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YouTube公式チャンネル普及の影響も? 最近のPVがシンプルになっている理由

リアルサウンド

13/10/13(日) 8:00

20131013youtube.jpgYouTubeの普及でPVはより身近になったが……

 ポップミュージックの新譜の宣伝には欠かせないプロモーションビデオ=PV。ある音楽番組関係者は、最近その内容に変化が生じていると指摘する。

 PerfumeやサカナクションのPVのように、グループのコンセプトや曲のテーマを反映した、徹底して作り込まれたアート性の高い作品が登場する一方、音楽スタジオで演奏風景を撮影したり、ミュージシャンが街を歩きながら歌を口ずさむ様子を撮影した作品が増加し、全体としては簡素化の流れがあるというのだ。

 そのような変化はなぜ起こっているのか。前述の音楽番組関係者が語る。

「背景のひとつには、MTVジャパンやスペースシャワーTVなどの放送系の音楽メディアで、最新のPVが以前ほど求められなくなったことが挙げられます。最近では主要レコード会社やアーティストのほとんどがYouTubeの公式チャンネルを持ち、視聴者は新しいPVをいつでも楽しめるようになりました。その結果、音楽メディアは最新PVでは視聴率が稼げなくなり、『懐かしの90年代 PVベスト50』のような企画のほうが視聴者にウケる、という現象が起きています。レコード会社の宣伝戦略においても、手の込んだPVを作るよりも別の広告手段にお金をかけた方が良い、という傾向が強まっているのです」

 CDセールスの低迷も相まって、PVの制作予算は年々縮小傾向にある。それは当然、作品内容にも影響を与えているという。
 
「ロケを組んだり、演者さんを呼んだりといった、お金のかかる作品はかなり減りましたね。また、制作陣にも変化がありました。5~6年前まではPVを専門に撮っている監督や、著名な映画監督がチャレンジングな作品を撮ることが多かったのですが、最近では、ライブ撮影なども行っている映像カメラマンがスタジオライブの模様をそのまま撮る、というPVが増えています。あれだと、かなり予算が抑えられます。スタジオ一ヵ所押さえて、ちょっと背景を変えて二回転くらい回せば撮れてしまいますから」

 もっとも、低予算ながらアイデアを凝らしたPVも少なくない。“全編iPhone自撮り”で話題となった、でんぱ組.incの「冬へ走りだすお!」などは好例だろう。刺激的なPVをもっと増加させるためには、どんな方策が考えられるだろうか。

「海外だと、PVはミュージックビデオと呼ばれるのが一般的で、すでにプロモーションツールを越えた、ひとつの独立したコンテンツとして評価されています。古典的な例はマイケル・ジャクソンの『スリラー』あたりで、ミュージックビデオは短編映画のようなコンテンツとして受け入れられてきた歴史がある。最近は日本でもPerfumeやサカナクションなど映像作品も含めて評価されるアーティストが増えていますが、PVそのものがコンテンツである、という考え方がもっと浸透すれば、彼らのような成功例はもっと出てくるでしょう。映像美や物語性を追求した質の高い“ミュージックビデオ”であれば、YouTubeの小さな画面で観るだけではなく、DVDやBlu-rayで存分に楽しみたいというユーザーも増えるはずですから」

 YouTube公式チャンネルの増加は、放送系メディアにおけるPVの希少性を失わせた反面、音楽映像へのユーザーの関心やニーズを高めているのも事実。制作予算縮小は音楽業界全体の傾向だが、それを跳ね返すような充実した映像作品の登場を望みたい。
(文=マツタヒロノリ)

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