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八木将康、劇団EXILEの“ハルク”として絶大な安定感 コミカルな芝居の裏にある繊細な感情

リアルサウンド

20/12/10(木) 8:00

 ドラマ、映画、CM、舞台と幅広いステージで活躍を続けている劇団EXILE。本稿では、劇団EXILEのメンバー一人ひとりのフィルモグラフィをたどりながらその魅力を分析。第2回目は、12月12日から公開される映画『無頼』に出演の八木将康について紹介していく。(編集部)

 連載の第2回は八木将康。EXILEのSHOKICHIを兄に持ち、彼に憧れ、高校までは野球にあけくれたが、その後、「VOCAL BATTLE AUDITION 2」に参加。それをきっかけに、その後、小野塚勇人と同様に2012年の『方南ぐみ×劇団EXILE「あたっくNo.1」』をはじめとして、さまざまな舞台に出演する。

 小野塚とは歳は離れているが同期。リアルサウンド映画部のインタビュー(劇団EXILE 小野塚勇人×八木将康、同期として切磋琢磨する日々 「互いに成長できる関係でいたい」)時には、「(将康さんは)けっこう周りから追い詰められるほど面白さが出てくるし、土俵際がめちゃ強い。見た目もそうですけど、将康さんならではの印象があるので、将康さんならこうなるかなっていう画が浮かぶんですよ。それで、みんなが詰めるんですけど、それは持って生まれた才能でもあるので」と小野塚は八木のことを評している。

 そんな言葉は、数々の演技を見ても納得がいく。EXILEのTAKAHIRO主演のドラマ『ワイルド・ヒーローズ』(日本テレビ系)では、トラック運転手で年下の妻に振り回されるやりとりが面白く、劇中のコントのようなシーンを八木が担っていた。

 『HiGH&LOW』シリーズでは、山王商店街の床屋ピューマで働くカニ男こと伊集院甲として登場。ダークなトーンで進む『HiGH&LOW』の中で、天野浩成演じる尾沢とのシーンは、ポップでカラフルでそしてコミカルだ。

『DTC -湯けむり純情篇- from HiGH&LOW』 公開記念Special Trailer ② 「IIKOTO」

 後にカニ男と尾沢の“縦笛兄弟”は、『DTC 湯けむり純情篇 from HiGH&LOW』で大いにフィーチャーされることとなった。山王の商店街サイドに生きる人々の姿は、シリーズの中でも人間味や楽しさがあふれているが、その雰囲気の一端を担っていたのが、八木演じるカニ男なのかもしれない。

 こうしたキャラクター性を生かして、2019年、“Jr. EXILE世代”の4組の“総当たりコラボバトル”「BATTLE OF TOKYO ~ENTER THE Jr. EXILE~」には前説として登場したり、またそのステージ上で、小澤雄太と八木がアデラン・スースー、ペヤン・グラシアスというキャラクターで登場。八木はCRAZY四角形名義で発表した楽曲「WANAWANA」を披露した。

WANAWANA / CRAZY四角形 (Official Music Video)

 ステージやミュージックビデオでも、そのコミカルな部分にまず目がいくかもしれない。ミュージックビデオでは、スーパースターのCRAZY四角形がさっそうと高級車から降り、レッドカーペットで声援を送るたくさんのファンの色紙にサインを書くが、そのサインがただの四角形だったところで噴き出してしまった。

 しかし、楽曲を改めて聞いてみると、三代目 J Soul Brothersの登坂広臣&ELLYが完全プロデュースしただけあって、今のサウンドを肩ひじ張らずに表現できているし(個人的には、日本では世界的に流行したサウンドを取り入れるときに咀嚼して取り入れることが多く、パロディ要素があるプロジェクトのときのほうが、今の音を無理なく表現しやすいのではないかと考えている)、四角い髪型、肩パッドの入ったピンクのスーツなども、90年代を彷彿させる。ダンスもキャッチ―だ。この楽曲は、LDH TVの企画「SUPER STAR PROJECT」から誕生したものだが、またいつか、こうした姿も見せてもらいたいものだ。

 劇団EXILE内での役割を『アベンジャーズ』のメンバーに例えると、八木は「ハルク」(小野塚談)だというが、大きくて強さがあり時にそれを爆発させるけれど、同時に繊細な感情も垣間見せるというところからそう見えるのだろうか。

 八木は、小野塚の評価を受けて、全員が主役の『アベンジャーズ』のように、劇団EXILEもなっていきたいと語っている。そんな劇団全員が出演した舞台『勇者のために鐘は鳴る』で八木は、三度の飯よりギャンブルの好きな「うまなり」を演じた。八木に、ハルクのようなどっしりした部分があるからこそ、メンバーも安心して彼にコミカルな部分を委ねられるのかもしれないとも思った(参照:TOKYO HEADLINE「八木将康「劇団EXILEも『アベンジャーズ』みたいなチームになりたい」」|TOKYO HEADLINE)。

 そんな八木だが、2020年には映画『癒しのこころみ~自分を好きになる方法~』に出演。この作品は、CM制作会社で働いていたものの、手柄を同僚にとられ、退職した主人公の一ノ瀬里奈(松井愛莉)が、あるきっかけからセラピストを目指し、そんな中で起こる出来事を描いている。八木はその主人公が出会う元プロ野球選手の碓氷隼人役を演じている。

 里奈や少年野球教室に通う子供たちに野球を教えたり、実際の野球場で試合をしているシーンなどでは、駒大苫小牧高校野球部員として甲子園に出場した経験を持つ元高校球児の凄さを見せてくれている。もちろん、本作での八木の魅力はそれだけではない。

 過去に傷を負い、前向きになろうとしながらもなかなかなれなかった隼人と、同じような経験を持つ里奈が出会ったことで、ふたりが共にそれぞれにとっての前を向いて歩んでいく姿が描かれていく。八木は、これまでによく見せていた、コミカルな顔を一切封印し、シリアスで、この世の中のどこかにいるかもしれない元プロ野球選手の顔をしていた。

 八木は、LDHの先輩である松本利夫が主演、井筒和幸が監督の映画『無頼』にもわずかではあるが出演している。『癒しのこころみ~自分を好きになる方法~』にしても、『無頼』にしても、こうしたこれまでとは違う役割を、これからはどんどん見せていってほしいし、こうした役を演じられる時期がきたのではないかと思う。

■西森路代
ライター。1972年生まれ。大学卒業後、地方テレビ局のOLを経て上京。派遣、編集プロダクション、ラジオディレクターを経てフリーランスライターに。アジアのエンターテイメントと女子、人気について主に執筆。共著に「女子会2.0」がある。また、TBS RADIO 文化系トークラジオ Lifeにも出演している。

■公開情報
『無頼』
12月12日(金)より、新宿 K’s cinemaほか全国順次ロードショー
監督:井筒和幸
出演:松本利夫(EXILE)、柳ゆり菜、中村達也、ラサール石井、小木茂光、升毅、木下ほうか
配給:チッチオフィルム
配給協力:ラビットハウス
2020年/日本/146分/カラー/ビスタサイズ/5.1ch/R15
(c)2020「無頼」製作委員会/チッチオフィルム
公式サイト:www.buraimovie.jp
公式Youtube「監督チャンネル」:https://www.youtube.com/channel/UCSOWthXebCX_JDC2vXXmOHw
公式Twitter:@buraimovie2020
公式Instagram:buraimovie

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