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『スカーレット』冒頭シーンとの繋がりに反響 陶芸家・喜美子の“波瀾万丈劇”はまだ折り返し地点

リアルサウンド

20/2/5(水) 12:00

 ついに喜美子(戸田恵梨香)の夢が叶った。連続テレビ小説『スカーレット』(NHK総合)第105話では、穴窯での窯焚きに成功し、信楽の土を使って出す美しい発色をものにする。

 7回目の挑戦、これが最後の穴窯での挑戦になるかもしれない。喜美子は家族と共に2週間もの間、火の番をし、理想の色を追い求めていた。そして物語はついに第1話の冒頭のシーンに繋がっていく。最終日に穴窯の上部が2箇所崩れ、火が勢いよく吹き出してしまったのだ。火事だと慌てるマツ(富田靖子)はすぐに消火しようとするが、喜美子が止めに入り、さらに薪をくべ、火を燃やし続けた。「水より薪や! もっと燃やせ、もっともっと火、焚くんや!」と叫ぶ喜美子はまさに鬼気迫る表情。そして、ついに喜美子は理想の色を出すことに成功する。

【写真】成長した武志役で登場した伊藤健太郎

 喜美子は、崩れかかりながら燃え続ける穴窯と呼応するように切迫していく。金銭的にもあとがない喜美子にとって、7度目の挑戦はプレッシャーと期待に満ちていた。生活は困窮し、八郎(松下洸平)とも別居生活になってしまった喜美子の手元に残っているのは、“陶芸”だけ。崩れかかる穴窯と吹き上がる火は、まるで喜美子の人生を表しているかのようだった。

 そして手に入れた窯焚きでの成功。これで喜美子はようやく、誰のためでもない、自分の人生を歩むことにも成功した。これまで誰かを支え、誰かの顔色をうかがいながら生きてきた喜美子だが、失うものを厭わなくなると、ようやく伸び伸びと作品と向き合えるようになる。元来の頑固で衝動的な作家性は、ここで大きく花開いた。草間(佐藤隆太)の存在、荒木荘のこと、信作(林遣都)や照子(大島優子)、そして常治(北村一輝)をはじめとした家族みんなの存在が、陶芸家・川原喜美子を生み出す。苦労も楽しかった思い出も、全てを吐き出すように作品に注力した瞬間だった。

 喜美子はすぐにちや子(水野美紀)に手紙を書き、取材に来てもらう。灰と土が反応してできる自然釉の作品は、喜美子を陶芸家として瞬く間に有名にさせた。陶芸以外にも、メディア出演など様々な仕事をこなす喜美子。その頃、武志(伊藤健太郎)は高校2年生になっていた。どうやら将来の進路に悩んでいる様子だ。幼い頃から喜美子と八郎の背中を見ていた武志にとって、働くということはどう映っているのだろうか。

 今回、高校生になった武志役として伊藤健太郎が登場した。長めの髪で成長した武志を演じる。武志の友人たちが活発そうな雰囲気なのに反し、武志は八郎を彷彿とさせる控えめな姿を見せる。しかし、頑固な喜美子や八郎を見て育った男だ。武志はこれからどんな世界に飛び込んでいくのだろうか。

(Nana Numoto)

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