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尾崎世界観が語る、人からの影響とコロナ禍の音楽活動 「今はいらないものに気づく時間」

リアルサウンド

20/7/26(日) 10:00

 尾崎世界観の対談集『身のある話と、歯に詰まるワタシ』(朝日新聞出版)の帯の文には、「言葉」という補助線を引く――という一節がある。ロック・バンド、クリープハイプのボーカル・ボーカルで大部分の作詞作曲を手がける一方、小説やエッセイなどを執筆する尾崎らしく、本書では「言葉」の意味や声のパフォーマンスに関する話題が軸になっている。

 加藤シゲアキ(アイドル)、神田伯山(講談師)、最果タヒ(詩人)、金原ひとみ(作家)、那須川天心(格闘家)、尾野真千子(俳優)、椎木知仁(ミュージシャン)と多彩な面々との対話で尾崎がなにを考えたのか、そしてコロナ禍の今思うことについて聞いた。(円堂都司昭)

最少人数で濃密に聞いたからこそ聞けたこと

――本のもとになった『小説トリッパー』での対談連載を始めたきっかけは。

尾崎:朝日新聞出版の編集者の方を紹介していただいて、本を作れたらいいですねという話になったんですけど、その頃はすでにエッセイを連載していて、小説や日記も書いていました。それで、考えたのが対談をすることです。対談はもともと好きだったけど、いつもいいところで終わる印象があって、いいことを話していたのに文字数の関係で使われていないとか、歯がゆい思いがありました。文芸誌である『小説トリッパー』なら時間をかけて対談ができるだろうし、話せることも増えるのではということで始めました。

――確かに音楽誌の対談とはテイストが違うし、ボリュームもあって読み応えがあります。

尾崎:毎回1時間半から2時間くらい喋ります。でも、それくらいやらないと出てこない話もあるし、不思議な感覚でした。最初に言葉を交わした時と最後では感覚が違うし、相手のみえかたも変わります。

――様々なジャンルの方が登場しますが、人選はどうされたんですか。

尾崎:まずは、自分が気になっている人にお願いしていきました。

――本には連載順に収録されていて1回目が加藤シゲアキさん。初回からシリアスな話をしています。震災直後のこと、尾崎さんがライブで声が出なくなった時期のこと、加藤さんの所属するNEWSのメンバーの脱退のこと……。

尾崎:対談の場所にはスタッフさんは入らず、相手の方と自分とライターさんの最少人数でやっていました。

――そういう濃密さは出ています。

尾崎:まず自分の弱みをみせたいという露出狂みたいな変な願望が出てくるんです。せっかくの機会だから早く自分を知ってもらわなければいけない。その時に早いのは、自分の弱点を話すこと。だから、最近の悩みとか後ろ向きな話から始めることが多かった。そうすると相手の方も悩みを話してくれることが多かったです。

――対談のほか、ラジオのパーソナリティ、ライブのMCなど仕事で話す機会は多いですが、もともとお喋りは得意だったんですか。

尾崎:言葉を使って感情を相手に伝えること自体は、子どもの頃から好きだったと思います。

――神田伯山さん(対談時は松之丞)の講談を見に行った際、彼は派手な芸風だけれど、他の出演者の淡々とした芸風のほうがむしろ本来の講談ではないかと思ったという話が出てきます。私も、歌舞伎や文楽の若手の芸風とベテランの芸風の違いをみて似たことを感じたことがあったので、興味深く読みました。

尾崎:松之丞さん(当時)に魅かれて観に行って、彼が尊敬する師匠や大御所の方が出てきた時、意外に淡々としていて渋い、この落差に、講談が好きな人と最近好きになり始めた人の間で距離がありそうだと感じました。長く続いてきた歌舞伎や文楽の“わかりやすくなさ”も大事なところですよね。子どもの頃からいろんなエンタメに触れた若手は、今時のリズム感や知識があって伝えることに特化しているのではないか。自分もそうだと思うし、今はものごとがすぐ伝わる世の中なので、伝統芸能がそことどうむきあうかに関心があります。

――クリープハイプが含まれるロックというジャンルも発祥は1950年代で、現在のローリング・ストーンズなどは伝統芸能のように語られます。

尾崎:伝統芸能は基本的に、もともとあるものを伝えていきますよね。音楽に関しては新しく一から作る、そこが大きな差だと思います。最近は、以前にも増して伝統芸能の自分なりに受け継ぎ、自分を通して伝える凄さを感じています。人が出るというか、差がわかりやすいですね。

――歌の世界でもカバー集が多くなりました。

尾崎:伝統芸能だったら受け継がれて箔がつく印象なのに、音楽でカバーをするとちょっと劣る感じがある。可愛くなってしまうというか。その差はなんだろうと不思議に思います。

「影響されるのは大事」

――対談集では似た話題が回をまたいで登場し、相手によって話が違う方向へ進んだりしています。例えば、加藤さんの回ではバンドというものの正解を知ったら戻れないと話す一方、那須川さんの回では音楽に正解はないといっている。

尾崎:人に影響を受けるんです。自覚はありましたけど、対談のゲラを読んでいてより強くそれを感じました。最初はもっとブレていたんです。自分ではそのブレが面白かったので、極力変えないようにしました。本でまとめて読むとあまり時間の経過を感じませんが、掲載誌は季刊だから、対談は3カ月おきくらいと間隔が開くんです。ホストとして相手に聞いているんだけど、自分で答えている感じもある。いろいろな人の話を聞いて、心情の変化がありました。ブレることをネガティブにとらえていなくて、影響されるのは大事だと考えています。そこは柔軟でいたい。それに普段はもっとうがった見方をするけど、相手は自分が興味を持って来ていただいた方だったので、いつもより肯定的に話を聞けました。

――時おり、皮肉っぽい言い回しが出てきますよね。最果タヒさんにライブのことを話していて、Aメロ、Bメロ、サビで「どうせまたここでみんな手をあげるんだろうな」とか。

尾崎:おかしな話ですけど、ミュージシャンとして別の職業の方と対していたので、なんかすみませんうちの子がという感じで音楽のことを話してしまって。こいつ調子乗っちゃって、というような(笑)。なんでお前が音楽を背負っているんだと自分でツッコミたくなりますけど。読み返すと、フェスに対して思うことがあるんだと自分でわかりました。フェスがないとやっていけないんですけど、感謝しているからこそ、家族に対するように一言いいたくなる。コンプレックスなんです。フェスに出ないとバンド活動が成立しないところに自分がいるという情けなさと、ありがたさを感じている。

――フェスだけでなく、自分をとり巻く業界のなかでの立ち位置といった話が出てきます。加藤さんだったらアイドル界、尾野真千子さんだったら映画界など。

尾崎:その他にも講談、格闘技、小説、どの回も業界の話になっていました。決していいことばかりではないと肚をくくっている方々だし、悩み相談というか愚痴のいいあいのようになる時は自分のなかをみせようとする時だと思います。うちはこんなに調子いい、勢いがあってこれからが楽しみと、互いがいいあう対談なんて面白くない。そうならなかったのは、少人数で濃密にやれたからだと思います。

――対談相手で少し異質なのは、格闘家の那須川さん。

尾崎:最低限の言葉で、返しが早かった。すごく肉体的な言葉ですよね。

――「イメージが先で言葉が追いつく」とか「擬音で会話するのがいい選手」とか。

尾崎:面白いですよね。普段は言葉で伝える方ではないのに、少ない言葉で伝えられるのは、痛みを知っているからだと思います。嬉しかったことを人に伝える時より、悲しかったり、腹が立ったことを伝えるほうが饒舌になる。格闘技は勝った時の喜びがあるとしても、そこに苦しさや痛さがつきまとう。

――那須川さんの擬音のくだりが出てくる箇所の小見出しが「身体と言葉と、その間にある音」となっていて、それをみて音楽とも関連する話だなと思えたんですけど、見出しはライターの方がつけたんですか。

尾崎:はい。対談の中から抜き出してくれました。

――上手い抜き出しかただと思いました。

尾崎:本を構成した山田宗太朗さんは、歳が一緒で、昔からよくインタビューをしてもらっていました。そこも大きかったです。自分は相手について調べすぎないようにしていました。調べすぎると、どうしても話がそこばかりになってしまう。それはもう絶対にどこかで話していることだし、触れた作品を介して話をするとなぞることになる。だから、相手の方がまだ聞かれたことがない質問を投げかけたい。そこは意識しました。ビート板は使わずに、溺れて無茶苦茶にもがいている時のほうが、面白い質問が出てくるかもしれない。カナヅチなりにそんなことを考えていました。

――私は怖いので調べますけど、調べきれないのが前提です。ただ、予習すると答えあわせするみたいな感じになるんです。

尾崎:インタビューで「こうですよね」といわれ「違います」といってもどうにかしてその方向に持っていこうとする人がけっこういます。違うといっているのに(笑)。

――対談集では尾崎さん定番のエゴサーチの話題も出てきます。

尾崎:インタビューで毎回聞かれます。どんなにやめていても定期的に見てしまう。5日間くらい我慢したら5日後に5日分を見る。エゴサーチのリバウンドでいっそう落ちこむという。

――連載は初めからこの時期に本にすると決まっていたんですか。

尾崎:なんとなく決まっていました。本になる数を目指して、当初は自分が好きな野球にかけて9人にしようかという話もありました。でも、季刊だから2年程度でちょうどよかったです。この2年でもだいぶ変わったと思います。最初の加藤さんから最後の椎木まで、インタビューをしている感覚が違っていった。本にするための校正でこんなことまで話していたのかと思う部分が、特に前半の回にありました。最果さんくらいからだいぶ今の感覚で喋っているんですけど、伯山さんには引っぱられましたね。どんどん乗せられて喋らされちゃう(笑)。

――なにやら尖ったほうに。

尾崎:気づいたら自分ばかりがいっていて、伯山さんはいっていない。上手いんです(笑)。

『バンド』『祐介』、最新小説「サクラ」について

――昨年10月には、クリープハイプのメンバーそれぞれへのインタビューをまとめた『バンド』(ミシマ社)という本が出ました。ドラム、ベース、ギター、ボーカルの順という珍しい構成。音楽誌だと一般的にまずボーカル、ギターが載っていてリズム隊が後半で……。

尾崎:しかも分量がちょっと少なかったりして。インタビューをしていただいた木村俊介さんは、章ごとに同じ話題を繰り返すんです。そして、そのことで高揚感が出てくるという、独特で音楽的な構成にしてくださいました。文章でもそんなことができるんだとおどろきましたね。

――尾崎さんが声をかけた3人が正式メンバーになり、現在のラインナップになった2009年11月16日のライブを歌った「バンド」という曲の詞が冒頭に載っている。この曲を軸にして各人が順に尾崎世界観とバンドを語り、最後に本人が登場する。1点に集約される構成が劇的で音楽映画のようでした。最近ならクイーンの『ボヘミアン・ラプソディ』とか。

尾崎:そうですね。話の途中でメンバーの1人が脱退して、最後に戻ってくるパターンが多い。ライブ前のリハーサルをしているとドアが開いて、他のメンバーたちが「遅かったな」とかいって正面から舞台へ上がり楽器をかまえるというような。

――クリープハイプはこの4人になってから交代はないですけど。『バンド』がそのようにドラマチックな一方、逆に尾崎さんが2016年に発表した初小説『祐介』(文藝春秋)は、「尾崎祐介」が「尾崎世界観」になるまで――がキャッチフレーズでしたけど、実際に読むとその種の一般的なバンドもののドラマと全然違っているのが逆に面白かった。

尾崎:「半自伝」という表現はすこし納得がいっていないんですけど。そこは自分の実力不足ですね。

――『祐介』以前に、アマチュアでバンド活動していた作家がバンドマンを主人公にして書いた小説をいくつか読んでいました。それらはスタジオやライブハウスの場面は作者の経験だからリアリティがあるけど、青春小説のフォーマットで盛り上げていく。

尾崎:その種の小説に書かれる音楽はロマンチックすぎる印象があります。全然そんなことないというか、物語をいいと思っても音楽シーンになると音楽を良く書き過ぎている感じがする。自分にも、もちろん音楽への信頼感はありますけど、怨みのようなものだってある。上手くいかないという嫌悪感とか。『祐介』は別の表現を使って、それに切りかかっていく気持ちでした。

――『祐介』の文春文庫版『祐介・字慰』の解説で村田沙耶香さんが長編というより短編連作に近いと書いていましたが、いろんなエピソードが連なっていく面白さというか、ありそうな起承転結には収まっていません。『小説トリッパー』最新号掲載の尾崎さんの短編「サクラ」も、交通事故が起きる発端からそんな方向へ進むのかという展開で、主要人物ではないですが、病院の受付でなにやらべらべら喋っている女性の登場など印象に残ります。

尾崎:その場面は想像ですけど、実際、事故に遭ったことがあるんです。バイト先の人たちとご飯を食べた後に車で移動中に車線変更しようとした時にボーンと爆発音みたいなのがして、死んだと思って前を見たらタンクローリーが止まっていて、後ろを見たらガラスが全部なくなっていた。それで、相手の運転手から「すいません、大丈夫ですか」といわれて、「大丈夫じゃねーよ」となって。そこから救急車で病院へ行ったのは事実で、あとは想像で書きました。

ステイホーム中に感じた「甘え」

――自粛要請や緊急事態宣言もあって新型コロナウイルスの影響が広がるなか、クリープハイプは10周年記念ツアーを中止せざるをえなくなりました。

尾崎:ライブをやれないことに関して、自分のなかの決着はついた感じがあるんですけど、今まで甘えていたというか、前からやっていた人たちが作ったフォーマットで活動をしてきたんだなという思いがあります。フェスもそうだし、CDをどうリリースするか、そこにあわせてツアーを組む、そういったことが崩れていく。そうなった時にしっかり立っていられる体力があるのか。ちゃんとやらなければいけないとも思っているんですけど、生活のしかたも変わってきた今は、いらないものに気づく時間だと思います。バンドのグッズなど最たるもので、本来はライブ会場で買ってくれるものを通販でも売っていますけど、それだとみえかたが違う。

 ある種の魔法が解けた時に、これは必要ないなというのと同時に、クリープハイプのライブに行かなくていいし、聴かなくていいと思う人もいるだろうし、逆に今こそ必要だと聴いてくれる人もいると思います。変化が如実に出てきた時にどういうことができるのか、今から準備をしておきたいと思います。

――クリープハイプとしては主題歌「モノマネ」だけでなく劇伴も担当したアニメ映画『どうにかなる日々』も公開延期になってしまいました。

尾崎:仕方のないことですよね。

――ライブができなくなってから多くのアーティストがリモート配信など様々な試みを行っていますが、クリープハイプの場合、メンバーそれぞれが『バンド』の一部を朗読した音源がアップされました。そこで尾崎さんは、2011年の東日本大震災当時を振り返った部分を読んでいて、ギターを抱えて歩くのが恥ずかしかったという話が出てきます。ライブハウスがバッシングされる最近の状況と重なって引きこまれました。

尾崎:イメージの問題なんです。世の中の人の感情はほぼイメージでできていて、こっちもイメージで売っている。だからこそ、なにかあった時にイメージ先行で、しかもネガティブにとらえられる。かといって、イメージでとらえるのをやめてともいえないし、イメージがないと曲も伝わらない。だから、すごく難しい問題になってきます。

音楽も文筆も「僕には両方が必要」

――今年になってから尾崎さんは日記の文庫化(『苦汁100% 濃縮還元』文春文庫)があって、同書にはコロナ禍になった2月の日記も収録されていました。そして、今回の対談集が刊行され、クリープハイプとしては6月5日に新曲「およそさん」(アニメ『あはれ!名作くん』主題歌)がリリースされました。円周率の3.14でおよそ3。

尾崎:そうです。

――これダブルミーニングですよね。外出自粛で推奨された「おうち」の反対の「およそ」。

尾崎:そっちは、考えていませんでした。

――え、違うんですか。詞に遠くまで行く旅のイメージも出てくるから「およそ」への憧れも歌っているんだと思いこんでいました。

尾崎:ああ、なるほど。これからはそういうことにします(笑)。

――小説と歌詞では、書くのにかなり違いがありますか。歌詞の場合はまず曲があって……。

尾崎:メロディという型に流しこむので、リズムなどに制限してもらえて楽なんです。基本的に自分でメロディを作っているから、そこに逆らわず邪魔しない言葉を書こうとします。言葉にこだわっていると思われがちですけど、メロディのほうが立場は強いから、言葉で余計に悩まなくてすむ。小説だと制限がないのが大変です。きりがないというか。

 ここ何年かは、明日レコーディングで、もう深夜2時なのに歌詞がないというところからなんとかスイッチが入ってぎりぎりにできる。そうなっているのが嫌なんです。ぎりぎりのテンションの上がりかたで、どうにか自分を認めようとしているのでは、と自分を疑っている。レコーディングスタジオで演奏を録りながら、その合間に書いて歌入れの直前に間にあう、それこそ音楽映画の最後にいろいろあったけどみんなでステージに上がるというような、あの高揚感だけで作ると一本調子になりそうで。だから、もっと早く仕上げたいんですけど、どうもダメなんです。

――ふだんからメモはとっているんですか。

尾崎:iPhoneでメモをしているんですけど、最近、不満があって。アップデートをしたらメモ画面の機能で「空白」を押した時のマスの空きかたが広くなったんです。前の感じで歌詞を書いているとなんか違う。改行したらこれだけカーソルが動く、空白の1マスでこれだけ動くのを前提にして視覚的に言葉を組み立てていたから、調子が狂う。歌詞は手書きも試したんですけど、それだと文字の揺れかたでフラットに感情が乗らないんです。

――小説のメモと歌詞のメモは違いますか。

尾崎:小説のメモは思っていることを人に話すようにばっと書いて、必要なところを削り取っていく。歌詞の場合は削った小説のようなものをメモして、そこからさらに削る。本当に歌詞は削る作業ばかりです。例えば今作っている一番新しい曲だと、「そんな夜を探して歩いてる」という出だしで、「そんな夜」からいきなり始めてどんな夜かは書かない。削ってあえて隠して、そこからどう膨らませていくか。できるだけ広いものにしたいという欲もあるから、1曲でなるべく小説1作くらいの情報量になるよう努力したいと思っています。

――以前、尾崎さんはライブで声が出なくなった時に『祐介』を書き、次いで『世界観』をレコーディングできたという循環がありました。文章とバンドでいいバランスがとれていたんだと思います。コロナ禍になってからはどうですか。

尾崎:ライブができないなかで曲も作らなくなって、それは正常な反応だと思ったんです。みんなが困ってどうしていいかわからない時に、自分だけどんどん曲ができても空気が読めてないというか、世の中の動きとリンクしていない。自分の創作が止まって、自分も、世の中を見て生活していたんだなと確かめることができました。かといってなにもできないし、どうしようかと悩んでいる時にたまたま執筆の依頼をいただいたので、3月から5月いっぱいはずっと書いていました。

 2011年の震災の時は、自分が何者でもないことに滅入っていたけど、今回は曲がりなりにも何者かではあるということの大変さを感じています。どちらでも苦しみがあった。ライブができないことや、お客さんが離れてしまうかもしれない焦りがありつつ、それ以前に伝えたい、でもどうしていいかわからないという気持ちもあった。そういう時に書くことで、自分がためていた貯金が返ってきたというか、いろいろ動きが止まった時でも書く仕事だけは生きていたし、こういう時に自分に依頼がくるということは、多少なりとも、これまでの積み重ねは間違っていなかったのかなと思えました。積み立てが返ってきた印象です。2016年のきつかった時期に文章を書き始めて回復できたのと同じように、今度も書きながら、音楽のほうも曲が徐々にできるようになった。また書く仕事に助けられました。僕にはやっぱり両方が必要なんだと思います。

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■書籍情報
『身のある話と、歯に詰まるワタシ』
著者:尾崎世界観
出版社:朝日新聞出版
価格:本体1,400円+税
https://publications.asahi.com/ecs/detail/?item_id=21999

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