Download on the App Store ANDROID APP ON Google Play

ぴあ

いま、最高の一本に出会える

加藤和樹/木村達成

加藤和樹×木村達成「リフは、争うことでしか自分の存在意義を見つけられなかった」

20/3/25(水) 7:30

ブロードウェイ・ミュージカル『ウエスト・サイド・ストーリー』Season3にリフ役で出演する加藤和樹&木村達成がぴあに登場! 共にミュージカル『テニスの王子様』のOBであり、今やミュージカル界に欠かせない存在に成長したふたり。互いへの友情と信頼がにじみ出る先輩後輩トークを楽しんでほしい。

※このインタビューは2月に行われました。

ダンスでどれだけリーダー感を見せられるか

――おふたりがどんな想いを持って『ウエスト・サイド・ストーリー』に臨もうとしているのか、今の心境を聞かせてください。

加藤 僕自身、ダンスというものにすごく苦手意識があって、今まであまり通ってこなかったんですね。でも、『ウエスト・サイド・ストーリー』は、ダンスありきの作品。そんな作品に自分が出るということ自体が、本当に人生最大の挑戦だなと。

――苦手意識があるとのことですが、ダンスに関してはもうすでに何か準備を始めていますか?

加藤 昨年末ぐらいから振付助手の方に個人的に振り付けをしていただきました。あとは、バレエのレッスンに通ったり。やっぱり人よりできない分、早め早めにやっていかないと、みんなと同じペースでは間に合わない。今の自分が持っていないものを自分の中に入れていく作業をできるところから進めています。

木村 こうやって踊れないって言ってますけど、この間一緒に稽古を受けた限りでは「何が踊れないだ!」と思いましたよ(笑)。

加藤 それは俺が前に稽古をやってるからだよ(笑)。むしろあなたの飲み込みの早さの方が異常だよ。

木村 いやいやいや。もう今まで使ったことのない筋肉と聞いたことのない用語に苦戦しています。先生が地面を突き刺すような足の運び方という意味で「刺す」という言葉を使うんですけど。僕からすると「刺すって何?」というところからで(笑)。軸のとり方であったり、本当に大変ですね。

加藤 お互い課題なのは、振りを飲み込むだけじゃなく、ちゃんと噛み砕いて、身体表現として見せられるようにしなければいけないこと。特に今回のSeason3は、アンサンブルがほとんどSeason1に出演していた方たちなので、どうしても経験値の差が出てくる。その中で、ちゃんとジェッツを率いているのはリフだという説得力を出せるところまでダンスのレベルを持っていかなければいけないと思うと、プレッシャーが大きいですね。

木村 稽古では『Prologue』と『Cool』をやったんですけど、どっちも面白かったです。『Cool』はタイトル通りクールなんだけど、あまり落ち着きすぎちゃダメで、絶えずパッションが沸き立っている中で血液が流れ続けているようなイメージ。後ろで踊っているジェッツのメンバーを従えながら、どれだけリーダー感を見せられるかが大きなポイントかなと。目指す理想像はすごい高みにあって、そこに行き着くまでには本当に練習が必要だなって思いました。

加藤 今のところまったくてっぺんが見えないもんね。

木村 雲がかかっていて目視できないです(笑)。

――木村さんは、この『ウエスト・サイド・ストーリー』にどんな想いを持っていらっしゃるんですか。

木村 結構尖った言い方になっちゃうんですけど、僕はこのIHIステージアラウンド東京という劇場に挑戦してみたいと思ったのがいちばんの理由です。構造上、どうしても音響が分散しやすいこの劇場でどれだけ正確に一語一句聞き取らせることができるか。そこに、いちばん興味をかき立てられました。

達成は尖っているけど、全然切れない(笑)

――おふたりはミュージカル『テニスの王子様』を経て、今やいろんなミュージカルで活躍中です。そういうルーツに対する共鳴ってあったりしますか?

加藤 出演していた時期は違うけど、『テニミュ』を通って、小池(修一郎)先生の作品を通ってという点では同じ。だから、その中での苦労だったりとか、分かり合える部分は他の人に比べればあると思いますね。

木村 ルートが同じですもんね。

――じゃあ、そんな加藤さんから見た木村さんはどんな人ですか?

木村 ナイフのように鋭利ですよ(ニヤリ)。

加藤 自分で言うな(笑)。こう言ってますけど、すごく甘えん坊で、人なつっこくて、憎めないやつです。去年、『ファントム』で共演させていただいたんですけど、人一倍芝居に対して貪欲で、自分に足りないものも自分でわかっているし、ちゃんと分析して乗り越えていこうとする力がある役者だなって思いましたね。

――それは『ファントム』をやっていく中で、どんなときに感じたんですか?

加藤 公演期間中も毎回いろんなチャレンジをするんですよ。何も大きく芝居を変えるということではなく、本当に細かい役の居方までしっかり考えてトライしていて。その姿勢が毎回見えたので、真面目だなと。

木村 確かに『ファントム』は毎回挑戦でした。演出である城田優くんがパッションで芝居をしてほしいという人で。でも、公演によっては自分の気持ちがそこまで上げられていないときもあって、試行錯誤しまくって、しっちゃかめっちゃかになったこともあるんだけど。そうやって感情がピークへと辿っていく心の動線を意識しながら毎回トライできたことは、自分にとっても挑戦でした。

――では、木村さんから見た加藤さんはどんな人ですか?

木村 懐がすごく広い人だなって。こんなに草原のように心が広い人、初めて見ました。人を包み込む能力がすごくて、そういうところはリフっぽいなって。僕、できないですもん。すぐ人を突き放しちゃうんで。切れ味鋭いんで(笑)。

――逆に、加藤さんから見て木村さんのリフっぽいところってどこですか?

加藤 尖っているところ?(笑)。

木村 確かにね。アイツ、いつか問題起こすんだろうなっていう感じは、いちばんリフっぽい(笑)。

加藤 まあそれは冗談として(笑)。年齢的にも若いし、勢いがあるところはリフに合っていますよね。だからと言って、何も考えていないわけではなく、むしろちゃんと頭の中で計算ができるし、周りをよく見ているから、仲間からも慕われているし。すごくリーダーシップがあるんだけど、決して仲間の上に立つという感じではなくて、みんなと同じラインに立って、同じ想いを共有しながら引っ張っていくタイプ。そういうイメージはありますね。

木村 (うれしそうに)ありがとうございます!

――ちなみに木村さんは加藤さんのことを「心が広い」とおっしゃっていましたが、親しくなるまでの加藤さんのイメージと言えば?

木村 え? 怖い人だなって(笑)。

加藤 よく言われるけどね。見た目がこんな感じなので。昔に比べればだいぶ柔らかくなった方だと思いますけど。

木村 昔はもっとヤバかったですか?

加藤 ヤバかったというか、もともと喋るのがそんな得意じゃなかったから。でも、やっぱり話していかないとお互いの内側なんてわからないなと思って、少しずつ自分でも努力するようになって。それで、だいぶ柔らかくなったというか。

木村 つまり、ポッケに入れてたナイフが、フォークになったぐらいっていうことですね(笑)。

加藤 それこそ達成は若いし一見チャラそうに見えるけど、同じ『テニミュ』を通ってきた立場だから、本当は真面目なんだろうなっていうのはすぐわかった。おちゃらけて見せるけど、本当はすごくしっかり考えているし、決してとっつきにくいタイプではないですね。

――じゃあ、先ほどから「尖った」という発言が多いですが、木村さんが今、尖ったナイフのようになっている気持ちもわかります?

加藤 達成は尖っているんですけど、全然切れないんで(笑)。

木村 ペーパーナイフなんです(笑)。

加藤 みんなから愛されるんで。そこは達成の才能だなって思います。

リフは、大人と子どもの間でずっと葛藤し続けていた

――リフという人物を今どんなふうに捉えていますか?

木村 リフは仲間想いで、重要なときには先頭に立って、しっかり自分でみんなを率いる存在感と判断力がある人。そのリーダー感をどう表すか、形はいろいろあると思うので、ジェッツのメンバーと見つけていきたいですね。リフは、このお話の中ですごく重要なキャラクター。僕たちがシャークスと争えば争うほど、トニーとマリアの禁断の愛が明確に表現できると思うので、そこは大事にしたいですね。

加藤 稽古に入ってから見えてくる部分もたくさんあると思うんですけど、シャークスとの争いの中で生まれるパッションがこの『ウエスト・サイド・ストーリー』の見どころのひとつ。その中からいち早く抜け出そうとしたのがトニーで。自立してお互い認め合わなきゃいけないとリフも諭されるわけですけど、きっとリフもどこかでわかっている気がして。

木村 わかります!

加藤 本当は大人にならなきゃいけないんだけど、引くに引けないことってあるじゃないですか。ジェッツもシャークスもみんな大人にもなりきれず、でももう子どもとも言えないもどかしさの中で葛藤し続けている。争うことでしか自分の存在意義を見つけられない悲しさを、僕は感じました。

――おふたりはリフたちのような行き場のない怒りや反発心を10代のときに抱いたことはありますか?

木村 僕はあんまりないかな。わりと10代の頃から自由に生きさせてもらってたから。

加藤 俺もあんまりないですけど、自分が10代のときはまだ暴走族がいる時代だったから、不良同士の抗争とか、「どこどこの誰々にやられた!」みたいな話はわからなくもないです。

木村 あったんですか、そういうの。

加藤 そういう時代だったからね。全然あるよ。

木村 全然話違いますけど、僕、友達とかがヤバい状況になると笑っちゃうクセがあって。野球やっていたとき、仲の良い友達がサードを守ってて、カッコつけてボールを飛んで捕ろうとして、そのまま1回転して鎖骨折ったんですよ(笑)。で、みんなが集まってくる中、本当は「大丈夫?」ってケアしなきゃいけないのに、ショートにいた僕は折ったシーンを間近で見ていたから笑いが止まらなくなっちゃって……(笑)。

加藤 (手を叩いて)あはは!

木村 だから、友達がやられてたら、僕だったら笑っちゃうかもしれないです(笑)。

決闘に行き着くまでに、リフの形をしっかりつくり上げたい

――じゃあ、そうした10代の怒りや暴走とは縁遠かった木村さんから見て、リフの顛末はどのように映っていますか?

木村 自分のためだけじゃなく、きっとみんなのためにっていう部分もなきにしもあらずだと思うんです。環境への反発だったり、そういう社会の中で生きなければいけない苦しみや悲しみだったり、そういうものをすべてぶつけた決闘だと思うので、しょうがなかったのかなと。

リフは、そういう道を選んで生きてしまった。トニーみたいに「やめといた方がいい」とか「行かない」という選択もあった中で、自分で選んだ末に導かれた結果なんですよね。若気の至りというか、尾崎豊が沁みちゃうその感覚は、わからなくもないなって気持ちもあります。

――では、そんな決闘シーンをどのように演じたいか、おふたりの想いを聞かせてください。

加藤 きっと引くに引けない状況なんですよね。あそこまで行くと、もう引っ込んでしまったら示しもつかないし。でも、あの決闘があったからこそ、その後の展開があるわけで。誰かしら犠牲が出ないと事の大きさに気づかないという点では、今の世の中も同じじゃないかと思います。

そう考えると、本当に人間って愚かだなと思うし。ギャング集団の抗争なんて自分とは関わりがないって思ってしまいがちですけど、誰もが当事者になり得る可能性はあるんだというメッセージが、この作品には込められている。だからこそ、決して勢いだけにならないように。引くに引けないリフの葛藤をしっかり表現したいと思います。

木村 上っ面だけでやりたくないなとは思いますね。稽古に入ってみないと、どこまでベルナルドやプエルトリコ系の人たちへの怒りが湧くかわからないですけど、ちゃんとその怒りが湧くマインドにしておきたいなって思いますし。決闘シーンだけにこだわるのではなく、そこに行き着くまでにしっかりリフの形をつくり上げた上で、あの戦いに挑みたいと思います。

3月28日(土)午後4:00~4:30 『ウエスト・サイド・ストーリーSeason3 開幕直前SP』(仮)

TBS系にて放送‼ *一部地域を除く

加藤和樹さん、木村達成さんのサイン入りチェキを2名様にプレゼント!応募の方法はこちら

(撮影/岩田えり、取材・文/横川良明、ヘアメイク/(加藤さん)江夏智也(raftel) (木村さん)馬場麻子、スタイリング/(加藤さん)立山功 (木村さん)部坂尚吾(江東衣裳) 衣装協力/(加藤さん)ジャケット、パンツ/The Viridi-anne(The Viridi-anne tel 03-5447-2100)、カットソー、靴/CHORD NUMBER EIGHT(GARDEN TOKYO & THE OPEN ATELIER tel 03-3405-5075 ) (木村さん)ニット¥20,000(BATONER / BATONER 03-6434-7007)、 パンツ¥36,000(T-MICHAEL / UNIT&GUEST 03-5725-1160) ※価格はすべて税抜き表示)

新着エッセイ

新着クリエイター人生

水先案内

アプリで読む