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『スカーレット』敏春と照子の本音が明らかに 友のためとにかく奔走し続けた信作

リアルサウンド

20/2/26(水) 13:30

 カフェサニーでは大野夫妻が温泉旅行中、信作(林遣都)と百合子(福田麻由子)が店番を務める。今週の連続テレビ小説『スカーレット』(NHK総合)は、そんなサニーでの1日を描く「スペシャル・サニーデイ」を放送中だ。第123話は、照子(大島優子)と敏春(本田大輔)の銀婚式の話題とともに、それぞれの初恋の話で盛り上がる。

参考:『スカーレット』第124話では、信作(林遣都)が百合子(福田麻由子)の同級生を敵視

 敏春が照子の陰口を言ったことで怒り心頭の照子だったが、本当に悩んでいることは陰口を言われたことではなかった。照子の心につっかえているものは、かつて喜美子(戸田恵梨香)がそうだったように、“女性”として求められることが上手くできないことへの劣等感から、優しく見過ごしてくれる敏春に責められているような気持ちになっていることなのだ。照子はコーヒーが上手く淹れられないことや、寝るときにいびきをかいてしまうことなどを挙げ、可愛げもないし良い奥さんでいられていないと嘆く。しかし、敏春はそんなことは気にも留めず、照子を優しく受け入れるのであった。

 交際していると、相手の期待を勝手に憶測し、それに答えようとしてしまうことはよくある。しかし多くの場合、それは自分が描いた“理想の配偶者像”でしかない。本当に相手から求められていることとは食い違っていることがほとんどだ。照子も喜美子も、こうした相手の気遣いや優しさをつい突っぱねて、自分の力でどうにかしようとしてしまう節がある。今回の2人の悩みだが、結婚生活を送っている中で同じようなことを感じたという視聴者も多かったのではないだろうか。

 さらに、話題はそれぞれ初恋の話へと移る。敏春が初恋の相手と同窓会で朝まで飲んでいることをチクチク攻撃する照子だったが、信作はそんな照子をなだめようと、つい照子の初恋の相手が信作であったことを明かしてしまう。少し悔しそうな百合子(当時は1歳)と驚いてポカンとした敏春。そこに“近藤くん”という謎の青年が、百合子を“ゆりちゃん”と呼びながら訪れる。

 これは第117話で「せっま!信楽って」と叫んだ武志(伊藤健太郎)を思い出さずにはいられないエピソードだ。照子や信作はこの狭い信楽のコミュニティの中で“腐れ縁”を続けている。しかし、たとえ初恋が誰だったとしても、今の恋愛は今の恋愛である。百合子と信作、照子と敏春は、小さなことに縛られず良い夫婦関係を続けてほしい。

 それにしてもこうして振り返ると、信作がどれほど本作のために奔走してきたのかが良くわかる。信作は喜美子のよき友人という立場だけでなく、時に夫婦の蝶番を、時に喜美子の穴窯の手伝いを、そして大野家と百合子を支える立場を担っている。実は信楽の小さな平和を守っているのは信作なのではないだろうか。「スペシャル・サニーデイ」はそんな信作のありがたみがよくわかる特別企画でもあるのだ。

■Nana Numoto
日本大学芸術学部映画学科卒。映画・ファッション系ライター。映像の美術等も手がける。批評同人誌『ヱクリヲ』などに寄稿。

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