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『進撃の巨人』最新刊が『呪術廻戦』抑えてトップに 週間コミックスランキング考察

リアルサウンド

21/1/26(火) 8:00

週間ベストセラー【コミックス】ランキング(2021年1月19日トーハン調べ)

1位 『進撃の巨人』(33) 諫山創 講談社
2位 『呪術廻戦』(14) 芥見下々 集英社
3位 『呪術廻戦』(2) 芥見下々 集英社
4位 『呪術廻戦』(4) 芥見下々 集英社
5位 『呪術廻戦』(5) 芥見下々 集英社ベストセラー
6位 『呪術廻戦』(6) 芥見下々 集英社
7位 『呪術廻戦』(1) 芥見下々 集英社
8位 『呪術廻戦』(3) 芥見下々 集英社
9位 『呪術廻戦』(8) 芥見下々 集英社
10位 『呪術廻戦』(7) 芥見下々 集英社

 ご覧のように、1月19日トーハン調べの「コミックス」の週間ベストセラーランキングは、『呪術廻戦』(芥見下々)のほぼひとり勝ちといっていいような結果となった。昨年あたりから「『鬼滅の刃』の次に来る」といわれ続けてきた同作ではあるが、2クール目に入ったアニメ版も高い評価を得ており、ここに来てまさに名実ともに「いま」を代表するヒット作に化けたといっていいだろう。

 だが、別の観点からすれば諫山創の『進撃の巨人』もさすがというか、たいしたもので、1月8日に発売された33巻は、勢いに乗った『呪術廻戦』がランキングのトップ10を一色に染めるのを抑えたうえでの、堂々の1位である。

 なお、『進撃の巨人』については、先ごろ、4月9日に発売される『別冊少年マガジン 5月号』にて、11年半にわたる長い連載の幕を閉じるということが公表された。おそらく最終巻(34巻)が世に出る頃(6月9日)には、同作の話題がまた漫画界を大いに盛り上げてくれることだろう。

 一方の『呪術廻戦』だが、1月4日に発売された14巻(今回のランキングでは2位)では、10巻から続いている特級呪霊と呪術高専の呪術師たちとの戦い――「渋谷事変」がますますヒートアップしている。ここで詳しい内容を書くことは避けるが、ある親しい人物と、見知らぬ無数の人々の犠牲を前に、主人公・虎杖悠仁が呪術師であることの意味をあらためて問い直す、重要な巻となっている。

 それにしても、同巻を見てもよくわかるが、芥見の「異能バトル表現」は、回を重ねるごとにますます冴え渡ってきているといっていいだろう。特に今回、両面宿儺が魔虚羅に向けて放つ、渋谷の街の一部を消滅させるほどの強烈な「斬撃」のヴィジュアルは圧巻である。また、絵的な面だけでなく、要所要所で「異能の設定をナレーションで細かく解説する」というスタイルも、(他に例がないわけでもないだろうが)芥見ならではの「味」になってきているように思える(この解説自体がおもしろいと思いながら読んでいるファンも少なくないだろう)。

 いずれにせよ、『約束のネバーランド』と『鬼滅の刃』が完結し、『チェンソーマン』の第2部が他誌(『少年ジャンプ+』)で連載されることがわかったいま、ここ数年の『少年ジャンプ』で最も好調なジャンルだといえる「ダークファンタジー」路線を支えられるのは、現時点ではこの作品をおいて他にはないといえよう。

 最後に、今回のランキングを見ていて少し気になった点を挙げると、『呪術廻戦』の1巻から8巻という物語の序盤の巻が軒並みランクインしているにもかかわらず、0巻(注)がそこに入っていないことだ。

注……『呪術廻戦』の週刊連載が始まる前、『ジャンプGIGA』にて芥見が連載した『東京都立呪術高等専門学校』全4話を収録したもの。

 もしかしたら、同作に「0巻」なるものが存在しているのを知らない人がいるのかもしれないので、念のために書いておくが、『呪術廻戦』本編のプリクエル(前日譚)ともいうべきこの巻では、かつて起きた夏油傑と呪術高専の面々との死闘が、乙骨憂太(0巻の主人公)が呪術師として成長していく姿とともに描かれている。

 当然、その物語に(1巻の第1話が初登場となる)虎杖悠仁が顔を出すことはないが、この巻で描かれているエピソードを知っているのと知らないのとでは、物語全編を通しての「陰の主人公」ともいうべき五条悟というキャラクターを深く理解するうえでは大きく違ってくると思うので、未読の方はぜひ読まれたい。

■島田一志……1969年生まれ。ライター、編集者。『九龍』元編集長。近年では小学館の『漫画家本』シリーズを企画。著書・共著に『ワルの漫画術』『漫画家、映画を語る。』『マンガの現在地!』などがある。https://twitter.com/kazzshi69

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