも城のキャリアを語る上では欠かせないものの一つだ。2014年から出場を重ねた『THEカラオケ★バトル』は、城の歌唱力をより広くの人に知らせる機会となった。技術的な上手さだけではなく、原曲の魅力を伝えるべく丁寧に紡がれる言葉たち。どんな歌でも城が歌えば城 南海の歌になってしまう、そんな歌手としての風格を見せつける機会にもなった。

 今回の映像作品の初回限定版には、2019年7月23日にCOTTON CLUBで行われた洋楽カバーライブ『ウラアシビ ~10th Anniversary~』ライブ音源ディスクが付属している。デビュー10周年、そして30歳を迎えたことを機に新たなチャレンジをしたいという城のたっての思いから実現したこのライブでも、先のABBA「Dancing Queen」が披露された。

「英語は言葉の中にリズムがあるので、日本語と全然違うリズムの取り方や響かせ方が必要。新しい経験ばかりでした」

 洋楽カバーを披露するにあたり、英語の発音のレッスンを受けていたという城。一見意外なように感じてしまうかもしれないが、彼女の洋楽カバーは惚れ惚れする心地よさだ。原曲に忠実なものから三味線を弾いた斬新なアレンジまで、上質な歌声を堪能できる名カバーが収められているので、ぜひこちらのライブ音源もお楽しみいただきたい。

 10周年を機にした新たなチャレンジといえば、昨年末にリリースされた『one』にもふれておこう。ポップスの要素が強いオリジナルアルバムとなった本作は、収録曲「るるる」の作詞を務めたYOUがスタイリングしたアートワークが大きな話題を呼んだ。バッサリと切った髪の毛にモードの衣装、モノトーンの配色を用いたビジュアルで大人な表情を見せた城だが、本公演でも披露されたロックナンバー「ONE」では初めて友情をテーマに歌を歌った。MVには公私ともに親交のある同郷のシンガー・西田あいが出演。日常を映し出すようなプライベート感ある映像で等身大の城が表現されている。

「アルバム『one』を作り始めた時には、新しいチャレンジをしたいというのがまずベースにありました。髪も切って、一人の女性として、歌手として、新たなスタートからの一歩というのが頭の中にあったので、これまで歌ってきた花鳥風月、平和、大きな愛、美しい森、といった壮大なテーマよりはもう少し身近な、今だからこそ歌えるリアルな言葉を歌いたいという思いがありました」

「ONE」MusicVideo Short ver./城 南海(きずきみなみ)

 城はかねてから30代に憧れていたのだという。その理由についてと問うと、次のような回答が返ってきた。

「社会人になって10年経ったら少しはわかってくるというか、責任を背負う歳になってくるでしょうし、歌手としてもちょっとずつ定まってくる歳なのかなと。だから歌ももっとよくなったり、自分が思ったことをもっとしっかり伝えられるようになるのではないかなと楽しみなんです。バリバリ歌える年代というか、ワクワク感が30代にはあると思っていて。一人の女性としても脂が乗るというか(笑)。20代の頃よりはしっかりできるのではないかなと思っています」

 今後公開予定のディズニー実写映画『ムーラン』では日本版主題歌「リフレクション」の訳詞・歌唱を担当するなど、ますますの活躍が期待される城 南海。自身が語るように、経験により磨かれた個性を活かし、ここからさらなる充実の歌手活動が待っている。

■商品情報
城 南海「ウタアシビ」10周年記念コンサート Bunkamuraオーチャードホール−2019.11.08−
7月29日(水)発売

PCBP.54272 初回限定盤 ¥7,000(税抜)
PCBP.54273 通常盤 ¥5,400(税抜)

<収録曲>
【DVD】
1.アイツムギ
2.月と月
3.サンサーラ
4.あさなゆうな
5.月下美人
6.Dancing Queen
7.友達の詩
8.童神 ~私の宝物~
9.糸
10.笑
11.ONE
12.遠い約束
13.行かないで
14.アカツキ
15.花 ~すべての人の心に花を~
16.西郷どん紀行~奄美大島・沖永良部島編~
17.祈りうた~トウトガナシ~

【CD】
COTTON CLUB, TOKYO -2019.07.23-

1.RAINY DAYS AND MONDAYS
2.I FEEL THE EARTH MOVE
3.DON’T KNOW WHY
4.THE ROSE
5.Dancing Queen
6.I DREAMED A DREAM
7.DANNY BOY
8.紅
(約30分)

<先着予約購入特典>
・CDショップ:オリジナルポストカード(2L版サイズ)
初回限定盤:2枚セット、通常盤:1枚
・Amazon:ビジュアルシートセット(L版)
初回限定盤: 5枚、通常盤:3枚

■コンサート情報
『城南海 with 1966カルテット クラシカルコンサート 2020』
 9月19日(土)開場17:00/開演18:00
愛知 三井住友海上しらかわホール
問い合わせ:キョードー東海:052-972-7466

9月20日(日)開場13:30/開演14:30
大阪 エル・シアター
問い合わせ:キョードーインフォメーション 0570-200-888 (毎日10:00~18:00)

9月23日(水)開場17:30/開演 18:30
東京 紀尾井ホール
問い合わせ:BSフジイベントお問い合わせ:event@ bsfuji.co.jp

<チケット料金>
愛知・大阪公演:全席指定 ¥8,000(税込)
東京公演;全席指定 ¥9,000(税込) 

詳細はこちら

城 南海オフィシャルサイト

城 南海(きずき みなみ)Twitter(@kizukiminami)
城 南海 staff official Twitter(@minaminchu)
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