朝が来る
20/10/21(水)

(C)『朝が来る』Film Partners
血の繋がりだけが家族ではないことは今まで何度も物語で綴られてきたものの、ここまでしっかりそれぞれの立場の心に深く入り込んで描かれた映画は無かったかもしれません。
子供ができない夫婦それぞれの心情、さまざまな事情で子供を育てられない産みの親の心情、しかも若い女の子たちが抱える社会問題にまで斬り込んだところをみると河瀬直美監督の本気度が伺える大傑作。
辻村深月さんが書き上げた原作の力を最大限に映し出すようにリサーチにリサーチを重ねたこともスクリーンからリアルな声として届いてくるのです。特別養子縁組という制度を伝え、開かれた社会を願い、子供たちの居場所を作ることが非行を防ぐ事にも繋がることを伝えている本作。
冒頭から締めつけられるような心の痛みと共に涙が溢れ出し、フィクションでありながら知らなければいけない現実を描いていると理解しながら物語に没入し、登場人物の心に触れてまた涙が溢れ出すのです。特に産みの親を演じる蒔田彩珠さんの存在感に引き寄せられ彼女の演技全てに心の震えが止まりません。
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