Download on the App Store ANDROID APP ON Google Play
Download on the App Store ANDROID APP ON Google Play

第1回:世界を変えた日本の絵師“葛飾北斎”とは?

PR

日本が世界に誇る伝説の絵師・葛飾北斎の生涯と彼を貫く情熱を描き出す映画『HOKUSAI』が5月28日(金)から公開になる。

葛飾北斎は日本のみならず世界にも熱狂的なファンの多い19世紀最高の芸術家で、本作の製作が発表されると大きな話題を集め、昨秋に開催された第33回東京国際映画祭では、映画祭を締めくくるクロージング作品に選出。日本だけでなく世界各国での公開が待たれており、すでに台湾での公開が決定。アジア、ヨーロッパ、北米での公開準備も進んでいる。

日本が生んだ世界レベルの才能、葛飾北斎とは一体、どのような人物なのだろうか?

“世界で最も有名な日本人アーティスト”葛飾北斎

古くは歌舞伎や文楽、そして現在はコミックやアニメーションなど日本発のカルチャーが世界にその名を轟かしたことは数多くがあるが、世界で最も有名な日本人はといえば、それは葛飾北斎ではないだろうか?

米LIFE誌が選んだ「この1000年で最も偉大な功績を残した100人」に日本人で唯一、葛飾北斎がその名を刻んでおり、北斎の唯一無二の世界観と作品群は、19世紀にヨーロッパでジャポニズムブームを巻き起こし、マネ、モネ、ゴッホ、ゴーギャンなど数々のアーティストに影響を与え、西洋近代絵画の源流となった。

大胆な構図、観る者の想像力をかきたてる描写、観るたびに発見のある筆使いは海を超え、世界の名だたる画家たちを驚かせ、世界中の観客を魅了し続けている。

葛飾北斎が生まれたのは18世紀の中ごろ。現在の東京都墨田区あたりに生を受けた北斎は、幼い頃から絵の道に進み、版画や浮世絵の世界に進出。人物、風景はもちろん、空想上の生き物や、我々が目にしている波や風まで自らの表現で描き出し、その生涯を通じて一職人として絵筆を動かし続けた。『冨嶽三十六景』や『北斎漫画』など著名な作品は多いが、平均寿命が40歳と言われた江戸時代後期にあって、90歳まで生き、3万点を超える作品を残した。

また、この世を去るまで変化・前進することをやめず、年齢を重ねるごとにその表現は進化。有名な波の絵「冨嶽三十六景 神奈川沖浪裏」は70歳をすぎてから描かれたものだ。晩年には銅版画やガラス絵なども研究し、最後の瞬間まで“すべてを自身の筆で描き尽くす”ことを目指したという。

昨年に生誕260周年を迎えたが、いまもなお新しく、まだ誰もその境地にたどり着けていない天才・葛飾北斎。その作品と生きざま、哲学は一度たりとも風化していない。

現代の観客も魅了し続ける“北斎”

葛飾北斎の作品は、歴史上の資料や古典にならず、現代の観客の心をしっかりと掴み続けている。

代表作「冨嶽三十六景 神奈川沖浪裏」が昨年2月に刷新された新パスポートに掲載され、2024年度から発行される新紙幣の千円札にも「浪裏」の絵が採用! 現在も繰り返し北斎の作品を展示する催しが開かれ、すみだ北斎美術館や、信州小布施・北斎館などの施設も多くの観客を集めている。

また、筆だけで波の動きを描き、風に舞う衣服や人々の表情の変化を、この世の者ではない妖怪や幽霊まで描き出す北斎の作品たちは、後に登場したコミックやCG作品にも圧倒的な影響を与えていることから、最新のアートやポップカルチャーの中にある“北斎の遺伝子”を探るファンも生んでいる。

また、葛飾北斎“本人”の生き方も多くの人を魅了しているようだ。90歳まで生きた北斎はその間に、30回も名前を変え、93回も住まいを変えた。多くの弟子を持ち、人々から愛される一方で、自身の描きたいものを追求するためには一切の妥協を許さず、礼儀やしきたりに囚われることなく数々の苦難を乗り越えて創作に打ち込んだ。

どこか謎めいていて、何があっても信念を曲げることなく、最後の最後まで自分の画を追求し続けた男・葛飾北斎。その姿は現在も愛され続けているが、その生涯には不明な点も多い。彼は若い頃の姿、家族との関係、そして誰もが知る“あの波”の誕生の秘密……。

それらをスクリーンに描き出し、その生涯だけでなく彼を突き動かす情熱や想いまでも表現した映画がついに登場する。

コロナ渦だからこそ観てほしい! 映画『HOKUSAI』がついに公開

映画『HOKUSAI』は、歴史的な資料を徹底的に調査した上で、資料のほとんどの残されていない北斎の若き日の姿と苦悩、そして老いてもなお止まることをやめない北斎の姿をオリジナル・ストーリーで描き出す作品だ。

若き日の北斎を『誰も知らない』でカンヌ映画祭男優賞を史上最年少で受賞し、現在は若き演技派として知られる柳楽優弥が、老年期の北斎を国際的なダンサーとして知られ、映画にも数多く出演している田中泯が演じる。

また、青年期の北斎を見出し導く版元・蔦屋重三郎を阿部寛、若き北斎が出会う美人画の大家・喜多川歌麿を玉木宏が熱演。さらに晩年の北斎と創作活動を共ににした戯作者・柳亭種彦を永山瑛太が演じ、重厚なドラマを描き出す。

映画は、若き日の北斎の挫折と自らの道を見つけ出すまでの苦悩、家族を得て、自身の表現をさらに拡充していく時期の姿、そして老いが迫り、病が襲っても、権力者によって表現の自由が奪われる最中でも、描きことを決してやめることなく進み続ける北斎の物語を、細部まで徹底的に作り込まれた映像で綴っていく。

本作が描くのは、単なる伝記ドラマでも偉人伝でもなく、誰もが目を離せないほど強烈な人間の生きざまだ。“一枚の絵で世界は変えられる”と信じた男は、何が起こっても、どれほどの苦難や哀しみが襲っても、絵筆を動かし続け、己の信じた道を一歩、一歩進み続ける。

2021年春の日本はすべての人を襲う混乱の中にあり、先の見えない不安や、目に見えない恐怖と対峙しなければならない状況にある。だからこそ映画『HOKUSAI』は、観客の心に深く刺さるはずだ。何が起こっても描くことをやめない、目に見えないものすら紙の上に表現しようと格闘する北斎の姿を追った映画『HOKUSAI』は、コロナ渦だからこそ観てほしい作品と言えるだろう。

『HOKUSAI』
5月28日(金)公開

(C)2020 HOKUSAI MOVIE

アプリで読む