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茅野愛衣は新たな領域へ 主人公から名バイプレイヤーとしての役割まで担う注目の声優陣

リアルサウンド

21/1/21(木) 10:00

 物語の中核を担う主人公を演じる作品も多数ありながら、時には名バイプレイヤーとして作品に彩りを与える。アニメ作品にはなくてはならないその存在は、野球でいえばクローザーといったところだろう。例えば『鬼滅の刃』の煉獄杏寿郎で一躍時の人となった日野聡は、人気女性声優が揃い踏みの『五等分の花嫁』で、たまにしか出てこない風太郎の父親=上杉勇也や、『呪術廻戦』で呪術高専京都校の加茂憲紀などで良い味を出している。他にも『はたらく細胞!!』でがん細胞を演じる石田彰、『天地創造デザイン部』で木村を演じる梅原裕一郎など、「この人がここにいてくれることで作品が整う」といった存在は、アニメ作品には引っ張りだこになる。女性声優でいえば茅野愛衣や金元寿子などがそうで、今期も数多くの作品に名前を連ねていて注目だ。

新たな領域に入った癒しボイスの筆頭・茅野愛衣

 茅野愛衣は、2010年に声優としてデビュー。『あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。』のメンマこと本間芽衣子役と聞けば、どんな声か思い出す人は多いだろう。空気成分を多く含んだふんわりとした声質から幼い女の子を演じることが多く、『ノーゲーム・ノーライフ』では、11歳の少女でありながらゲームの天才である=白という難しい役を好演した。

 優しく包み込むような、母性を持った役柄を演じることも多い。『ガールズ&パンツァー』では料理好きで女子力の高い武部沙織、『鬼滅の刃』では、胡蝶しのぶの姉でカナヲを引き取った、慈愛の持ち主である胡蝶カナエ役を演じた。主人公の母親が真の主人公という異色作『通常攻撃が全体攻撃で二回攻撃のお母さんは好きですか?』では、優しくて最強の母親=大好真々子を演じて話題を集めた。「あらやだ、マー君ったらもう〜」とニコニコしがら敵を殲滅する様子は実に爽快で、こんな母親になら叱られたいと思ったファンは多かっただろう。

 現在放送中の『ホリミヤ』でも、ヒロインである京子の母=堀百合子役でかわいらしいママぶりを発揮している。Season2が好評の『約束のネバーランド』では、ブロンドヘアの少女=アンナを演じている。エマたちが外で戦っている間の子どもたちを守る役目で、まさしくみんなの母親的な存在だ。原作の読者なら後のアンナの活躍はご存じの通りで、それを考えればアンナ役=茅野はナイスキャスティングだと頷ける。

 そんな茅野の癒し系枠に迫る者も多いが、茅野はそのポジションに安住することなく、近年は多彩な役柄を演じて活躍の幅を広げている。例えば『ソードアート・オンライン アリシゼーション』のアリスは、女性らしい空気をまといながらも芯のある声が印象的で、彼女にとっての新境地になった。一方『この素晴らしい世界に祝福を!』ではドMのクルセイダー=ダクネス、『冴えない彼女の育てかた』では毒舌の黒髪美少女=霞ヶ丘詩羽と実に多彩だ。

 今期は『裏世界ピクニック』の仁科鳥子、『たとえばラストダンジョン前の村の少年が序盤の街で暮らすような物語』で主人公ロイドの面倒をみる魔女のマリー、『無職転生 ~異世界行ったら本気だす』ではルーデウスの幼なじみの少女=シルフィエットなど演じている。鳥子は主人公の紙越空魚を裏世界に引き込むキーマンで、優しさと強さを兼ね備えながら、良い意味での軽やかさがある。これまでの母性を持った役どころや『SAO』のアリスとも違った雰囲気で、新たな領域に入ったことを実感させる。

主人公を引き立てながら個性も発揮するプロ

 茅野のようにメインでない時でも存在感を発揮する声優は、他にもたくさんいる。今期『弱キャラ友崎くん』で、主人公の友崎にリア充になるための攻略法を伝授する、才色兼備のヒロイン=日南葵を演じる金元寿子もその一人に挙げられるだろう。

 ハリのある透明感のある金元の声質は王道ヒロインにぴったりで、これまでに『食戟のソーマ』のメインヒロインで学園の女王である薙切えりな、『GATE(ゲート) 自衛隊 彼の地にて、斯く戦えり』では容姿端麗な金髪エルフの美少女のテュカ・ルナ・マルソーなど演じてきた。

 個性的な役柄も多く、『侵略!イカ娘』の主人公=イカ娘は有名だ。『BanG Dream!』では劇中バンド=Afterglow結成のきっかけを作った羽沢つぐみ、他にも『炎炎ノ消防隊』では、アーグ大隊長の孫でおっとりした丸眼鏡のアサコ・アーグ、『ガールズ&パンツァー』ではプラウダ高校の隊長で、見た目はちびっ子のカチューシャ。放送中の『無職転生 〜異世界行ったら本気だす〜』では、主人公ルーデウスの若く美しい母親のゼニス・グレイラットを演じている。

 ほかにも佐倉綾音は、『神様になった日』の佐藤ひななど麻枝准作品ではお馴染み。少しハスキーがかった低めの声が特徴で、『かくしごと』の筧亜美など、ツッコミ台詞をしゃべらせたら天下一品だ。

 『五等分の花嫁』の天真爛漫娘の中野四葉、『やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。』の小悪魔少女=一色いろは、『僕のヒーローアカデミア』の麗日お茶子、『ブラッククローバー』のセクレなど、演じる役どころの幅広さで言えば他の追随を許さない。『進撃の巨人 Final Season』では、男勝りで鎧の巨人の継承に励むガビ・ブラウンが好印象だ。

 とかく主人公に注目が集まりがちなアニメ作品だが、それを引き立てながら自身の個性も発揮する。同時にいくつもの作品に出演しながら、決してそれがマイナスにはならない。そんなプロに徹した声優たちの存在にも目を向ければ、きっと何倍も楽しめるだろう。

※煉獄杏寿郎の「煉」は「火」に「東」が正式表記。
※島崎信長の「崎」は「たつさき」が正式表記。

■榑林史章
「山椒は小粒でピリリと辛い」がモットー。大東文化大卒後、ミュージック・リサーチ、THE BEST☆HIT編集を経て音楽ライターに。演歌からジャズ/クラシック、ロック、J-POP、アニソン/ボカロまでオールジャンルに対応し、これまでに5,000本近くのアーティストのインタビューを担当。主な執筆媒体はCDジャーナル、MusicVoice、リアルサウンド、music UP’s、アニメディア、B.L.T. VOICE GIRLS他、広告媒体等。2013年からは7年間、日本工学院ミュージックカレッジで非常勤講師を務めた経験も。

■放送情報
『弱キャラ友崎くん』
TOKYO MXにて毎週金曜日22:00~放送
AT-Xにて毎週金曜日21:00~放送(※リピート放送は毎週火曜日9:00~/毎週木曜日15:00~)
BS11にて1月9日より毎週土曜日22:00~放送
※放送日時は都合により変更になる可能性あり
原作:屋久ユウキ「弱キャラ友崎くん」(小学館ガガガ文庫刊)
キャラクター原案:フライ
監督:柳伸亮
出演:佐藤 元、金元寿子、長谷川育美、茅野愛衣、前川涼子、稗田寧々、島崎信長、岡本信彦、水野駿太郎
シリーズ構成:志茂文彦
キャラクターデザイン:矢野茜
音響監督:本山哲
音響制作:ビットグルーヴプロモーション
音楽:水谷広実
音楽制作:ポニーキャニオン アップドリーム
プロデュース:ドリームシフト
アニメーション制作:project No.9
オープニング主題歌:DIALOGUE+「人生イージー?」
エンディング主題歌:DIALOGUE+「あやふわアスタリスク」
公式サイト:http://tomozaki-koushiki.com/
公式Twitter:@tomozakikoshiki

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