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『去年マリエンバートで』4K版に蓮實重彦、菊地成孔、平野啓一郎らが賛辞

CINRA.NET

19/10/4(金) 20:00

映画『去年マリエンバートで 4Kデジタル・リマスター版』に寄せられた著名人のコメントが発表された。

1961年に『ヴェネチア国際映画祭』金獅子賞を受賞したアラン・レネ監督、アラン・ロブ=グリエ脚本による『去年マリエンバートで』は、時代も国籍も不明なバロック風の宮殿のようなホテルを舞台に、女A、男X、男Mの3人の人間模様を描いた作品。ヒロインを演じたデルフィーヌ・セイリグが劇中で着た数着のドレスは、晩年のココ・シャネル自らがデザインした。今回上映されるのは、劇中でオリジナルデザインの衣装を提供したシャネルのサポートによって完全修復が施されもの。公開日は10月25日。

コメントを寄せたのは、蓮實重彦、金井美恵子、中原昌也、菊地成孔、千葉雅也、平野啓一郎、町山広美、山崎まどか、五所純子、滝本誠、中条省平。

蓮實重彦は「これは、どこでもない時代のどこでもない場所で演じられる、意味を欠いた必死の演技なのだ」、金井美恵子は「ロブ=グリエのイメージは、見る者と読む者がいるかぎり、たとえばポルトガルの若い映画作家ホセ・ルイス=ゲリンの『シルビアのいる街へ』に反響し、世紀と空間を越えてネルヴァルの夢の速度に追いつき複数の不滅の女たちに出あう」、中原昌也は「どんな歴史的な名作よりも素晴らしい、揺るぎない『永遠』の愛がここにある!」と語っている。

菊地成孔は「あらゆる美しさの贅を尽くして出来上がった、世界そのもののような、誰にも指一本触れられない厳格な存在性」、千葉雅也は「映画としても文学としても今なお先鋭的な、いや現在の目で観るからこそいっそう先鋭的な歴史的名作だ」、平野啓一郎は「実験的な映画と言っても、貧乏臭さとは対極的で、全篇に亘る豪奢なエレガンスが見る者を魅了する」とコメント。

町山広美は「38歳の2人のアランの夢想を、女は高笑いで聞き、真顔で睨み返すべきだろう」、山崎まどかは「『難解な作品』の代名詞のような映画だが、その言葉はこの美しい迷宮のような作品を秘密にしたい人々の陰謀のように思える」、五所純子は「前進することも後退することも立ち行かず、恋の稽古をくりかえすようにして、歴史の真空地があらわになれば。影は差さない。風が吹く」と述べている。

滝本誠は「ココ・シャネルによって、『去年マリエンバートで』は、痛みを封じ込めた<シネマ・マネキン>として永遠化された!男たちは仕えただけである」、中条省平は「これが<世界一難解な映画>の真実を見きわめる最後のチャンスになるだろう」と評している。
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蓮實重彦のコメント

そこでは誰もがフランス語など喋っているが、マリエンバートとは国籍不明の土地だ。正装している男女も、それがいつのこととはまるで推察させない。
これは、どこでもない時代のどこでもない場所で演じられる、意味を欠いた必死の演技なのだ。その裸のフィクションのつきぬ魅力を満喫しよう。

金井美恵子のコメント

シャネルとレネの優雅なコラボレーションの背後で、ロブ=グリエのイメージは、見る者と読む者がいるかぎり、たとえばポルトガルの若い映画作家ホセ・ルイス=ゲリンの『シルビアのいる街へ』に反響し、世紀と空間を越えてネルヴァルの夢の速度に追いつき複数の不滅の女たちに出あう。かつて、カフカが滞在した保養地、あの、マリエンバートで―

中原昌也のコメント

どんな歴史的な名作よりも素晴らしい、揺るぎない「永遠」の愛がここにある!
オレはコレだけを信じて生きてくよ!ありがとう!

菊地成孔のコメント

美しすぎる記憶の錯綜、迷宮としての美しいホテル、絶え間ないオルガンの美しい不協和音、美しいシャネルの服と美しいモノクロ撮影、美しい俳優と女優に、美しいほど難解な原作小説。あらゆる美しさの贅を尽くして出来上がった、世界そのもののような、誰にも指一本触れられない厳格な存在性。
そして、4Kデジタルリマスタリングで蘇ったのは、驚くべきことに、シャネル・ムーヴィーとさえ言える、映画史上最も贅沢な、二度と作られることのないオートクチュールの広告動画。

千葉雅也のコメント

これこそが倒錯の映画。出口なき時間と空間の迷宮に閉じ込められて空回りを続ける欲望の劇。
映画としても文学としても今なお先鋭的な、いや現在の目で観るからこそいっそう先鋭的な歴史的名作だ。

平野啓一郎のコメント

実験的な映画と言っても、貧乏臭さとは対極的で、全篇に亘る豪奢なエレガンスが見る者を魅了する。過去と現在、夢想と現実、無意味と意味の狭間を漂うミステリアスな官能性。
シャネルの衣装を完璧に着こなすデルフィーヌ・セイリグの美しさよ!

町山広美のコメント

レネ晩年の作もロブ=グリエの監督作も過去になった未来にいて、再びこの迷宮へ入城する。
38歳の2人のアランの夢想を、女は高笑いで聞き、真顔で睨み返すべきだろう。
彼らは願う。永遠の!未然の恋を!

山崎まどかのコメント

「難解な作品」の代名詞のような映画だが、その言葉はこの美しい迷宮のような作品を秘密にしたい人々の陰謀のように思える。
彫像のように凍りついた黒いドレスの女たち。タキシードの男たち。テーブルの上で展開するゲーム、銃声、シャンデリア、囁き声。曖昧で残酷な恋の記憶。透明な羽のようにシフォンのドレスをなびかせる完璧なショートカットのデルフィーヌ・セイリグ。
私だって秘密にしておきたい。

五所純子のコメント

あのように出会った。このように出会えた。いまだ出会っていない。もはや出会っている。
取り返しのつかないことを忘れて演技、生き延びのないものたちの呆けた問答。
前進することも後退することも立ち行かず、恋の稽古をくりかえすようにして、歴史の真空地があらわになれば。影は差さない。風が吹く。

滝本誠のコメント

衣裳の暗い記憶、衣裳の過去の呪縛。
ココ・シャネルによって、『去年マリエンバートで』は、痛みを封じ込めた<シネマ・マネキン>として永遠化された!男たちは仕えただけである。

中条省平のコメント

キリコの絵のような永遠のなかで展開する神秘のラブストーリーか、すべてが虚偽の人工世界を舞台とする手の込んだ詐欺話か。これが<世界一難解な映画>の真実を見きわめる最後のチャンスになるだろう。

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